『大酔侠』
1966年 香港
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 キン・フー
脚本 イー・ヤン
撮影 西本正
音楽 チョウ・ランピン
出演 チェン・ペイペイ/ユエ・ホア/チェン・ホンリエ/ヤン・チーシアン/リー・ワンチュン
《解説》
香港のクロサワと呼ばれた巨匠キン・フーが時代劇アクションを芸術にまで高めた武侠アクション伝説的傑作!
アジアの巨匠と呼ばれたキン・フーの初期作品で、武侠アクション映画のルーツとて映画史上に残る傑作、「グリーン・デスティニー」にも出演したチェン・ペイペイが女剣士役でキレのある立ち回りを見せる
19歳にして本作の主人公の男装の凄腕女剣士を演じたチェン・ペイペイは、本作のヒットをきっかけに武侠影后(武侠映画の女王)と呼ばれて世界的に活躍
《物語》
明朝時代の中国、逮捕された盗賊の護衛中の一行が盗賊団の襲撃を受け、囚人を奪われ護送官らは皆殺しにされ、護送の責任者の長官で総督の息子チャンが囚われてしまう
盗賊を率いるのは全身白ずくめの副首領のティン・チュンユで彼は総督に対してチャンを返してほしければ投獄中の首領の解放を要求する
ただ盗賊団が恐れるのは金燕子(チン・イエンツ)、それは盗賊団の首領を捕らえた武術の達人で悪人たちからは恐れられている存在だ
男装はしているが女性でチャンの妹であるチン・イエンツを総督は派遣した、早速盗賊団のいる酒場に現れた、交渉役の男と話しは決裂し、盗賊団は彼女を殺そうとするも四方の敵を一蹴
その酒場の二階に部屋を取り、5日以内に返事をしろと盗賊団をティン・チュンユの元へと返す、夜中に酔ったファンという男がチン・イエンツの部屋にやってくる
酒を飲もうと言うが追い返したが剣が無くなっている、ファンを追うがなかなか追いつけない、やっとの事で剣を取り戻したが部屋に戻るとティン・チュンユの手下が部屋に入り込んでいるのを見付けて追い払った
翌日に歌を歌って小銭を稼ぐファンにチン・イエンツは昨夜の礼を言い、ただの酔っ払いでないと気付き、ファンはチャンの居場所を教える歌を歌う
チャンが拘束されている寺院に向かいチン・イエンツはティン・チュンユと戦い圧倒するが毒矢を放たれ肩に刺さり、逃げる途中で意識を失ってしまう
目を覚ましたチン・イエンツはファンの隠れ家にいた、そしてファンと計画を立てるがチン・イエンツに協力するにはファンにも理由があった、彼こそが伝説の武芸者“酔侠”だったのだ
《感想》
盗賊団が大きな力を持って地域を治める総督の息子の長官を拉致してしまいます、盗賊団の首領が囚われたので釈放せよとのことです
その盗賊団の副首領ティン・チュンユが白い顔をして白装束で扇子に毒針を仕込んでいて、剣術の腕前も相当なもの、長官を人質に取って連絡を持ちます
そこに現れたのがチン・イエンツで金燕子と呼ばれる達人で盗賊団の首領を捕まえた人物で総督の娘で長官の妹なんです、これが男装をしていて凛としているんです
それでいて圧倒的に強くてティン・チュンユの手下なら相手にならず一蹴してしまいます、その短い剣を両手に持って斬り付けます、男全員の手を斬るんです
男装の凄腕女剣士チン・イエンツを演じるのはチェン・ペイペイで、とにかくこのチェン・ペイペイの凛々しくてカッコイイんです、女性ならではのしなやかな動きで殺陣をこなしていきます、その表情も美しいんです
酒場での大暴れの後に酔って歌って小銭を稼ぐファンが現れます、この男こそが伝説の酔侠なのです、酔った足取りですがチン・イエンツをも圧倒する達人なんです
チン・イエンツが盗賊団のいる寺院に殴り込みに行きますが、ティン・チュンユの毒針にやられて逃げるしかなくなりますが、それを助けるのがファンなんです
傷口から毒を吸い出すのですが、これが当時の香港映画ではエロティックな演出だったのかも、チン・イエンツが苦悩の表情とファンの手が胸元へ
ここからファンの物語となって盗賊団と高僧リャオコン大師が手を組みます、実はリャオコンとファンは同じ師匠でファンにとってリャオコンは兄弟子、しかしリャオコンは師匠を殺してその座を奪おうとしたんです
ファンとしては恩義のある兄弟子リャオコン、しかし師匠を殺した憎い相手、チン・イエンツに協力してもらって盗賊団首領と長官の交換を行うのですが、ここでひと悶着あって大暴れとなります
監督は香港映画の巨匠、キン・フーが初めて撮った武侠映画で、撮影は日本の西本正でのちにブルース・リーの「ドラゴンへの道」を撮影しています、細かいカット割りで見せ場を迫力ある映像で撮っています
香港の巨匠キン・フーの監督第2作で、初の武侠映画にして出世作 それが『大酔侠』です。
まるで京劇のような舞いのようなアクションと煌びやかなセットも素晴らしかったです。

















