『アレックス』
2002年 フランス
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本・撮影 ギャスパー・ノエ
美術 アラン・ジュトー
音楽 トマ・バンガルテル
出演 モニカ・ベルッチ/ヴァンサン・カッセル/フィリップ・ナオン/ジョー・プレスティア/アルベール・デュポン/ステファーヌ・ドゥルーオ/ジャン・ルイ・コスト
《解説》
美しいすぎたがゆえに悲劇は起き、一瞬の悪夢が永遠の現実となる
「カルネ」「カノン」の鬼才ギャスパー・ノエがカンヌ映画祭で衝撃を呼んだ問題作、時間を逆行させた構成で、あるカップルの破滅的な1日を描き、観る者に凄まじい暴力と聖なる愛の物語を突き付ける
壮絶な暴力描写が話題となったモニカ・ベルッチ主演の問題作、1組の男女とその元恋人が、一夜にして辿る取り返しのつかない悲劇、恋人を乱暴された男が自らの手で復讐する姿を時間軸を逆に描く
《物語》
ある男を探してゲイクラブ「レクタム」へ押し入るマルキュスとピエール、ゲイの連中に取り囲まれた彼らはひとりの男に凄惨な暴力を加え、消火器で顔面を潰してやった
マルキュスとアレックスは婚約者同士、それにアレックスの元カレでマルキュスの友人のピエール、仲の良い3人はその夜にパーティーに出席した
マルキュスはパーティーでちょっとした諍いからアレックスをひとりで帰してしまい、その直後に取り返しのつかない悲劇が起こってしまう
怒ったアレックスは店から出てタクシーを拾おうとするが拾えず、地下鉄で帰ろうと道路の向こう側に行くために地下道を通ることにした
地下道ではもめているカップルがいたがアレックスは横を通りすぎようとしたが男が暴力を振るい、驚いたアレックスにも掴みかかり、その隙にカップルの女は逃げてしまい代わりにアレックスが男に捕まってしまう
男はパーティー帰りのセレブな格好のアレックスが気にいらず、ナイフをちらつかせて脅し、その場でアレックスを乱暴に襲い掛かった
行為が終わった後も男はアレックスが気に入らず執拗に暴力を振るい、アレックスの顔を蹴り上げて馬乗りになって殴り顔を潰されてしまった
事件を知ったマルキュスは復讐を誓い、警察より先に犯人を見つけてやると持ちかけてきた男たちの協力を得て、ピエールと共に犯人を探す
地下道で争っていた売春婦を見つけ犯人の名はテニアだと分かり、しかもその男の居場所はゲイクラブのレクタムだと知って2人は向かう
レクタムに乗り込んだマルキュスとピエールはテニアを捜し出してアレックスの復讐が始まった、それは凄惨な暴力事件となった
暴行事件の直前にアレックスが人生で最大の幸福に満たされていたことが明らかになる
《感想》
アレックス役で壮絶な暴力とレイプシーンに挑戦し、迫真の演技を見せるのは“イタリアの宝石”と讃えられる、「ジェヴォーダンの獣」のモニカ・ベルッチです、まあ強烈でしたね
アレックスの恋人のマルキュス役は当時は私生活でも夫のヴァンサン・カッセルでそのセックスシーンはまるで夫婦の寝室を見ているようです
あるパーティーで監督のギャスパー・ノエは2人にポルノを撮りたいと言ったとか(笑)、その時には2人は笑って冗談だと思ったらしいです
簡単にレイプと書きましたが、そのシーンはかなり厳しいです、ワンカット長回しの9分間でモニカ・ベルッチは暴力の連続を受けるわけです
しかも終わった後には顔面を蹴り上げて馬乗りになって殴ります、髪の毛を掴んで床に顔を打ち付けます、とにかくアレックスが気に入らかったのか執拗に殴ります
異常とも言える犯人の暴力、その犯人もオープニングから少しして、顔面を潰されてしまいます、それは消火器で顔面を潰す凄まじいシーンです、その2つのシーンは目を伏せる人もいるかと思います
モニカ・ベルッチはここまで世界的に有名になっても出し惜しみしませんね、脱いでない映画の方が少ないような気がします、正に女優の鏡ですね(笑)、ヨーロッパの女優は裸になるのは平気みたいですね
フランス人はあんなに感じなの?、婚約者がいるのに元カレが「俺とのセックスより良いのか?」とか「俺はイカせられなかったけど彼はイカせてくれるのか?」とか普通に3人で会話してますけどいいの?
アレックスがマルキュス以外の男とセックスしても大らかに許してくれたり認めてくれたりなんてあるのかな?、フランスではパートナーと恋人は別みたいな
暴力シーンばかりが話題となりましたが、ラストに幸せそうな笑顔を見せるアレックスがいて救われます、原題の意味は「ひっくり返せない」「取り返しのつかない」を意味するフランス語
エンドクレジットから始まるという、時間を逆行していく構成は斬新だが、物語が遡っていくにつれ次第に明らかになって行く暴行事件に秘められたもうひとつの悲劇は観る者に強烈なショックを与えます
しかし2020年には逆だった時間軸が元に戻った「STRAIGHT CUT」が公開され、こちらの方が観客の心に与えるダメージは大きいそうです
世界一美しい女優モニカ・ベルッチがバイオレンスとエロスの限界に挑んだ それが『アレックス』です。
セルDVDには時間軸再生機能が付いてます、あと、特殊効果でCGのアソコの解説もあります(笑)
更に過激な続・裏237号室の『アレックス』のレビューはこちらです。