ピップシリーズを読んでて、改めてこのミステリーがすごい!2024版の海外編を読んでたらベスト20内に結構食指が動くのが数冊あった。その一冊が13位の本書。フランスの1932年の未紹介のミステリ―らしい。出版があまりチェックしてない扶桑社の文庫だったので目にする事も無かったが、数冊意識して書店を探すと陳列されてた。

 フランスミステリ―だと思い付くのは1908年のガストン・ルルーの名作「黄色い部屋の秘密」や同年代のアルセーヌ・ルパンもの1930年代だとジョルジュ・シムノンの「メグレ警視」シリーズとかくらいか?セバスチアン・ジャプリゾ辺りだと1950,60年代か?本格ミステリ―よりノワール系が印象深い。近年はピエール・ルメートルとかいるけどなぁ~。どうしても米英のミステリーの方が盛んだ。それが、2023年に発掘翻訳されたとは・・・

 作者はミシェル・エルベール&ウジェーヌ・ヴィル。他に2冊あるらしいが多作じゃない様だ。ミシェル・エルベールの方はソロで何冊か他に書いてるらしいがパッとしないらしい。そう云えばフランスにボワロー&ナルスジャックって共作のミステリー作家もいあたなぁ~50年代か?

 物語は飲食産業で成功を収めた富豪のヴェルディナージュが、マルシュノワール館に引っ越してくる。これまでの所有者には常に災いがつきまとってきた曰く付きの“禁じられた館”と呼ばれていた。
 再三舞い込む「この館から出ていけ」との脅迫状。そして雨の夜、謎の男の来訪を受けた直後、館の主ヴェルディナージュ射殺されてしまう。不審に思ってた召使達の目撃と証言と状況から謎の男が襲撃後消失した事が判る。密室的展開。駆け付けた警官やその後の予審判事らの短絡的な推理から執事や秘書や番人が疑われるが、途中から登場する私立探偵トム・モロウから悉く無罪の証拠を提示され困惑する予審判事らだったが・・・

 読み易い!最近多い二転三転のどんでん返しも優秀で面白い。これが1930年代とはヴァン・ダインがイギリスメッカの推理小説をアメリカに復権させた頃だよなぁ~。終盤、エーそいつが犯人?って思ってると気持ち良くスカッとさせてくれる。ヴァン・ダインの推理小説の二十則からするとアンフェアなとこもあるが1932年だからねー。一応ミステリー好きとしては犯人の目星は付いてたが・・・

 さて、このミスから目星を付けた次のに手を付けるか~分厚いし中々読み進まない(´・ω・`)。

 

 PS:他のブロガーさんの記事でエラリー・クイーンの「境界の扉 日本カシドリの秘密」が出版されたのを知った。今頃かよ~とショックだった。昔創元推理文庫で「ニッポン樫鳥の謎」で出てて、入手困難だったので古本で見つけた早川版の「日本庭園の秘密」で読んでた奴だ。初期の国名シリーズだった奴が諸事情で国名シリーズから外された作品。解説が充実した角川版の翻訳を待ってたのに~今頃かよ(´・ω・`)。