殺人の追憶 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

『殺人の追憶』

 

 

 

 

 

2003年 韓国

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 ポン・ジュノ

 

脚本 シム・ソンポ

 

撮影 キム・ヒョング

 

音楽 岩代太郎

 

 

 

出演 ソン・ガンホ/キム・サンギョン/パク・ヘイル/キム・レハ/ソン・ジェホ/ピョン・ヒボン/パク・ノシク/チョン・ミソン

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

1986年ー1991年、韓国のある農村で10人の女性が殺された、3000人の容疑者が取り調べを受け、180万人の警官が動員されたがたった1人の犯人はまだ捕まっていない…

 

娯楽性と社会性を兼ね備えた一級エンターテインメントで、2003年の韓国で560万人を動員し、年間興行成績トップに立った話題作、連続猟奇殺人事件を描くサイコ・ミステリーとして緊張感が見事

 

物語の重要な背景である1980年代韓国の社会的混乱(軍事政権下で夜の灯火管制が犯罪を増やしたこと、デモ鎮圧のため警察の犯罪捜査が遅れたなど)も盛り込んだ問題意識も鮮烈

 

主役は「シュリ」「JSA」で知られる、韓国の名優ソン・ガンホ、田舎の少々、愚純な刑事を演じるため、体重を10キロ増やし役作りした、監督・脚本は「ほえる犬はかまない」のポン・ジュノ

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

1986年10月23日、ソウル近郊の華城市の農村で若い女性の全裸死体が側溝で発見された、後ろ手に縛られて強姦されて頭に下着を被せられていた

 

 

2か月後、似た手口の強姦殺人事件が発生、警察は現場保存も出来ず、鑑識もなかなかやってこない、特別捜査本部が設置され、地元の刑事のパク・トゥマンが捜査の末に最初に容疑者に挙げたのは頭の弱い焼肉屋の息子のクァンホ

 

 

短気な相棒のチョ・ヨングによって拷問まがいの取り調べで自白の強要、そしてソウル市警から派遣されたソ・テユンがやってきたが、いきなりパク刑事に強姦犯に間違われて殴られる羽目に

 

強引に証拠をでっち上げて責め立てて自白を強要するパク刑事と、事件書類を几帳面に検討し、事件の糸口を辿るソ刑事、スタイルの違う2人は最初から衝突が絶えなかった

 

 

もちろんクァンホは証拠不十分で釈放、警察署長は解任され、マスコミは事件は迷宮入りかと騒ぐ、2人の被害者の共通点は雨に日と赤い服装

 

 

ソ刑事はトッコ・ヒョンスンという女性が行方不明になり捜索願いが出されている事に注目、行方不明になった日の服装は赤でソ刑事が推測した場所で遺体となって発見された

 

後ろ手に縛られて頭には下着を被せられて強姦されていた、更にパク・ミョンジャが同じように遺体で発見される、ある夜に現場で女性用の下着を着けて自慰をしていた男を容疑者とするが無関係

 

 

女性警官ギオクがラジオからある曲が流れると殺人事件が起きると気付き、その夜にアン・ミソンという女性が殺害された、しかも膣の中から桃の実が9切れ見付かった

 

 

リクエスト葉書からテリョン村に住むパク・ヒョンギュという青年が容疑者として浮かび上がる、しかし確証がなく取り調べでは狡猾なヒョンギュに対してチョ・ヨング刑事が暴力を振るい問題となり釈放

 

 

以前に録音したクァンホのテープを聴き、それは自白ではなく事件を目撃した事に気付き、クァンホの家に行くがクァンホは捕まり殺されると思い逃げ、列車に撥ねられて死んでしまう、マスコミは警察を責め立てる

 

 

そして新たな殺人が起き、その犠牲者はソ刑事が捜査途中で知り合った少女、強姦され膣の中にはボールペンとスプーンが入っていた、ソ刑事はヒョンギュの自宅に行き、殴る蹴るの暴行をして拳銃を突き付けて自白を迫る

 

 

そこにパク刑事が現れてヒョンギュと犯人のDNA鑑定の結果の書類を見せると、DNAが一致しないとの結果が記されていた、ソ刑事は呆然とし、逃げるヒョンギュに発砲、事件は未解決のまま時は過ぎる

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

とにかく凄いです、コメディタッチかと思えばシリアスな展開、「ほえる犬はかまない」のポン・ジュノ監督作品で前作はブラックユーモアぽかったのですがガラッと変わっての本作です

 

 

しかし本作は韓国で1980年代に実際に起こった華城連続殺人事件を巡る刑事たちを描いており、事件のノンフィクションではなくて事件をモチーフにした戯曲だそうです

 

主人公のパク・トゥマンを演じるのは「復讐者に憐れみを」のソン・ガンホ、まったく信じられない捜査の方法で当時の韓国ではこれがまかり通ってたと思うと更に怖いです

 

 

しかも恋人のソリョンから聞いた話しで知的障害を持つ焼肉屋の息子のクァンホを犯人と決め付けて取り調べを行うんです、これが尊厳を侮辱するような取り調べというか拷問なんです

 

 

パク刑事の相棒のチョ・ヨングは気が短くてすぐに暴力を振るうんです、それは正義感からくるもののようには見えなくて気に入らないから殴る蹴るの暴行を加える感じですね

 

 

そこにソウル市警からソ・テユン刑事が赴任するんです、クァンホを犯人と決め付けるパク刑事とチョ刑事はクァンホの靴を現場に足跡として残して写真を撮って証拠とする無茶苦茶な捜査

 

しかしソ刑事は麻痺するクァンホの手では縛ったりが出来ずに犯行は不可能だと断定、そんな事でソ刑事とパク刑事は対立する事になるのですが、そりゃそうだ

 

 

ソ・テユンを演じるのはキム・サンギョンで見るからにイケメンでパク刑事とは正反対です、さすがソウル市警から来た男です、でもいきなりパク刑事に飛び蹴りされて強姦魔と間違われてしまうんです

 

 

この華城連続殺人事件は本当に凄惨で強姦するだけでなく死体を蹂躙して膣の中に何かを入れるような事までするんです、それは何かのメッセージでもなく悪戯のようです

 

ソ刑事が知り合った女子高生が犠牲となるんです、このシーンは下着姿の女子高生をカバンでも持つように運ぶ犯人にちょっとゾクっとしました、ただこの女子高生の表情からは恐怖は感じられなかった

 

 

この華城連続殺人事件は時効となっているのですが、2019年9月に刑務所にいる囚人たちのDNAをデータベース化する事になり、その時に犯人が明らかになったんです、犯人のイ・チュンジェは女性10人を強姦殺人をしたとされていましたが、その後に14人の強姦殺人していたことが発覚、更にイ・チュンジェは34件の事件を犯したと主張、しかし証拠不十分で立件は9件となっています

 

初めて本作を観た時は韓国の3大未解決事件として紹介されていました、それが時効後とは言えはっきりした事は大切だと思います、容疑者は3000人もいて自白による拷問で自殺した無実の人もいたそうです、冤罪で投獄された人も

 

久しぶりに観ましたけど、ポン・ジュノ監督のルーツを見た感じがしましたね、2時間以上の作品ですが長さを感じさせません、それほど見入ってしまう作品です

 

 

 

 

 

 

おまえが殺ったことを憶えているか? それが『殺人の追憶』です。

 

 

 

 

 

ソウルオリンピックの影に隠れて行われた国の隠と陽って感じですね、その頃も軍事政権下だったんですね、隣国ですが何も知らないです

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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