『悪魔のはらわた』
1973年 フランス・イタリア
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 ポール・モリセイ
撮影 ルイジ・クヴェイレル
音楽 カルロ・ジッツィ
出演 ジョー・ダレッサンドロ/ウド・キア/モニーク・バン・ブーレン/アルノ・ジュエギング/サージャン・ゼルノビク/ダリラ・ディ・ラッツァーノ/ニコレッタ・エルミ
《解説》
噴出する血しぶき!突出するはらわた!全篇を覆う話題の衝撃作!
男女2体の人造人間を交らわせ、完璧な新人類創造を目指すフランケンシュタイン男爵を描いた、アングラの帝王アンディ・ウォーホール提供による異色ホラー
女の人造人間の内臓に性交する男爵を始め、淫乱な妻、男爵に献身的に仕える下僕、そして一連の凶事を覗き続ける幼い兄妹などなど、異常な人々が織り成すグロテスクなドラマは猟奇譚となっている
《物語》
フランケンシュタイン男爵はドイツの伝統ある貴族の一族に生まれ医学を志していた、しかし本当の目的は優秀な人種を人工的に造り出すことだった
理想的な鼻を持つセルビア人を見付けなければならない、セルビア人は古代ギリシア人の直系の子孫だ、人間の優れた部分を合わせて完璧な人造人間を造り、2人を交合させて更に優秀な子孫を誕生させる、そこから新しい人類が始まるのだ
研究に没頭する男爵は食事の席で妻のカトリンと口論となる、実はカトリンは男爵の実の姉で子供も2人もうけていた、こうした神をも恐れぬ実験は助手のオットーと着々と進め、後は男の人造人間に頭を接合するだけ
男爵が求めているのは性欲の強い男、そんな男を見つけるには売春宿だと2人は向かった、そこで女2人が宿の扉が飛び出して来た、そこに1人の男サシャ、男爵は女2人を相手にするあの男こそ性欲が強く、立派な鼻を持つセルビア人
サシャの帰り道で男爵とオットーは待ち伏せをし、友人と一緒に歩いているところをオットーが後ろから殴り怯んだところを男爵が巨大なハサミでそのサシャの頭を切り取った、体は痙攣を起こして倒れた
古城の地下室で首の接合が行われて無事成功、電極を繋いで電気を流し、男女の人造人間は動き出した、言葉を認識し、反射神経もしっかりしている、期待していた通りの出来栄え
その頃カトリンは素行の悪い使用人のニコラスにクビかチャンスかを迫っていた、ニコラスは昨夜に友人サシャと一緒のところを殴られて気を失い、目を覚ますとサシャの頭がなかった、胴体だけ埋葬したと話す
そんな殺人鬼がいるなら私を守りなさいとニコラスに迫る、夫には愛はない、形だけの結婚で子供たちと財産を守るだけ、抱いて欲しいと言うカトリンをニコラスは抱いた
食事の席で男爵は男女の人造人間をカトリンに紹介した、研究を手伝ってくれていると嘘をついて、給仕をしていたニコラスはそれを見て驚いた、男の方がサシャだったからだ
そうとは知らずに男爵は人造人間を交合させようとするが上手くいかない、実は男の人造人間はゲイだったのだ、売春宿で女を2人相手していたのはサシャではなくニコラスだったのだ
ニコラスは子供たちに教えてもらい地下室に潜入、サシャと女を人体実験に使っていると思いカトリンに訴えるがカトリンは男爵の仕事に邪魔をするなと言い放ち、ニコラスはサシャを殴って出て行った
ニコラスに逃げられたサシャはヤケになり男の人造人間をベッドに誘うが、強く抱きしめられてその怪力で骨を砕かれて殺されてしまう、ニコラスは再び地下室に潜入
ニコラスは男爵に捕らえられてしまうがオットーが女の人造人間を壊してしまったことから男爵とオットーが仲間割れ、男爵はオットーを殺し、残った男爵も男の人造人間に殺されてしまう
《感想》
何とも凄まじい内容でフランケンシュタイン男爵が作る人造人間は縫い後だらけで恐ろしいです、その人造人間を男女作って、しかもセックスさせて子供を作る計画です
まさに神をも恐れぬ行為ですよね、ただ人間を作るだけでなくそこから子供を作るなんてね、でも性欲の強い男の頭を使おうと思ったらそれがゲイの男だったなんてね
売春宿で女が2人ニコラスの相手をしているのですがネズミが出て慌てて外に逃げ出したんです、それを戻しに来たのがサシャでそれを見ていた男爵が勘違いしたんです
でもここでサシャではなくニコラスの頭を取り付けていたら何も問題なく実験が成功したのでしょうか?そんな訳ありませんよね、きっと崩壊するのでしょうね
当時はこの内臓が飛び出すショッキングな映像と、男女の人造人間がほぼ裸でいるのです、股間をガーゼとテープで止められているだけなのでペロっと捲ったら丸見えです(笑)
それに男爵の妻で実の姉のカトリンは夫に愛はなくて、それでいて男好きなので農夫のニコラスを使用人に雇って性奉仕をさせるんです、カトリンは淫乱なのですがニコラスも性欲の強い男なんです
そんなカトリンのことはそっちのけで男爵は人造人間の製作に夢中なんです、映画が始まると女の人造人間はほぼ完成しているんです、男の人造人間はまだまだ途中で捨てられているパーツもあったりします
電気で人造人間は動き出すのですがいざ女の人造人間が男の人造人間にキスをして迫るのですが男の人造人間は全然反応しないんです、ガーゼはペロっと開いてはいるんですけどね(笑)
もちろんこんなことは長続きしません、ラストはもう阿鼻叫喚の地獄絵図となります、オットーが男爵になじられたことで女の人造人間の傷口を愛撫すると傷が開いてしまって死んでしまうんです
怒った男爵がオットーを殺してしまい、カトリンを殺した男の人造人間がそこにカトリンを抱いて現れて男爵を槍で貫くんです、その先端には男爵の内臓がぶら下がっているんです
それを見てやってくる子供たちの姿、子供たちもこんなマッドサイエンティストになりそうな予感で幕を閉じます、アンディ・ウォーホールがイタリア映画界と組んだ作品です
醜悪にして耽美、映画史上空前の描写をもって迫るこの狂気の世界!
公開当時は「悪魔のいけにえ」や「悪魔の墓場」と共に悪魔シリーズとされて売り出されました
更に過激な裏237号室の『悪魔のはらわた』のレビューはこちらです。