シーバース/人喰い生物の島 | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

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『シーバース/人喰い生物の島』

 

 

 

 

 

1975年 カナダ

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 デビッド・クローネンバーグ

 

撮影 ロバート・サード

 

音楽 アイバン・ライトマン

 

 

 

出演 ポール・ハンプトン/ジョー・シルヴァー/リン・ローリー/アレン・マジコフスキー/バーバラ・スティール/スーザン・ペトリ/ロナルド・ムロジク

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

セックスによって人から人へ移っていく寄生虫による恐怖を描いた侵略SF

 

人間の内臓の代わりとなるべく研究されていた寄生虫には、人の理性を失わせるという隠された目的があった、寄生虫は人から人へ移っていき、舞台となるマンションの住民は次々と支配されていく

 

「ボディー・スナッチャー/恐怖の街」タイプの侵略SFで、鬼才デビッド・クローネンバーグ監督の長編デビュー作だが特有の内臓感覚は既に現れている

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

カナダのとある避暑地の島、スターライナー島と呼ばれる高級リゾートマンション、そこで中年の男が少女を絞殺、死体を裸にして医療用メスで腹を裂き、そこに硫酸を流し込んだ

 

 

そして男は自分の喉を描き切って自殺、その死体を発見したのは島の診療所の医師のセントレック、自殺したホッブス医師に呼び出されていたのだ、殺された少女はアナベルと判明した

 

 

ホッブスは臓器移植に代わる物を探していた、そこで人間に役立つ寄生虫に目を付けたのだ、それは人間の臓器と同じ機能を果たす寄生虫だ

 

その寄生虫を人間に寄生させると寄生虫自体が臓器の代わりを務めるになり、より向上された内臓機能を与えてくれるというもの、ホッブスは自分の元教え子であるアナベルで人体実験をしていたのだ

 

その結果アナベルは色情狂となりマンション内のいろんな男たちと関係を持って男たちもみな寄生虫に憑りつかれて肉体を乗っ取られて凶暴化してしまった

 

 

ホッブスは皆を騙して研究をしていたのだ、人間を思考し過ぎる動物と考えて肉体や本能を忘れ、脳を優先させている、そこでホッブスが考えたのが寄生虫だ

 

 

催淫効果と性病を併せ持つ寄生虫が世界を快楽の渦に巻き込むという計画、アナベルに寄生虫を移植したら性欲丸出しとなってしまって手に負えなくなって殺したのだ

 

この事に気付いたホッブスの知人の医師セントレックが事態を収拾しようとするが時すでに遅し、寄生虫がマンション中で撒き散らされ他の住民を襲い始めた

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

「スキャナーズ」でその名を知ったデビッド・クローネンバーグ監督の長編デビュー作です、初めてこの作品を観た感想は、デビッド・クローネンバーグってちょっと変態なのかも?(笑)

 

 

オープニングから初老の男が少女を絞殺して裸にしてメスで体を裂いて硫酸を流し込むんです、そしてメスで自らの喉を裂いて自殺、それと並行してスターライナー島の高級マンションの紹介が挟まれます

 

この部屋での惨劇を通報したのはマンションの診療所の医師のセントレック、でもその前にこの部屋にやってきた男がいたんです、それがこのマンションに住むニック

 

ニックの妻のジャニーンは夫の体調が優れなくて心配なんです、ニックは出勤するとまず最上階の部屋に行くんです、この部屋の家賃を払っているのは初老の男ホッブス医師で住んでいるのはアナベルなんです

 

死体を見たニックは誰にも告げずに部屋から逃げるように出て行くんです、ニックはアナベルと関係があったんです、ですがそれ以降は体調不良なんです

 

 

ホッブス医師の人体実験の対象としてのアナベルは臓器移植の代わりの寄生虫を代用していたんです、しかしそれは表向きでホッブスは研究に憑りつかれていたんです

 

寄生虫によって人間の抑圧された欲望を解放しようとね、アナベルは催淫効果で性欲が増大してマンションの数人の男と関係を持つようになり、関係を持った男は感染してしまうんです

 

結果的にホッブスは寄生虫が自分の手に負えなくなってアナベルを殺害して寄生虫をも殺そうとしたんです、だけど時すでに遅しで寄生虫の成長は速くて、しかも体内で増殖してしまうんです

 

ジャニーンを演じるスーザン・ペトリはポルノ女優らしくて演技で泣けなくてクローネンバーグに殴られて涙を流したそうです、それを見たバーバラ・スティールがクローネンバーグの事を変態監督だと罵ったとか

 

 

看護師のフォーサイスを演じた「処刑軍団ザップ」のリン・ローリーもエロい雰囲気があってクローネンバーグの好みがよく分かります、それにカナダの女性はノーブラなんですね

 

 

それに寄生虫ってそこそこ大きいのにこれが体に入ったら結構な違和感があるし痛みも相当ですよ、入浴中のバーバラ・スティールの股間から侵入して苦しんだ後は体を乗っ取られた感じです

 

 

マンション内は性欲に狂った人間たちだらけとなってしまうんです、それはまるでゾンビのように襲い掛かってくる噛み付くのではなくて服を脱がしに掛かってくるんです、内臓がウネウネと皮膚の下で動いたりとやっぱクローネンバーグは変態でした

 

 

 

 

 

巨匠デビッド・クローネンバーグが初めて撮った伝説の劇場用ホラー映画 それが『シーバース/人喰い生物の島』です。

 

 

 

 

 

まだまだ荒削りですがクローネンバーグらしさが垣間見えた感じがしました、エログロナンセンスですね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更に過激な裏237号室の『シーバース/人喰い生物の島』のレビューはこちらです。