『ザ・リッパー』
1982年 イタリア
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 ルチオ・フルチ
脚本 ジャンフランコ・クレリチ/ヴィンチェンツォ・マンニーノ/ダルダーノ・サケッティ
撮影 ルイジ・クヴェイレル
音楽 フランチェスコ・デ・マージ
出演 ジャック・ベデレー/アルマンタ・ケラー/ハワード・ロス/アンドリュー・ペインター/アレッサンドラ・デリ・コリ/ゾーラ・ケロヴァ/ダニエラ・ドリア
《解説》
血祭りにあげられる美女たちの絶叫
今尚、カルト的人気を誇るルチオ・フルチ監督がニューヨークを舞台に美女連続殺人事件を描いた本作は、彼の放った作品の中でも特にエロスとバイオレンスが強烈に描かれている
鋭い刃が美女たちの肉体を切り裂く、サディスティック極まりない残虐描写のオンパレード、ルチオ・フルチ自身も、ウィリアムズ警部補の上司役でカメオ出演
《物語》
ニューヨークで犬の散歩中に人間の手首が発見された、警察はモデルのアン・リンだと特定し、ウィリアムズ警部補は大家のワインバーガー夫人に話しを聞くと、彼女はアヒルのような声の男から電話があったと
フェリーで若い女性ロージーが体を数カ所切り裂かれて殺された、検死の結果、アン・リンと同一犯による犯行ではないか、ウィリアムズ警部補は連続殺人の可能性を発表
警視総監は事件についてこれ以上勝手に発表しないよう命じる、ウィリアムズ警部補はこの事件についてポール・ディヴィス博士に助言を求める
ニューヨークの歓楽街のストリップ劇場で出番を終えた直後のストリッパーが楽屋でアヒル声の男に割れたガラス瓶で股間を刺されて殺された
ウィリアムズ警部補が売春婦のキティの部屋にいるとアヒル声の男から電話があり、今夜も殺したとウィリアムズ警部補に挑発的な電話を掛けてきた
ディヴィス博士は犯人は自制心を拒否し、ウィリアムズ警部補を挑発するのは動機と関係がある、犯人は盗撮や覗きを好むが目立ちたがり屋で神経質で利己的、しかも殺しに満足していない
地下鉄から降りた若い女性フェイは襲われ、足を切り付けられるが何とか逃げて助かった、その後に悪夢を見た、それは恋人のピーターに殺される夢
そんな彼女をピーターは優しく慰めた、フェイはウィリアムズ警部補に犯人の右手の指が2本なかったと証言、ウィリアムズ警部補は犯人を絞り込む
人妻ジェーンは性的に欲求不満で男の集まる店へと行った、ニューヨークの街をうろつき男を誘う、セックスの後にラジオから犯人の右手の指が2本ないと知り、たった今セックスをした男は指が2本なかった
《感想》
「墓地裏の家」のルチオ・フルチ監督作品でこれまでのゾンビが出てくるような作品ではなく、猟奇殺人事件を扱った犯人捜しの要素もあるサスペンスでもあります
これまでのルチオ・フルチ作品と比べるとパワーダウンは否めませんが、それでも殺人事件の現場は強烈で血まみれです、犯人はナイフやカミソリで切り裂きます
オープニングからアン・リンという女性のバラバラ殺人事件が発生します、その後はフェリーでロージーという女性が車の中で切り裂かれて殺されます
人妻ジェーンがニューヨークの歓楽街を歩き、生本番ショーを見せるストリップ劇場へと入るのです、そこでは男女がセックスをパフォーマンスとして見せていてそれを録音しているジェーン
それをジェーンは夫に聴かせるのです、おそらく夫は性的不能者でジェーンは欲求不満なのです、ストリップ劇場でもパフォーマンスを観賞しながらもの欲しそうです
ジェーンを演じるのはアレッサンドラ・デリ・コリで男を求めて男ばかりのビリヤード場に行ってそこで男にテーブルの下でいたずらをされるもジェーンは欲情しているのです
ストリップ劇場でパフォーマンスを見せたストリッパーを演じるのはゾーラ・ケロヴァで彼女は急に呼ばれて何役かも知らずにいきなりストリップ劇場でセックスシーンの撮影だったそうです、でも殺されるシーンは楽しかったそうです
ウィリアムズ警部補のお気に入りの売春婦のキティを演じるのはダニエラ・ドリアで、彼女はカミソリで壮絶に殺されます、頭から切られて眼球まで切り刻まれて痛そうでした
フェイを演じるのはアルマンタ・ケラーで彼女は唯一の生存者で犯人は右手の指が2本なかったと証言、それに悪夢で彼氏のピーターに殺される夢を見るのです
ジェーンはその後に行きずりの男とホテルでベッドに縛られてセックスをするのですがラジオで連続殺人犯は右手の指が2本ないと知ってパニックです、その男とセックスするわ身動き出来ないわで大変です
ジャック・ベデレー演じるウィリアムズ警部補は何だかやる気があるのかないのか、捜査協力に大学教授のディヴィス博士に協力を求めます、精神分析などを取り入れていて後のサイコサスペンス映画ブームの先駆けでしたね
ルチオ・フルチ監督の新しい一面を見れた感じがしましたがパワーダウンは仕方ないのかも、残酷描写以上にエロさを全面に押し出しています
連続殺人鬼が迫りくる鮮血のエロス・スプラッター それが『ザ・リッパー』です。
ルチオ・フルチ監督作品は後1本くらいレビューしようかなぁ?
更に過激な続・裏237号室の『ザ・リッパー』のレビューはこちらです。