『ワイルド・パーティー』
1970年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督 ラス・メイヤー
脚本 ロジャー・イーバート
撮影 フレッド・J・コーネカンプ
音楽 スチュー・フィリップス
出演 ドリー・リード/シンシア・マイヤーズ/マーシア・マクブルーム/デビッド・ガリアン/エリカ・ギャビン/ジョン・ラザー/マイケル・ブロジェット/フィリス・デイビス/エディ・ウィリアムズ/ハリソン・ペイジ
《解説》
妖しくすごい官能のセックス大作!
女ばかりのハード・ロック・トリオがハリウッドでまきおこす無軌道な青春の生態を描いた作品、製作・監督は「欲情」「真夜中の野獣」のラス・メイヤー
出演は新人ぞろいで、イギリスのモデル出身のドリー・リード、同じくシンシア・マイヤーズ、黒人モデルのマーシア・マクブルーム、舞台俳優のジョン・ラザー、「ヴィクセン」のエリカ・ギャビンなど
《物語》
ケリー、ケイシー、ペットからなる女3人組のハードロックバンドがマネージャーのハリスに連れられてハリウッドにやって来た、ハリウッドにはケリーの叔母スーザン・レイクが住んでいた
100万ドルの財産を相続したスーザンは資産家となり、広告業界で名を挙げ素晴らしいコネの持ち主、早速音楽プロモーターのパーティーに連れて行かれた、財産の三分の一はケリーが相続するものだと
プロモーターの名前はロニー・ジーマン、ケリーはロニーにパーティーに来ている人々を紹介されて有頂天、各部屋のあちこちでドラッグやセックスに耽っている
ロニーはケリーに1曲生バンドで歌わせてみんなに紹介、ロニーのおかげでキャリー・ネーションズというバンド名でデビューし、一躍ロック界の人気者にのし上がった
それによってマネージャー兼ケリーの恋人のハリスは居場所がなくなってしまう、忙しくて人気が増すにつれて関係が広がり、俳優のランスとベッドを共にする仲に
ランスは遺産相続を放棄しようと考えているケリーに対して財産の半分を相続するべきだと嗾けた、スーザンの弁護士ポーターはケリーに相続を諦めさせようとするが、ケリーは放棄しようと考えていたが半分を相続したいと詰め寄った
傷心のハリスは歩いて帰る途中にポルノ女優のアシュレーに声を掛けられ、彼女の誘惑に負けてしまい彼女のロールスロイスの中でセックスを楽しんだ
男性不信のケイシーは同性愛者のファッションデザイナーのロクサーヌに交際を迫られる、ペットは弁護士を目指す学生のエマーソンと恋人同士に
ポーターはケリーを見下してケリーに財産に関しての裏取引で5万ドルで手を打とうと持ち掛ける、ポーターを自宅に招いてドラッグを吸わせて色仕掛け
あるパーティーでハリスとランスが乱闘となりハリスはコテンパンにやられてしまう、そんなランスに愛想を尽かしたケリーは帰り際にポーターに5万ドルの契約書を叩き返した、それを知ったスーザンはポーターを解雇
行く当てのないハリスはケイシーの元へ、ケイシーはハリウッドに来てからパーティーばかりで2週間でおかしくなりそう、酒にドラッグで異常な世界、ハリスはケイシーに慰められて2人は一線を越えてしまう
ペットはパーティーでヘビー級チャンピオンのランディ・ブラックと知り合い、その日の内にペットの家でベッドを共にするがそこにエマーソンが現れて2人の仲は危機を迎える
キャリー・ネイションズはヒットを重ねるがテレビでの演奏中にハリスは目の前で投身自殺、脊髄損傷で半身不随、ケイシーはハリスの子を妊娠するがロクサーヌに説得されて中絶
ロニーは自分のビーチハウスで個人的なパーティーを開き、しかしそれは恐ろしい連続殺人事件へと発展してしまう
《感想》
口の中に銃を突っ込む描写から始まるのですがそこからガールズバンドの演奏に変わって、ハリウッドを目指す時には目まぐるしいカット割りでワクワクさせてくれます
当初は「哀愁の花びら」の続編として企画されましたが原作のジャクリーン・スーザンに拒絶された為に修正、映画の冒頭に2つの作品が関連がない事をテロップで流れます
監督はインデペンデント映画監督のラス・メイヤーで、本作は初のハリウッド・メジャー作品となりました、奇跡が奇跡を呼んで生まれた作品だと言われています
セックス映画の巨匠として60年代に脚光を浴びていたラス・メイヤーが製作した青春残酷物語です、ショウビズ界に取り込まれた3人の女性の悲劇を描いています
その描写は過激でセックスと暴力に満ちていて、ハリウッドでのショウビズ界での成功はこんなにも恐ろしいものなのかとね、まったく強烈です、華やかな世界の裏側ですね
ラスト近くの惨劇は映画製作開始直後に発生したマンソン・ファミリーによるシャロン・テート殺人事件の影響を受けており、当初の脚本ではこの展開ではなかったそうです
ハード・ロック・バンドの「キャリー・ネイションズ」のメンバーで本作の主人公のケリーを演じるのはドリー・リードですごく可愛らしい顔をしていてそれでいて力強いボーカルです
ギターを担当するケイシーを演じるのはシンシア・マイヤーズで、有名になってもパーティー三昧の毎日に疲れてしまって一人睡眠時間を優先しています
ドラムを担当するペットを演じるのはマーシア・マクブルームで、黒人女性ですが他の2人とは負けてないセクシーさで、登場する黒人男性はみんな彼女の虜です
ケリーの叔母スーザン・レイクを演じるのはフィリス・デイビスで、めっちゃ若い叔母さんで遺産相続を受けて広告業界で名を挙げ、業界に太いパイプを持っているのです
ケリーの恋人でバンドのマネージャーをするハリスが誘惑されるポルノ女優のアシュレーを演じるのはエディ・ウィリアムズで、毎回半裸で登場です
男性不信のケイシーは同性愛者のファッションデザイナーのロクサーヌと恋に落ちます、ロクサーヌを演じるのはエリカ・ギャビンで業界は同性愛者が多いのかな?
ハリウッドで成功すると毎日毎日パーティーでセックスとドラッグに溺れてしまうのでしょうか?ケリーとハリスは恋人同士なのですが、あっさりと他の相手とベッドを共にします
やはり成功すると近付いてくる人間も多くなり、欲望を持った奴らに感化されてしまったりと、純粋な人間も染まってしまいます、やはりショウビズ界は怖いですね
ラス・メイヤー監督の最高傑作! それが『ワイルド・パーティー』です。
田舎でハード・ロック・バンドをしていて成功を夢見てハリウッドに来るもこんなに恐ろしいとはね。
更に過激な続・裏237号室の『ワイルド・パーティー』のレビューはこちらです。