『暴力教室』
1976年 日本
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 岡本明久
脚本 奥山貞行/神波史男/福湯通夫
撮影 中島芳男
音楽 菊池俊輔
出演 松田優作/舘ひろし/山本由香利/安西マリア/南条弘二/結城なほ子/室田日出男/佐藤蛾治郎/名和宏/河合絃司/クールス/丹波哲郎/小林稔侍
《解説》
そこでは!手のつけられない暴力獣軍が放し飼いにされていた!
松田優作が演じるのは腕っぷしの強さで不良生徒たちをおとなしくさせようとする過激教師、だが、やがて主人公は真の敵が不良たちでない事に気付いていく
不良性感度に満ちた東映プログラムピクチャーの傑作、松田優作に勝るとも劣らない存在感を見せる舘ひろしは本作が映画初出演、2人の壮絶な殴り合いは凄まじい迫力
《物語》
愛徳学園高校に転任してきた体育教師の溝口勝利、そこは不良グループらが支配する問題の多い学校、溝口はリーダーの喜多条ら不良グループのいるクラスの担任を任せられる
初日に自己紹介でナイフを投げつけられるが溝口は喜多条に投げ返して対抗、溝口は喜多条らを授業でしごくがグループのメンバーらは授業を抜け出して万引きをして溝口と対立、喜多条は家庭でも父親と確執があった
その頃、学園の理事長の石黒は校長の難波と結託して学園の移転に伴い、20億の土地売却に絡めて4億をポケットに入れようと企てていた
この話を聞いてしまった理事長の娘のますみはショックを受けて夜の街へと行き、そこで知り合った喜多条らに酒とタバコとシンナーを教えられて意識朦朧となる中でセックスをし、その写真を理事長に送り付けられた
スキャンダルを恐れた理事長は事態を収拾するべく溝口を派遣、溝口はリンチを受けながらもメンバーの1人の顔面を一発で殴り倒した、それを見た喜多条はネガを渡して「先公、面白くなってきたな」
溝口は過去を調べた喜多条は溝口が元プロボクサーだと知り、喜多条は溝口をなじるが溝口は何とも思わず、次からは呼び出さず出向いて来いと
怒りの収まらない喜多条は溝口の妹の純子を暴行、逆上した溝口は学校で多くが見守る中で喜多条と1対1の対決となるが、校長が警察に連絡し、溝口は自宅謹慎となり喜多条は退学となる
不良たちの勢力が衰退した今、校長は生徒会長で剣道部の新田を利用し、剣道部員を動員させて両者を対決させる、更に学校の汚職を追及する女教師の花房を一緒にいた純子共々暴行して口封じ
逃げた純子がトラックに撥ねられてしまい死亡、全てが学校側の仕組んだ罠だと知った溝口と喜多条は学校に乗り込んで行く
《感想》
1989年11月6日に亡くなった松田優作(享年40)の三十三回忌法要が行われました、妻で女優の松田美由紀、長男の松田龍平、次男の松田翔太、長女の松田ゆう姫ら家族と俳優たち60人が参列しました
おいらは子供の頃から松田優作が大好きで今でもテレビドラマの「探偵物語」をたまに観ますもん、でもいつの間にか松田優作の亡くなった年を越えてしまいました、月日が経つのは早いですね
本作は松田優作の初主演作品です、役どころは不良グループが蔓延る学校に赴任してきた体育教師です、当時は全国に不良がいて学校崩壊なんて時代だったようですね
その時代を反映した高校生バイオレンス作品制作となり、当初は「激突!殺人拳」の千葉真一を主演として企画され、不良生徒たちは千葉真一が率いるジャパンアクションクラブのメンバーと予定されていたのですが、千葉真一が別作品の主演に決まり、主役不在で撮影がスタート
監督の岡本明久は松田優作を推薦するも前年に起こした暴力事件で追放されていてプロデューサーも反対、しかし監督は松田優作しかいないと出演交渉して承諾してもらい、その存在感は圧倒的です
不良グループのリーダーの喜多条を演じるのが舘ひろし、本作が映画初出演で本人は後にセリフは棒読みで覚えられないとの理由で3分の1に減らしてもらったそうです
当時の東映はヤクザとポルノのイメージが取れてきたところで、家族連れや若い女性客の集客を狙って娯楽作品を手掛け、アメリカ映画で流行った作品をベースにしたようです
とにかく時代が時代なのでメチャメチャなシーンもあります、学校にナイフを持ち込む不良生徒は教師に投げつけたり、理事長の娘を暴行してそれをネタに脅したりとね
溝口の妹を演じるのが山本由香利で、喜多条に暴行されるのです、しかし喜多条は純子に惚れてしまうのです、理事長の悪巧みで学校の汚職を知った花房と共に襲われそうになり逃げる途中でトラックに撥ねられてしまいます
女教師の花房を演じるのが安西マリアで理事長の娘のますみから聞いた話しで理事長の汚職を知って追求しようとして暴行されます、それは校長の命令で剣道部が不良グループの格好をしてやったんです
もう何が正義なのか分からなく展開で、学校を守る為に理事長や校長が悪に染まるなんて言語道断で、ラストには妹を失った溝口と学校側に嵌められた不良グループが理事長や校長と対決するんです
松田優作は183センチの身長は当時としては凄く高くて存在感が半端ないです、舘ひろしも荒削りながら光るものを感じさせます
凄まじい非行リズムに狂った地獄の教室に憎悪むき出して争う非情教師と不良グループ! それが『暴力教室』です。
松田優作が亡くなって33年とは時間なんてあっという間ですね。
更に過激な裏237号室の『暴力教室』のレビューはこちらです。