『かげろう』
2003年 フランス
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 アンドレ・テシネ
原作 ジル・ペロー
脚本 ジル・トーラン
撮影 アニエス・ゴダール
音楽 フィリップ・サルド
出演 エマニュエル・ベアール/ギャスパー・ウリエル/グレゴワール・ルプランス・ランゲ/クレメンス・メイヤー
《解説》
もう戻らないあの夏の日、彼はたしかにそこにいた
フランスを代表する監督「溺れゆく女」のアンドレ・テシネが描くラブストーリー、ナチスの侵攻が激化する時代のフランスを背景に、戦火を逃れる道中で出会った未亡人と青年の束の間の愛を見つめる
原作はジル・ペローの小説「灰色の目の少年」、出演は「8人の女たち」のエマニュエル・ベアール、「ジェヴォーダンの獣」のギャスパー・ウリエル
《物語》
1940年6月10日、ナチスドイツ軍が攻め入るフランス・パリ、人々は戦火を逃れる為に南を目指していた
夫を亡くした教師オディールも13歳の息子フィリップと7歳の娘カティと共にもう4日も車を走らせている、そして突然に戦闘機による爆撃に車は炎上
次々と倒れ、吹き飛ばされる人たちがいる中、オディールたちを救ってくれたのは青年イヴァン、そのまま森に身を隠した、イヴァンに警戒しながらも森の奥深くへと進むオディールたち、森で一晩を過ごし、イヴァンが見付けて来たものは無人の屋敷
イヴァンは壁をよじ登り、窓から侵入、そして電話線を切りラジオを隠した、そこはナチスドイツの手を逃れる為、避難したユダヤ人音楽家の屋敷だった
行動力のあるイヴァンにフィリップはたちまち敬意を抱き、尊敬の眼差し、4歳年上の彼を兄のように慕い始めるがオディールは警戒心を解かない
そんなイヴァンだが満足な教育を受けてはいなくて字が読めない、ワインの銘柄が読めずにイヴァンは読めない事がバレて屋敷を飛び出してしまう
知らずに傷付けてしまったフィリップは反省、オディールは近くに村に行くが既に避難した後、そしてその夜にイヴァンは戻って来た、死んだ兵士の銃や手榴弾、それに新聞
のどかな静けさに包まれた光あふれる楽園のような生活を始めた4人、イヴァンは昼夜問わず出掛け、食料となる鶏やウサギを近くの村から盗んで戻っている
イヴァンの犯罪まがいの行為に警戒しながらも不法に他人の家に住む罪悪感を持ち続けていたオディールも屋敷での生活を受け入れている
しかしオディールは疲れ切っていた、母親として正しくしなくてはいけない事にだ、時々ふと全てを投げ出したくなる、そんな自分の心に戸惑ってしまう
しかしある事件がきっかけでイヴァンは警察に捕まってしまった、そして…
《感想》
ギャスパー・ウリエルがフランス南部でスキー中に別のスキーヤーと衝突に遭い、搬送先の病院で亡くなりました、37歳でした、まったく残念です、まだまだこれからだったのに、合掌
ギャスパー・ウリエルが演じるのは17歳の青年イヴァン、まだ若いのに生きる事に貪欲で、行動力があり、なにより生命力が強い、この戦争下ではそれが物を言うのでしょうね
生きる為には少々の犯罪も厭わないイヴァンは森の中の豪邸を見付けて壁をよじ登って中に入ります、これが命懸けで凄い行動力です、オディールは無鉄砲なだけと
オディールを演じるのはエマニュエル・ベアールでフランスを代表する美人女優です、夫を戦争で亡くし息子フィリップと娘カティと一緒に集団で南へ向かう途中で攻撃に遭い、そこでイヴァンと知り合うのです
飛び出したフィリップを助けた事で行動を共にするのです、若い青年という事でオディールは警戒心を解きません、常にイヴァンに対して壁を作っている感じです
それに比べてフィリップは頼れる兄貴のようにイヴァンを見つめるのです、カティもお嫁さんにして欲しいとイヴァンのベッドに入って一緒に寝てとね、でも満足な教育を受けていなくて字が読めないんです、それを知られて出て行ってしまいます
イヴァンは死んだ兵士から武器を手に入れて戻ってきます、そして食料も、しかし疲れて倒れてしまったイヴァンが眠る隙にオディールは危険だからと武器を隠してしまうんです、そしてイヴァンに字を教えるんです
そこに兵士が2人現れてオディールたちに緊張が走ります、フィリップはすぐに狩りに出ているイヴァンに知らせます、オディールは兵士に風呂と食事とワインを与えます
イヴァンはオディールが兵士に犯されるのではと斧を持って屋敷に入るのですがフィリップに止められて屋敷から出るのです、結局は兵士は次の朝に出て行くのです
その夜にオディールとイヴァンは森の中で一線を越えるのです、ポスターなどで官能的な作品かと思われがちですがセックスシーンはその1回だけです、2人はお互いを必要としていたのですね
その後にイヴァンは農場にいた所を捕まってしまうのです、そこで警察はオディールにイヴァンの本名と脱走者だと説明され、オディールたち家族もこの生活に終止符が打たれるのです
戦争によって出会うはずのない者が出会って束の間ではありますが、家族のような生活をしていた、戦争の終結によって離れ離れとなってしまう、それにラストは悲劇なのですがオディールは笑顔で締めくくるのです
孤独な17歳の青年に愛された美しい未亡人、閉ざされた楽園であらわになってゆく裸の心 それが『かげろう』です。
かげろうを変換して時に陽炎が出たのですが、本作は蜻蛉の方が似合いそうです。
更に過激な続・裏237号室の『かげろう』のレビューはこちらです。

















