PERFECT DAYS | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『PERFECT DAYS』

 

 

 

 

 

2023年 日本・ドイツ

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 ヴィム・ヴェンダース

 

撮影 フランツ・ルスティグ

 

 

 

出演 役所広司/柄本時生/中野有紗/アオイヤマダ/麻生祐未/石川さゆり/三浦友和/田中泯

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

こんなふうに生きていけたなら

 

「パリ、テキサス」「ベルリン・天使の詩」などで知られるドイツの名匠ヴィム・ヴェンダースが、役所広司を主演に迎え、東京・渋谷を舞台にトイレの清掃員の男が送る日々の小さな揺らぎを描いたドラマ

 

東京・渋谷区内17カ所の公共トイレを、世界的な建築家やクリエイターが改修するプロジェクトに賛同したヴィム・ヴェンダースが改修された公共トイレを舞台に描いた

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

古びたアパートに住む中年男性の平山はまだ薄暗いうちに目を覚まし、毎日同じ順番で身支度をして、自販機で缶コーヒーを買って軽ワゴン車に乗り込む

 

 

車内でカセットテープを聴きながら仕事場へ、東京スカイツリーが良く見える渋谷区内の公衆トイレを転々と回り、手際よく清掃していく

 

 

しばらくして遅刻してやって来た若い同僚のタカシは仕事の文句ばかり言い、スマホを触りながらいい加減な清掃をしているタカシ

 

 

近くの神社の中で昼休憩をしてサンドウィッチを食べ、木々を見上げて写真を撮る、平山の小さな楽しみのひとつだ、木の芽を掘り起こして持ち帰り部屋で育てている

 

仕事が終わると近所の銭湯で体を洗い、浅草の食堂で食事を済ませて部屋に戻って布団を敷き、古本屋で購入した文庫本を読んで眠る

 

ある日、平山とタカシが清掃作業をしているとタカシが通っているガールズバーのアヤがやって来る、タカシが作業後に出掛けようとするがバイクが動かない

 

仕方なく平山のワゴン車に3人で乗り込むアヤは平山のカセットテープのコレクションを気に入り、音楽に耳を傾ける、アヤが下りる時にタカシはカセットをアヤのバッグに忍ばせた

 

 

ガールズバーに行く金を工面するため平山のカセットテープが売れないか平山を連れて中古店でカセットテープを店員に見せると高値が付き、タカシは興奮して売ろうとするが平山はカセットを返してもらいタカシに金を工面した

 

次の日、アヤはカセットテープを返しに平山の前に現れた、返す前にもう一度聴いているとアヤは涙ぐみ平山の頬にキスをして立ち去った

 

そんなある日、平山が仕事からアパートに帰ると姪のニコが部屋の前で待っていた

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

主人公・平山を演じる役所広司が、第76回カンヌ国際映画祭で日本人俳優として柳楽優弥以来19年ぶり2人目となる主演男優賞を受賞、コメントで「これで柳楽優弥君に少しは近づけたかな?」だって(笑)

 

 

平山は渋谷区内の公衆トイレを清掃する作業員、それは嫌々しているわけではなく、しっかりとその仕事にプライドを持ってしています、その仕事っぷりも完璧です

 

こういう人がいるから公衆トイレを気持ちよく使えるわけです、公衆トイレだからと言って汚して使う者もいますが、それってどういうつもりなんだろうと思いますね

 

古びたアパートに暮らしているのですが、木の芽を育てたりと自分なりの細やかな楽しみもあったりします、暗い内に起床して規則正しい生活をしています

 

 

仕事が終わったら浅草の地下のお店で食事と酒を飲んで、時には和装のママが切り盛りする小さな居酒屋で楽しんだり、古本屋で文庫本を購入したり

 

若い同僚のタカシは遅刻もするし仕事も適当、トイレ清掃なんて最低の仕事だと思ってしているのでしょう、頭の中はガールズバーのアヤの事ばかり、演じるのは柄本時生

 

 

ガールズバーのアヤを演じるのはアオイヤマダで、タカシに会いに来るも平山に興味津々、カセットテープにも興味を持って別れ際には平山の頬にキスをするほど

 

毎日同じように規則正しく慎ましく生活をしているのですが、ある日、仕事から帰ると家出してきた姪のニコがアパートの前で待っていた、演じるのは中野有紗

 

 

平山の妹の娘で住む世界が違うから会ってはいけないと言われているんです、しかしニコはそんな平山の事が気に入ってるのか仕事にも同行して手伝うようになります

 

 

数日間2人は交流して仲良くなっていきますが、平山が妹に連絡してニコを迎えにやってきます、それは運転手付きの高級車でこのシーンで平山がなぜトイレ清掃をしているのかが垣間見れたような気がしました

 

平山の妹を演じるのは麻生祐未で、彼女はもう60歳を超えるのに色っぽいですよね、その佇まいは凛としていて安アパートに住む平山に対してため息、それに父親の見舞いをして欲しいと言いますけど平山はそれは出来ないようです

 

 

細やかな楽しみで居酒屋に行くとそこで石川さゆり演じるママが男と抱き合っているのを見てしまいます、その男は元夫で演じるのは三浦友和

 

毎日同じでも少し違ったりします、何か劇的な事が起こるわけでもありませんが、規則正しい生活をして何が悪い、笑顔の役所広司がその全てを物語っています

 

 

 

 

 

 

詩情漂う傑作、圧倒的な役所広司の演技、と世界が絶賛した名匠ヴィム・ヴェンダースの描く美しき日々 それが『PERFECT DAYS』です。

 

 

 

 

 

カセットテープから流れる音楽のチョイスも良くて、久しぶりにカセットテープが聴きたくなりました。