ひまわり | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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『ひまわり』

 

 

 

 

 

1970年 イタリア

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督 ビットリオ・デ・シーカ

 

脚本 トニーノ・グエッラ/ゲオルギ・ムディバニ/チェザーレ・ザバッティーニ

 

撮影 ジュゼッペ・ロトゥンノ

 

音楽 ヘンリー・マンシーニ

 

 

 

出演 ソフィア・ローレン/マルチェロ・マストロヤンニ/リュドミラ・サベリーエワ/アンナ・カレーナ/マリーザ・トラヴェルシ/ギュナーズ・カリンスキー

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

ソフィア・ローレン、マルチェロ・マストロヤンニというイタリアの2大スターを主演に迎え、戦争によって引き裂かれた男女の愛を描いたドラマ

 

時代に運命を翻弄された夫婦の悲劇を、「ミラノの奇蹟」「悲しみの青春」などで知られ、74年に他界したイタリアの名匠ビットリオ・デ・シーカの晩年の名作

 

東西冷戦下、欧米では初の試みとなったソ連ロケを行い撮影された広大なひまわり畑の風景と、ヘンリー・マンシーニによる悲しみが漂うテーマ曲が深い余韻を残す

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

第二次世界大戦終結後のイタリア、ロシア戦線で行方不明になった兵士の消息を求める関係者が省庁へと押し寄せていた、行方不明の夫アントニオ・ガルビアティの消息を求める妻ジョヴァンナの姿もあった

 

 

戦時中、陽気なナポリ娘のジョヴァンナとアフリカ戦線行きを控えた兵士アントニオは出会い、恋に落ちた、2人は出征を遅らせようと結婚する事で結婚休暇を取った

 

 

しかし休暇はあっという間に過ぎ、ジョヴァンナはアントニオの精神状態がおかしくなったと街頭で芝居をして精神病院へと入院させられた

 

 

病院の中で再会した2人は抱き合うが全て見られていて、病気を装って脱走を謀ったとして懲役か最も過酷なロシア戦線だと言われるも強制的にロシア戦線へ

 

見送るジョヴァンナに毛皮を土産にと笑顔を見せるアントニオら大勢の兵士を乗せた汽車は出発

 

 

やがて戦争は終わり、ジョヴァンナは年老いたアントニオの母親を励ましながら何年も駅でアントニオの帰りを待っていたが一向に戻っては来ない

 

 

そんなある日、ロシア戦線でアントニオと一緒だったという男に出会い、彼に話しを聞くと最後に見たのは雪の中で倒れているアントニオの姿だったと

 

ジョヴァンナは愛するアントニオを諦めきれず、ソ連にアントニオを捜しに行く事を決意する、かつて戦場となったウクライナでジョヴァンナは写真を手にアントニオの消息を尋ねて回るが手掛かりはない

 

 

各国の戦没者の眠る広大なひまわり畑を訪ねるも、ここにはアントニオはいないとアントニオの生存を信じてジョヴァンナはある時、イタリア人が住んでいるという家を教えてもらう

 

 

訪ねてみるとそこにはマーシャというロシア人女性がいた、マーシャは行き倒れていたアントニオを助けたが彼は記憶喪失になっており、2人は愛し合い娘も生まれたと話した

 

 

マーシャに連れられて駅に行くと降りて来る人たちの中にアントニオの姿があった、しかしジョヴァンナは声を掛けられず汽車に乗って涙を流した

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

戦争によって引き裂かれた男女の悲劇を描いた作品なのですが、男女だけでなく戦争はいろんなものを引き裂いています、それほど悲惨なものなのに何故繰り返すのでしょうか?

 

当時はソ連だったウクライナでのひまわり畑のシーンは壮大で素晴らしく、まさかその下に多くの戦没者が眠っているとは思いもしませんでした

 

 

そんな悲劇があった場所で今また戦争が起こっているなんて悲劇でしかありません、本作はそんな思いが世界中から寄せられたのか上映50年以上経って再び注目されています

 

イタリアの名優ソフィア・ローレンがロシア戦線で行方不明になった夫のアントニオを捜す妻のジョヴァンナを演じています、毎日毎日、何年も待ち続ける妻の姿は沢山あったでしょうね

 

 

アントニオを演じるのは名優マルチェロ・マストロヤンニで、ロシア戦線で行方不明となり、同じ部隊にいた男がアントニオは雪の中で倒れていたと

 

 

結婚前と結婚後の幸せな2人の姿が描かれるんです、海辺で抱き合う2人は陽気なナポリ娘のジョヴァンナは気が強くてアントニオも彼女のペースに翻弄される形で進みます

 

 

結婚なんか最悪だと言っていたアントニオなのですがジョヴァンナと結婚、しかしアントニオはアフリカ戦線への出征が決まっていたのですが結婚した事で休暇を得るんです

 

イタリアの兵士は結婚すると結婚休暇を貰えるようですね、休暇の間に戦争が終わると思っていたのですが、戦争は終わらず更に病気を装ったとしてロシア戦線へと送られるのです

 

 

イタリアとドイツと日本は当時同盟国だったのでイタリアはドイツに加担する為にロシアへと向かったのでしょうね、あまり歴史に詳しくなくて申し訳ないです

 

そのまま戦地に残された人は多いでしょうね、アントニオはロシアで死にかけたところをロシア人女性のマーシャに助けられます、マーシャを演じるのはリュドミラ・サベリーエワ

 

 

ジョヴァンナはもちろん悲しいでしょうけど、結婚して娘も生まれたマーシャもたまりませんよね、ロシア人女性がイタリア人男性と暮らしていたのにその妻が現れたならね

 

戦争によって悲しむ女性が2人もいるのです、もし戦争がなければアントニオはジョヴァンナと幸せに暮らしたでしょう、マーシャも他の誰かと一緒になっていたかもしれません

 

 

監督はカンヌ映画祭パルムドール、アカデミー賞外国語映画賞などに輝くビットリオ・デ・シーカ、それにヘンリー・マンシーニのテーマ曲も涙を誘います

 

それに当時は東西冷戦時代でヨーロッパの国がソ連で映画撮影に協力した事も面白くて興味深いです

 

 

 

 

 

哀しく激しく燃えさかる女の心に、咲き乱れるひまわりは愛のかげろう それが『ひまわり』です。

 

 

 

 

 

こんな悲劇がこの時代に行われているなんて悲しすぎます、この美しいひまわり畑がもう一度見れる事を祈ります。