『死霊のはらわた』
1981年 アメリカ
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 サム・ライミ
撮影 ティム・ファイロー
音楽 ジョセフ・ロデュカ
出演 ブルース・キャンベル/エレン・サントワイズ/ベッツィー・ベイカー/ハル・デルリック/サラ・ヨーク
《解説》
全米を震撼させた残忍ホラー映画の、まさに決定版
休暇を郊外で過ごそうと別荘を訪れた数人の男女が、そこで見つけた死者の書の呪文を紐解いたために邪悪な死霊が復活、次々と若者たちを血祭りに上げていく
細切れにされヒクヒク蠢く肉片、叩き潰される指、サクサク、ヌメヌメと朽ち果てていくゾンビの死体、特殊メイクとSFXが見所のスプラッター・ムービーの代表作
ミシガン州立大学時代に撮った映画をリメイクしたサム・ライミの商業映画初監督作、日本でも大ヒットし、スプラッター・ホラー映画ブームの火付け役となった
《物語》
テネシー州の山奥にある貸別荘に休暇を楽しむためにやってきた、アッシュと恋人のリンダ、友人のスコットと恋人のシェリー、そしてアッシュの妹のシェリルら5人の男女
彼らはパーティを始めるが突然地下室の扉が開き、その地下室で髑髏の剣に古いテープレコーダー、そして古い本を発見する、そこに録音されていたものに興味を示し再生してみることに
テープに録音されていたものは、かつてこの小屋で中世から伝わる古文書を研究していた学者が「死者の書」を解読したものだった、それは森に棲む死霊を眠りから起こすための呪文だった
呪文は再生されるが、5人はそんな物が存在するとは思えないと笑い飛ばす、死霊が甦り人間に乗り移った時には体をバラバラにするしか方法はないと
外に何か気配を感じたシェリルが森に行ってみると木の枝がまるで触手のようにシェリルを襲い凌辱し始めた、何とか引きちぎって逃げ返ったシェリルだったがその事実を誰も信用出来なかった
ケガをしたシェリルは恐れをなしてアッシュに帰ろうと哀願、2人は車に乗るが途中の橋が渡れなくなっていてシェリルは半狂乱となって泣き叫ぶが小屋に戻るしかなかった
みんなゲームに興じるのだったが、シェリルが森の死霊に憑りつかれ化け物のように変貌し、男のような声でうめき出しリンダとアッシュに襲いかかってきた
人間とは思えない怪力で暴れまわり、襲いかかるシェリルをなんとか地下室に落として鍵を掛けた、閉じ込めることが出来たが解決にはならない
次にシェリーが死霊に変貌し、襲い掛かってくる、体をバラバラにしないと死なない死霊に対し、スコットはかつての恋人のシェリーを斧で切り刻む
スコットとアッシュはシェリーを埋葬した後、今後を相談するが決裂、森を抜けるというスコットはアッシュとリンダを置いて小屋を出て行ってしまった
リンダも死霊に変貌してしまうが恋人をバラバラには出来ずに埋葬することにするが、再びリンダが襲いかかりアッシュはシャベルでリンダの首を切り落とした
ひとりになったアッシュだったが、そこに重傷を負ったスコットが小屋に戻ってきた、森に襲われ脱出する事が出来なかったのだ、その後にスコットは息を引き取った
その頃、地下室のシェリルが怪力で脱出、恐ろしい形相で再びアッシュに襲い掛かる、銃を撃ってもビクともしない、ドアを固定して部屋に入れないようにするアッシュ
しかしスコットも死霊と化して背後からアッシュを襲う、ドアを破って入ってくるシェリルと2人を相手に必死で戦うアッシュは既に満身創痍で形勢不利な状況
そしてアッシュは血みどろの決戦へと立ち向かってゆく…
《感想》
世界的なモダンホラー作家である、スティーブン・キングが“本年最高の残忍なホラー映画”と評価した本作で、サム・ライミのデビュー作です
まずは噂が先行してなかなか日本で公開されなかった本作、そして公開されるやいなや、大ヒット、しかもスプラッターというジャンルまで確立し、スプラッター・ホラームービー・ブームが巻き起こりました
出演者はたった5人ですがパワーあふれる演出でグイグイ引っ張って行きます、本当に面白い展開で驚きです、主人公はブルース・キャンベル演じるアッシュです
アッシュの妹のシェリルが森で声を聞き、声のする方に行ってみると森が襲いかかってくる、木のツタや枝に体の自由を奪われ衣服を剥ぎ取られ森に凌辱され、身体と心に傷を負ったシェリルは死霊に魅入られ最初の怪物と化してしまいます
怪物と化したシェリルはアッシュの恋人、リンダのくるぶし辺りに鉛筆を突き刺す、これが本当に痛そう!、結果的にリンダはこの傷が原因で怪物になります
その次に怪物になるのはアッシュの友人のスコットの彼女、ここで男2人の性格が表れます、スコットは彼女を斧でバラバラにして殺します、愛する彼女でも簡単にバラバラに出来るんですね
アッシュはシェリルやリンダをなかなか殺す事が出来ません、自分勝手なスコットと逆のアッシュ、結局は最後まで残るのはアッシュの方ですが
その後は血や肉片が飛び散り壮絶で凄惨な阿鼻叫喚の世界、全編にオリジナルで制作したと言われるシェイキイカムカメラが不気味な森の雰囲気を醸し出しています、リンダの笑い方や、スコットの眼球潰しはインパクトあります
オープニングとエンディングの地を這う映像はさすがに迫力あります、これが自作のカメラってのが凄いですもんね、予算があればステディカムカメラを使いたいところですね
腐敗していく死霊たちのストップモーション・アニメーションも見事でした、低予算でアイデア勝負みたいなとこがあったようですね、素晴らしかったです、特殊メイクのトム・サリバンの手腕はさすがですね
登場する車はその後のサム・ライミ監督作品の常連となりました、もともと私物なのかな?、監督はあまりに低予算でカメラマンと2人だけの撮影もあったそうです
ホラー映画を語るうえで絶対に外せない映画の1本です、ホラー映画の歴史を変えてしまったほどの傑作です、続編の「死霊のはらわた2 」も強烈ですよ
極彩色の血飛沫がブッ飛ぶ!内蔵が飛び出る!これぞスプラッター・ムービー! それが『死霊のはらわた』です。
DVDにはドキュメント、未公開シーンやNGが特典です、不気味に笑いすぎて喉を壊したり、煙が多すぎてむせてしまったシェリル役の女優さん等が映画とは反対で笑えます
更に過激な続・裏237号室の『死霊のはらわた』のレビューはこちらです。