ゴジラ(1954) | 続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

続・237号室 無事是A級からZ級映画列伝

タカによるA級からZ級映画まで、榮級は絢爛豪華な超大作、美級は美しい女優や映像美、死級は禍々しい阿鼻叫喚、出級はあのスターの意外な出演作、イイ級は耽美なエロティシズム、Z級は史上最悪なクソ映画、その全てをレビューと少しの競馬予想と日常の出来事

 

 

 

 

 

 

 

『ゴジラ』

 

 

 

 

 

1954年 日本

 

 

 

 

 

《スタッフ&キャスト》

 

 

監督・脚本 本多猪四郎

 

原作 香山滋

 

脚本 村田武雄

 

撮影 玉井正夫

 

音楽 伊福部昭

 

 

 

出演 宝田明/河内桃子/平田昭彦/志村喬/村上冬樹/堺左千夫/小川虎之助/山本簾/林幹/恩田清二郎/笈川武夫/榊田敬二/鈴木豊明/高堂國典/菅井きん/馬野都留子

 

 

 

 

 

《解説》

 

 

ゴジラか化学兵器か驚異と戦慄の一大攻防戦!

 

1954年に東宝が製作・公開した特撮怪獣映画の金字塔、東京を襲う怪獣ゴジラと人間との戦いを迫力ある特殊撮影技術によって描き出した特撮ムービー

 

本多猪四郎がメガホンを取り、特撮は後に円谷プロダクションを設立する円谷英二が担当、船舶会社社員を宝田明が演じるほか、古生物学者役に志村喬、若き天才科学者役で平田昭彦が共演する

 

 

 

 

 

《物語》

 

 

太平洋上で貨物船「栄光丸」が原因不明の沈没、さらに救助に向かった「備後丸」と大戸島の漁船も次々に沈没した、救出された大戸島の漁師たちは突然海が燃えたと

 

原因不明の遭難事故が多発し、島に流れついた漁師・政治は怪物に襲われたと証言、それを聞いた島の老人は伝説の怪物“呉爾羅”ではないかと

 

嵐の夜、島の家屋が破壊され、住民や家畜に死傷被害が出る、ただの台風の被害とは思えない惨状に政府は古生物学者の山根恭平博士らによる調査団が結成された

 

 

調査団のメンバーには物理学者の田辺博士、新聞記者の萩原、娘の恵美子とその恋人で南海サルベージ所員の尾形秀人らが同行することになった

 

 

大戸島の壊滅した村には放射能反応があり、その巨大な足跡からジュラ紀の生物であるトリロバイトを発見、その時、足音が鳴り響き、一行が見たものは大戸島の伝説に伝わる怪獣ゴジラだった

 

 

東京に戻った山根博士は200万年前のジュラ紀に生息し、海底に潜んでいた太古の生物が水爆実験の影響で出現したのではないかとする見解を国会で報告

 

フリゲート艦隊が派遣され爆雷を投下したが効果はなし、貴重な研究資料であるゴジラを失いたくない山根博士は複雑な心境、ゴジラは海上を進み東京に上陸、一夜にして東京は見るも無残な惨状となった

 

 

山根博士の弟子の芹沢は恵美子の元恋人だったが戦争で醜い顔になったのを恥じて恵美子と別れ、今は実験室にこもって研究に没頭していた

 

 

政府は対策本部を設置し、山根博士にゴジラ抹殺の方法を訪ねるが水爆を受けてなお生きているゴジラの抹殺は不可能だと、むしろゴジラの研究こそが必要だと説く

 

しかし芹沢は恵美子には極秘の実験を見せて固く口止めをしていた、それは水中の酸素を一瞬にして破壊し、あらゆる生物を死滅させ溶解するオキシジェンデストロイヤーであった

 

 

これを公表すれば兵器として軍事利用されることを恐れた芹沢はこれをゴジラに使うことを一度だけと応じた、芹沢はオキシジェンデストロイヤーも効果を見るために共に東京湾に沈んだ

 

 

 

 

 

 

《感想》

 

 

日本が代表する世界中の人が知るキャラクターのゴジラのシリーズ第1作です、とにかく想像していた怪獣映画とは違っていて怖い印象でした、怪獣が暴れるパニック映画に留まらず、反戦や放射能の恐ろしさを描いています

 

 

技術的にはその時代の最高の技術を用いています、その内容も加えて怪獣映画の最高傑作だと思われます、どんなに苦労して撮り上げたかが、その映像がどれだけ素晴らしいか

 

前半部分はゴジラの姿を見せないで不安やパニック描写で観客を引き付けて、その足音と山から現れたゴジラの衝撃的な事!あの独特な雄叫びで鳥肌が出るほどです

 

主人公の尾形秀人を演じるのは宝田明で尾形は南海サルベージの若き所長で栄光丸と備後丸が消息不明となった事で情報収集の為に大戸島への調査団に参加

 

 

山根恵美子を演じるのは河内桃子で山根博士の一人娘で尾形の恋人、山根博士の助手として調査団に参加、初めて見たゴジラに最高の悲鳴を叫んでくれます

 

 

山根恭平を演じるのが志村喬で古生物学者で大学教授、調査団を率いて大戸島の調査をしてゴジラと遭遇、水爆実験を生き延びその生命力を解き明かすためにゴジラの保護が必要と考え、抹殺を主張する者と対立

 

 

芹沢大助を演じるのが平田昭彦で薬物学者で山根博士の愛弟子で恵美子の元恋人、戦争で右目を失ったために隠すように眼帯をしている、それによって恵美子に別れを告げるが研究成果を見せることになる

 

 

それが水爆や原爆に匹敵するオキシジェンデストロイヤー、これを使ったならば世界はこれを兵器として使うだろう、芹沢はゴジラと言えども使用を拒否するが平和のために一回だけの条件で使用を了承して、それに関するデータを全て焼却してしまうんです

 

芹沢は海底に潜り、ゴジラの足元でオキシジェンデストロイヤーを起動させる、ゴジラがもがき苦しむ姿を見て成功を確信、そして自分だけが知るオキシジェンデストロイヤーのデータを消すために自身もオキシジェンデストロイヤーによって自決するんです

 

ラストの山根博士が言う、ゴジラが最後の一匹だとは思えない、もし水爆実験が続けて行われるとしたらゴジラの同類が世界のどこかに現れるかもしれない、のセリフも強烈に残ってます、その通りになって続編の「ゴジラの逆襲」が作られてます

 

本作のプロデューサーの田中友幸は本多猪四郎の映画を製作、そして円谷英二と出会い特撮物はヒットすると確信したようです、その頃ビキニ環礁での核実験で第五福竜丸と第十三光栄丸の被爆問題が社会問題となっていた事に着想を得て仮題「海底二万哩(マイル)から来た大怪獣」の企画が出来たそうです

 

 

公開後は大ヒットとなり当時の日本国民のほぼ10人に1人は観たことになります、当時傾いていた東宝を一気に立て直しました、しかし日本のマスコミは酷評するものの、三島由紀夫や小津安二郎や手塚治虫らは本作を絶賛、まずヨーロッパでヒットしてアメリカでもヒットしたことで国内での評価も上がりました

 

 

おいらが影響を受けた映画はブルース・リーとチャップリンとヒッチコックとゴジラでした、それくらい子供の頃のインパクトは強烈でした、それに伊福部昭の音楽もいまだに頭の中で流れることがあります(笑)

 

 

 

 

 

 

放射能を吐く大怪獣の暴威は日本全土を恐怖のドン底に叩き込んだ! それが『ゴジラ』です。

 

 

 

 

ちなみにゴジラをオキシジェンデストロイヤーで倒した芹沢博士を演じた平田昭彦は「ウルトラマン」の最終回でウルトラマンを倒したゼットンを倒した岩本博士を演じています、すごいや!