エクソシスト ビギニング | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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『エクソシスト ビギニング』

 

 

 

 

 

2004年 アメリカ

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督 レニー・ハーリン

 

脚本 ウィリアム・ウィッシャー/アレクシー・ホーリー

 

撮影 ビットリオ・ストラーロ

 

音楽 トレバー・ラビン

 

 

 

出演 ステラン・スカルスガルド/ジェームズ・ダーシー/イザベラ・スコルプコ/レミー・スウィーニー/アンドリュー・フレンチ/ジュリアン・ワダム/デイビッド・ブラッドリー/アラン・フォード/ラルフ・ブラウン/アントニー・カメルリング

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

悪魔の誕生

 

「エクソシスト」シリーズの第4作は、73年製作のシリーズ第1作「エクソシスト」の前を描く物語、この作品に登場したメリン神父を主人公に、彼の若き日の悪魔との初めての遭遇を描く

 

監督は「クリフハンガー」のレニー・ハーリン、出演は「奇跡の海」のステラン・スカルスガルドと「サラマンダー」のイザベラ・スコルプコ

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

1949年、エジプト・カイロ、ランカスター・メリンはある収集家の秘書セメリエにある依頼をされる、東アフリカで5世紀頃のキリスト教の教会が発掘されたと

 

 

5世紀にはまだそこまでキリスト教は広まっておらず、興味を持ったメリンはケニアのナイロビにあるイギリス軍の司令部に赴き、教会の調査とセメリエのオーナーの収集家の探す悪魔像を探す事になった

 

5世紀には存在するはずのない教会がそこにあり、教皇庁にも記録が残っていない、メリンは若いフランシス神父とジープで現地入り、そこで若い女医のサラ・ノバクと出会う

 

 

現場では現地人の作業員が体調を崩したり、精神がおかしくなったり、行方不明になる事が起こっていた、サラは容態を診たいが現地人は西洋医学を信じておらず体に触れる事も出来ない

 

 

風化しておらず建ててすぐに埋めたような教会の屋根から入ったメリンとフランシスは壁画に描かれているルシファーや逆さに吊られたキリスト像を見て、神への冒涜だと

 

 

以前に入ったベシオンという学者は心の病を患ってナイロビの病院に入院中、彼の残されたテントには、「悪魔が地上に現れ、大勢が死ぬ」と書かれていた、サラの話しではそれで現地人は恐れているのだと

 

 

ベシオンに面会に行くと施錠していた扉が勝手に開き、振り返ったベシオンは胸にハーケンクロイツを刻み、「神はいないぞ」と叫んで首を切り裂いて死んだ

 

 

メリンが再び教会の中に入り調査し、逆さのキリストの下にある棺を開けると中に地下に通ずる階段があり、地下へと進むとそこにはパズスの像があった

 

 

この地は1500年前に大量殺戮が起き、2人の神父が率いる西方の軍隊が悪霊の起源を探していた、しかし何かに憑りつかれた兵士が互いに殺し合い、皇帝がそこに教会を建てて埋め、悪魔を封じ込めた、それをイギリス軍が封印を解いてしまった

 

 

悪魔の存在を確信したメリンは聖職衣に身を包み、悪魔と対決する事となる

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

オープニングでは大量に殺戮された死体の山の中で神父が嘆いているんです、逆さまの十字架に逆さまに磔にされた大勢の人間たち、インパクトのある映像で掴みたいのでしょうけど静かなオープニングでも良かったかも

 

 

ランカスター・メリンは元神父の考古学者なんです、なぜ神父を辞めたかと言うと故郷のオランダでナチスに神はいないと言われて目の前で残虐行為を見たからのようです、演じるのはステラン・スカルスガルド

 

 

確かに神がいたなら子供は助かるべきでしょう、でも世の中は理不尽に悪が栄えているようにも思えます、神父として神の力に疑問を感じたのでしょう

 

悪魔を封じ込める為に作られた教会を地底に埋めたのですが、それをイギリス軍が発見してその封印を解いてしまったわけです、やはり触れてはいけないものってあるのです

 

 

本作は「エクソシスト」の4作目ですが、25年前のメリン神父の悪魔祓いを描いたエピソード0となっています、当初はジョン・フランケンハイマーが監督の予定でしたが亡くなった為にポール・シュレイダーによって撮られる事になりました

 

しかし会社側はその地味な出来の作品に難色を示し、派手なシーンを追加撮影する為に新たにレニー・ハーリンによって全面的に作り直されました、しかしそちらも興行的にも批評家からも酷評されます

 

 

メリンが現地で出会った女医サラを演じるのはイザベラ・スコルプコで、こんな場所で目立つくらいセクシーな女医なんです、男たちはサラに目をギラギラしています

 

 

でもサラはナチスによって収容所に入れられ、そこでありとあらゆる虐待を受けた事で生理はなくなってしまったのですが、この地で何かが起こり股間から大量の出血を起こすんです

 

 

メリンはベシオンに面会に行くのですがその場で自殺、そこの神父はかつて尼僧が色欲で狂ったのを悪魔のせいだと言うのですが、メリンは尼僧の性欲だと一蹴

 

人によって人間の欲が爆発する様は神に仕える者から見るとそれは悪魔が憑りついたと考えるのでしょう、何でもかんでも悪魔のせいにするなら楽ですもんね、それでも人間の中に悪魔はいるのです

 

現地人の少年ジョセフが悪魔に憑りつかれ、現地人はお祓いをしようとするのですが悪魔の力は強くて返り討ちとなってしまいます、それほどパズスは強大なのです

 

 

しかも悪魔はサラに乗り移りまるでリーガンのような恐ろしい形相で襲いかかって来ます、謎を解いているとサラはべシオンの元妻だと判明するのです

 

 

サラに憑りついた悪魔に限らず、女性に悪魔が憑りつくと性的に男を挑発するんです、男はそんな挑発に弱いですからね、そんな女性がいたら悪魔が憑りついているのかも

 

 

 

 

 

 

「エクソシスト」の25年前、全てはここから始まった それが『エクソシスト ビギニング』です。

 

 

 

 

 

悪魔の仕業とするならメリンやサラが体験したナチスとの出来事こそが悪魔の所業なのではないかな。