アルプススタンドのはしの方 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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『アルプススタンドのはしの方』

 

 

 

 

 

2020年 アメリカ

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督 城定秀夫

 

原作 藪博晶/兵庫県立東播磨高校演劇部

 

脚本 奥村徹也

 

撮影 村橋佳伸

 

 

 

出演 小野莉奈/平井亜門/西本まりん/中村守里/黒木ひかり/平井珠生/山川琉華/目次立樹

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

そこは、輝けない私達のちょっとだけ輝かしい特等席

 

第63回全国高等学校演劇大会で最優秀賞となる文部科学大臣賞を受賞し、全国の高校で上演され続けている兵庫県立東播磨高校演劇部の名作戯曲を映画化

 

2019年に浅草九劇で上演された舞台版にも出演した小野莉奈、西本まりん、中村守里のほか、平井亜門、黒木ひかり、目次立樹らが顔をそろえる、監督は数々の劇場映画やビデオ作品を手掛ける城定秀夫

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

夏の甲子園大会の1回戦、応援が賑わう中、アルプススタンドのはしの方で演劇部員の安田あすはと田宮ひかるが観戦、2人は野球のルールがよくわからない

 

 

そこに元野球部員の藤野富士雄がやって来て近くに座り、2人は野球の解説をしてもらいながら3人で試合を観ている

 

 

あすはは高校3年生の青春ってこんなものなのかと藤野に話すと、演劇の関東大会に出たんじゃないのと聞かれ、出場目前に部員がインフルエンザに罹ってしまい出場出来なかった

 

藤野は野球部を辞めたのは園田がピッチャーでいる限りどんなに頑張ってもレギュラーにはなれないから諦めた

 

 

少し離れた所に成績優秀だが人付き合いが苦手な宮下恵が野球を観ていた、彼女は成績学年一位の座を初めて吹奏楽部部長の久住智香に明け渡してしまった

 

あすはとひかるがトイレに行った時に恵が藤野の近付き、園田の好きなものは何かと尋ねるが藤野の知らないと答え、そこに戻って来たひかるが智香の演奏が気合入っていると

 

 

ひかるは智香は園田と付き合っているからと話して恵はショックで体調が悪くなり、藤野とひかるが手を貸して恵をスタンドの外に出した、そこにあすはが戻り、ひかるが恵に付くからと気を遣う

 

 

あすははインフルエンザで出場出来なかったのはひかるのせいじゃない、誰でもインフルエンザに罹るんだからしょうがない、だから気を遣わないでと

 

恵がスタンドの外で休んでいると心配した智香がスポーツドリンクを差し出すがわだかまりがあって恵は受け取れない、恵は智香は私が欲しいものを全部持っていると言うと、智香は何も知らないくせに、真ん中は真ん中でしんどいんだよっと

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

甲子園で野球をしている高校球児も青春です、吹奏楽部で野球部を応援するのも青春です、スタンドで野球部を応援するのも青春です

 

 

高校野球をテーマにしている青春群像劇なのですが野球のシーンは一切出てきません、金属バットの音と歓声だけが野球を連想させます

 

演劇部の安田あすはを演じるのは小野莉奈で演劇部で台本を書いているのですが、関東大会の直前に部員にインフルエンザが出た為に欠場となるのです

 

 

同じく演劇部の田宮ひかるを演じるのは西本まりんで演劇部で主役を演じる予定だったのですがインフルエンザに罹ってしまい関東大会に出場出来なくさせてしまいます

 

 

この2人はもちろん友人関係なのですが、その関東大会欠場があってひかるはあすはに色々と気を遣ってるんです、それが嫌なひかるなんです、インフルエンザはしょうがないとね

 

元野球部の藤野富士雄を演じるのは平井亜門で、野球部には絶対的なエースの園田がいる事からどんなに頑張っても試合に出る事はないので野球部を辞めたんです

 

 

野球だけじゃなくいろんな事をしようと考えていて、俺の考えは正しいよな?とみんなに聞きます、それにずっとベンチを温めている矢野を馬鹿にしているんです

 

エースの園田に想いを寄せる宮下恵を演じるのは中村守里で、ずっと学年一位の成績だったのですが遂に二位となってしまって落ち込んでいるんです、それでも園田を応援しようとやって来たんです

 

 

恵から学年一位の座を奪った吹奏楽部の部長の久住智香を演じるのが黒木ひかりで、その上、野球部のエースの園田と付き合っているんです

 

 

この事で智香は恵に気を遣ったり、恵は智香は私の欲しいものを全部持ってると呟きます、智香も色々とあって真ん中は真ん中でしんどいとね

 

 

それでも結局はみんな一生懸命に野球部を応援するのです、藤野がバカにしていた矢野も試合に出るのです、みんな大声を出して応援して色んなわだかまりを吹き飛ばしてしまいます

 

 

監督は「ご主人様と呼ばせてください」「おまえ次第」などのピンク映画出身の城定秀夫で、どんなジャンルでも傑作にする料理人的な職人監督と称されてます

 

その後に社会人となった4人の姿が描かれるのですが、これがすごい長回しで良かったですね、青春をどんな感じで過ごしても良いじゃないですか

 

 

 

 

 

「しょうがない。」から始まる、演劇部、元野球部、帰宅部の空振りな青春 それが『アルプススタンドのはしの方』です。

 

 

 

 

 

茶道部の顧問が野球部をメチャメチャ応援してるんです、人生ってのは空振り三振の連続だとね。