やっと「フランケンシュタイン」を読了。結構時間掛かった。結構読み難い文体だったか?

 角川文庫版の山本政喜訳のもので昭和28年9月初版で改訂7版昭和49年1月版だった。生まれる前なので古書で買ったらしい。

 アテナクラブシリーズのジュティーヌ・フランケンシュタインに第1巻の黒幕アダム・フランケンシュタインってので読む気になったが、「バーナード嬢曰く」6巻90話目の紹介で俄然興味があった事もあった。以下勢い余ってネタばってます

 フランケンシュタインて怪物の名じゃ無くてそれを作った博士の名前だってのは有名な話で私(わ)も知ってた。しかし作者シェリー夫人てイギリスのおばさん風老女を想像してたら19歳の女性だった(*^▽^*)。シェリーって有名詩人に嫁いだらしい。詩人バイロンと夫婦で幽霊や怪談の低俗物を文学的にしたものを作ろうよと言う雑談で実際に書いたのはシェリー夫人だけだったて顛末らしい。

 物語はイギリス人の北極探検隊の隊長ロバート・ウォルトンが姉マーガレットに向けて書いた手紙という形式だ。氷に阻まれてる中氷河を橇を駆る巨人を目撃するとこから始まり、漂流中のヴィクター・フランケンシュタインを救助した所から、ヴィクターの半生を聴かされる展開だ。

 ヴィクター・フランケンシュタインはスイスの名家出身でジュネーブ在住から、やや錬金術系から科学に嵌ってドイツの大学に進学するエリートで、独自の発明で人造人間を作るが、その醜悪さに逃避してしまう。(人造人間の製造方法や過程は一切不明。)そして故郷の家族に不幸があって帰省すると、弟のウィリアムを怪物が殺した事を発見するが殺人犯として家政婦のジュスティーヌが絞首刑になってしまう。この辺りから私(わ)に云わせればクソ野郎なヴィクターだ。結局怪物と遭遇して怪物の言い分(怪物は姿形が巨人な化物らしいが知的で慈愛に満ちていた。が、創造主のヴィクターから育児放棄され、遭遇する人々から追い立てられ、あまつさえ溺れた女性を助けたのにアホ彼氏から銃で撃たれる始末。ウィリアムも生意気なガキでちょっと力が入り過ぎて殺してしまう。ま、策略的にジュスティーヌに濡れ衣を着せる結果になるが・・・)完全に非はヴィクターだ。怪物の要求は自分は人間とは相いれない様なので自分の相方、伴侶をもう一体作ってくれと願うのだ、最初は絆されて二体目の女性型人造人間をイギリスに渡って作成するヴィクターだったが完成寸前に思いとどまって海に捨ててしまう!怒りに燃えた怪物はイギリスに一緒にやって来てたヴィクターの親友クラーヴァルを復讐の一環で殺してしまう。その容疑者で捕まったヴィクターだったが嫌疑が張れて助けに来た父親と一緒にジュネーブに帰る。そこで苦悩する(自己中的に)ヴィクターに想った父親は婚約者のエリザベスとの婚儀を進めようとする。怪物が事前に脅迫してたのだが自己中なヴィクターは自分を殺しに来たら返り討ちにしてやるといききごんでたが、読者の想像通りターゲットはエリザベスだった。その死のショックで父も没し、今度は復讐に燃えるヴィクターは怪物を追跡する。途中途中の援助は精霊の加護だと自己中ヴィクター。が、ここに来いと怪物の誘いだったのだが・・・で、北極圏まで追って行くが犬橇の犬を何頭も死に至らせ漂流中ウォルトンに助けられたって顛末だが、死が近いのにウォルトンに告白の後自分の代わりに怪物を葬ってくれと乞う有様。なぜかウォルトンは高貴な精神の持ち主とヴィクターに感銘し友人だと思い込む。が死んだヴィクターの骸の元に怪物が姿を見せ悔恨と苦渋と自死のセリフを発して北海に消えて行く。ってストーリーだ。周り皆を不幸に巻き込んだ怪物はヴィクター・フランケンシュタインであると私(わ)には思える。丁度「オッペンハイマー」の映画を見たばかりなので何と最早科学者と云うか人間の業を見せられた小説だった。そういう意味では世界初のSF小説と云うより掲示小説じゃ無いかな?メアリー・シェリー凄し!因みにアテナクラブではシェリー夫人の小説を評して女税人造人間が捨てられた事になってるがジュティーヌ・フランケンシュタインが生きてたのはなんでだろうと云う行がある。ちなみに怪物がフランケンシュタインが創造主なのだから自分はアダムだと言う箇所がある。その辺が出典だな。

 さて余談だが、巻末に当時の角川文庫のミステリーとSFのラインナップが載ってた。いやぁ~色々出版してたんだなぁ

 で、本フランケンシュタイン。今でも書店で光文社文庫や新潮文庫、創元文庫に並んでいた。更に青空文庫にもなってたのには驚いた!ただで読める!