『ZOMBIO 死霊のしたたり』
1985年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 スチュアート・ゴードン
原作 H・P・ラヴクラフト
脚本 デニス・パオリ/ウィリアム・J・ノリス
撮影 マック・アールバーグ
音楽 リチャード・バンド
出演 ジェフリー・コムズ/ブルース・アボット/バーバラ・クランプトン/ロバート・サンプソン/デヴィッド・ゲイル
《解説》
首を断たれ、はらわたを引き裂かれても、なお…
アヴォリアッツ国際映画祭恐怖映画賞受賞、シトヘス映画祭グランプリ受賞 “死体蘇生”を可能にする薬を研究中の学生が実験を重ねるうち、よみがえった死体が暴れ出して騒動が起きる
怖さの中にもコミカルな場面がいっぱいのスプラッター・ホラー、怪奇小説の大家H・P・ラブクラフトの原作を、これが監督デビューのスチュアート・ゴードンがユーモアを交えながら奇妙な味付けで映画化
《物語》
某大学の研究室、ドクター・グローバーが血だらけになって死んだ、同室のハーバード・ウエストに容疑がかかるも、彼は命を与えようとしたと言う
マサチューセッツ州のミスケトニック・メディカル・スクール、ウエストはここの脳外科医ドクター・ヒルの研究室に入ることになるが、ウエストはドクター・ヒルの研究をドクター・グローバーの模倣だと揶揄、そして将来有望な外科医のダンが部屋を貸出しそれをウエストが借りた
ダンには学長ホルジー博士の娘でメグという恋人がいた、ダンの飼っている猫が見当たらない、メグは不審に思いウエストの部屋の冷蔵庫を開けると猫の死体と黄緑色に発光する血清があった
メグはウエストを罵るが、彼はダンに死体を甦らせる血清を発明したことを告げ、死体の猫を生き返らせ、実験の手伝いを強要するがダンは断り、ホルジーに報告をするも信じてもらえず、逆に警告を受ける
それによってダンは死体蘇生を証明すべく、ウエストと大学病院の死体置場の死体を使って実験を試みた、死体はゾンビとなって甦り、暴れだし騒ぎを聞きつけてやって来た学長のホルジーを殺してしまい大暴れ
ホルジーを殺した後も暴れるゾンビに対してウエストは手術用の電動ノコギリでゾンビの背中から胸まで貫きやっとの思いでゾンビを殺した
あわてた2人は血清でホルジーを生き返らせるものの、狂暴なゾンビ状態となったホルジーはドクター・ヒルに狂ったと思われ研究室に監禁される、ドクター・ヒルはそこでメグに力になると言いながら欲望の目で見ていた
学生ウエストの態度を快く思わないドクター・ヒルは彼の発明した血清を知り、横取りしようとして逆にウエストに首を切り落とされてしまい離れたままの体にウエストは血清を注射
別々に生き返ったドクター・ヒルはウエストを失神させて血清を奪い、研究室に戻ったドクター・ヒルは死体に血清を注射し、暴れださぬようロボトミー手術を行い死体を操ることに成功
そしてホルジーを操り娘のメグを誘拐させる、ドクター・ヒルは欲望のままにメグを我が物にしようと、それも父親のホルジーに誘拐させたのだ
ドクター・ヒルは手術台に気の失ったメグを寝かせて腕と脚を開かせて拘束して服を破いて全裸にした、そして欲望のままにメグの胸に手を這わせて体を弄び、ドクター・ヒルは悦びの表情
目の覚ましたメグに昔から慕っていたと言い、首なしゾンビのドクター・ヒルが自分の生首を抱えてメグの乳房を舐め回し、まさに今にも凌辱しようとしていた
その時、ダンとウエストがメグを救いに駆けつけた、しかしドクター・ヒルも待ち受けており一斉に暴れだすゾンビたち、多数のゾンビに成す術なくダンとメグは追い詰められ、ウエストは捕えられてしまう
研究室の地獄の修羅場でメグはゾンビに襲われ、メグの悲鳴を聞いたホルジーはメグを助けるべくドクター・ヒルの頭を粉砕するがホルジーはゾンビに引き裂かれてしまった
ウエストは大量の血清をドクター・ヒルに注射し殺そうとするが、ドクター・ヒルの内臓がウエストを襲いドクター・ヒルとウエストは絶命した
メグを救出したがゾンビに襲われダンは心臓マッサージを試みるが、メグの鼓動は甦らなかった、泣きながらダンはあの血清をメグに注射する
《感想》
ホラー作家の大家ラヴクラフトの原作「死体蘇生請け負い人 ハーバート・ウエスト」を読んだスチュアート・ゴードンが刺激され、この作品で監督デビュー、スチュアート・ゴードンはてっとり早く儲かるジャンルとしてホラーをチョイスしたようです
そこでスチュアート・ゴードンはバーバラ・クランプトンを得て、エログロの展開を派手に演出、彼女は出演作の中で最もグロくて滑稽だと言っています、ハーバート・ウエストを演じるのはジェフリー・コムズ、ダンを演じるのはブルース・アボット
たしかにバーバラ・クランプトンにゾンビと化したドクター・ヒルの生首が迫るシーンはグロくて滑稽です、でも彼女をここまでさせた監督は凄いし、演じたバーバラ・クランプトンも素晴らしかったです
このシーンを宣伝としてエロとホラー好きの男を呼び込み、大ヒットとなりました、ホラー映画でこんなエロいシーンがあるのは予想外でした、インパクトあるシーンです(笑)
まさか年配の大学の教授のドクター・ヒルが学長の娘をずっと性の対象として見ていたと弄びながら告白するシーンはまさに変態そのもので、寒気がしますね、こんなジジイになっても若い女が好きとはね
それが首を切られて胴体と別々になって人形の頭を被って、自分の頭は手に持ってるバケモノになるとはね、それでも女に対する性癖があるのはさすが(笑)
全編、小気味良い演出が快調で特に後半はホラー映画史上に残る名場面、珍場面の続出で、特殊効果が飛躍的に進歩した80年代、グチャグチャのドロドロのオンパレード
死んだ猫を生き返らせるシーンでも結構不気味でしたが、そこから人間を生き返らせるといきなりプロレスみたいになっちゃってます、派手なドタバタとなりましたよ
ドクター・ヒルが切断された自分の生首を抱きかかえてメグを舐め回したり、ロボトミー手術であやつられたゾンビのバトルロイヤル等々、爆笑と戦慄が医学の聖域にまでネジ込まれる過激なスプラッターです
やはり注目はダンの恋人メグ役のバーバラ・クランプトン、美しい肢体を披露して彼女のおかげで本作をおどろおどろしい傑作に昇華しています
この作品の成功はバーバラ・クランプトンによるものが大きいと思います、それほど貢献していますが彼女の出演作品は少ないようで数本しか観てないです、ホラー・クイーンの座もあったのにね
全米で究極のスプラッター!と言われた血しぶきの傑作 それが『ZOMBIO 死霊のしたたり』です。
製作のブライアン・ユズナによる続編があるのですが、なにもなかったかのようにハーバート・ウエストが出てきます、それにダンもドクター・ヒルもね、やはり傑作は本作ですね。
更に過激な続・裏237号室の『ZOMBIO 死霊のしたたり』のレビューはこちらです。