『Love Letter』
1995年 日本
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 岩井俊二
撮影 篠田昇
音楽 REMEDIOS
出演 中山美穂/豊川悦司/范文雀/篠原勝之/鈴木慶一/田口トモロヲ/酒井美紀/柏原崇/加賀まりこ/光石研/鈴木蘭々/塩見三省/中村久美/長田江身子/小栗香織/神戸浩/酒井敏也
《解説》
拝啓、藤井樹様、あなたは誰ですか
岩井俊二監督初の長編、中山美穂がひとり2役で演じるヒロイン2人が、同じある男性に寄せた想いを描く感動ラブストーリー、中山美穂が演じるのは、神戸と小樽に住む2人の女性、彼女たちが文通で交流するユニークな展開、繊細な映像美を通じ、届かぬラブレターに託された想いが愛の奇跡を生む
それまでCMやTVドラマで活躍してきた岩井俊二が、第34回日本映画監督協会新人賞に輝いた翌年、初めて手掛けた長編、後に独自の感性を早くも発揮していた天才ぶりに注目
《物語》
神戸に住む渡辺博子は婚約者の藤井樹を山の遭難事故で亡くし、あれから2年経った今も忘れられずにいた、三回忌法要の際に彼の実家に寄った博子は樹の母から中学時代の卒業アルバムを見せてもらう
中学の頃は小樽に住んでいて当時の住所は既に国道になっていると聞いた、アルバムの名簿から当時の住所を書き取り、その後に博子はその住所に手紙を出した
国道となっていて届くはずのない住所だったが、しかし驚くことに手紙の返事が届いた
小樽で祖父と母と3人暮らしで図書館で働く藤井樹の元に一通の手紙が届いた、送り主の渡辺博子に心当たりがなくモヤモヤする樹は返事を出した
彼女は博子の恋人だった樹ではなく同姓同名の女性だった、その後も博子と樹は相手が分からないままに何度か手紙のやり取りをする事となった
その事を樹の友人で彼と共に山登りをした秋葉に相談するとイタズラだと言い、博子に内緒で証拠を見せろと樹に手紙を送った、その手紙に気分を害した樹は、自身の免許証のコピーを同封して送った、それを受け取った博子は手紙の相手が女性の樹と知って落ち込んでしまう
そこで秋葉は博子に樹を探す小樽旅行を提案、小樽で彼の家があった場所はやはり国道で2人は手紙の住所を訪ねるが樹は不在、そこで置手紙をした
これまでのお詫びと自分の恋人の名が藤井樹だった事をしたためた、帰宅した樹は博子の置手紙に驚くが彼女も中学時代に同姓同名の同級生がいた事を思い出した
再び、樹は博子に手紙を送り、その後に博子は彼について覚えている事を教えて欲しいと樹に手紙を書き、こうして2人の交流が始まった
《感想》
今だにおいらの邦画ナンバー1かもしれません、それほど何回も観てます、当時は岩井俊二の長編映画デビュー作でそれまではテレビドラマや短編でその名を轟かせていました
岩井俊二という事で当時は観たと思います、おいらは中山美穂があんまり好きな女優ではなかったのでね、でも本作の中山美穂は一番良いと思ってます
不良っぽいアイドルでデビューしてからどうも好きになれなかった、当時はアイドル全盛期でアイドルだらけでしたからね、他の可愛いアイドルとは一線を画してましたね
その中山美穂が神戸の博子と小樽の樹の2役を演じています、博子は繊細で大人しいイメージの女性で、樹は気の強いイメージでした、上手く演じ分けていましたね
中学時代の樹を演じるのが酒井美紀で本作が映画デビュー作、そして博子の恋人の樹の中学時代を演じるのが柏原崇、彼も本作が映画デビュー作です、2人ともいろんな映画祭で新人賞を獲ってます
この2人の中学時代が本当に青春で清々しいです、同姓同名ってだけでからかわれたりするし、強制的に2人とも図書委員をさせられたりとね、これがきっかけで樹は小樽で図書館司書をしています
この図書委員である事がラストに爽やかな感動を運んでくれます、こんなオチが待っているとは当時は胸にグッと来たものです、中山美穂の涙を堪える演技も良かった
博子を支える秋葉を演じるのが豊川悦司で、自分が博子を樹に紹介したのに樹と博子が付き合ってしまったんです、樹が亡くなって秋葉は博子と付き合っている感じなのですが博子はまだ吹っ切れてないんです、キスをする仲なんですけどね
そこで秋葉が樹の遭難した山へと連れて行くんです、そこで博子は吹っ切れたように山に向かって、「お元気ですかー、私は元気でーす」と叫ぶんです、これが何だか締め付けられるように良いシーンなんです
樹は博子に一目惚れだと言ったのですが、実は樹は同姓同名の樹が気になる存在だったようですね、卒業アルバムを見て博子は樹に嫉妬するんです、亡くなってもまだ嫉妬しているんです、こんなに愛される樹って
他にも語りたいシーンはいっぱいありますが、終わらなくなるのでこの辺で終わります、また改訂するかも知れませんが、それほど好きな作品でした
僕らにとってこれはとても忘れがたい大切な映画です、岩井俊二 それが『Love Letter』です。
中山美穂の変な関西弁も面白い、豊川悦司はさすがの関西弁で「一番良いところ」を「いっちゃんええとこ」と喋るのが素晴らしかったです(笑)