『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』
1969年 日本
《スタッフ&キャスト》
監督・脚本 石井輝男
原作 江戸川乱歩
脚本 掛札昌裕
撮影 赤塚滋
音楽 八木正生
出演 吉田輝雄/由美てる子/土方巽/葵三津子/小畑通子/賀川雪絵/小池朝雄/英美枝/小山陽子/木山佳/田仲美智/近藤正臣/加藤欣子/高英男/岡田千代/大木実
《解説》
近づく者は二度と帰れぬ怪奇と官能の孤島!
怪奇・幻想・耽美の極致を追い続けた江戸川乱歩の作品「パノラマ島奇談」「孤島の鬼」などを題材に、鬼才・石井輝男監督がより一層の恐怖感を加味しながら、日本海に浮かぶ孤島を舞台にしたミステリーに脚色
能登半島に長期ロケーションを敢行し、裏日本の風光を丹念に取り入れ、妖気迫る雰囲気を盛り上げて描いた衝撃作
アンダーグラウンド芸術の雄・土方巽と暗黒舞踏塾が繰り広げる、めくるめく乱歩猟奇の世界、石井輝男監督が再度注目を集めるきっかけとなった作品でもあり、熱狂的なファンを得ながらも長らくソフト化されていなかった話題の作品が、ついに日本で初めてソフト化
《物語》
大正13年秋、精神病院の女部屋にいる人見広介は大勢の女がいる中、1人の女にナイフで襲い掛かられて刺されてしまう、看守が現れて玩具のナイフを持つ女を戻して、人見にも𠮟り自分の部屋に戻した
東洋医大の外科医の人見は狂ってはいない、何故ここにいるのかを自問自答しているがそこに流れてくる子守唄、それに導かれるように脱走した人見
子守唄を歌っていたサーカス団の女性・初代だった、東京の人は誰も知らない子守唄をお互いに知っていて、2人とも故郷を知らず、そこで故郷を探す手掛かりになると再び会う約束をして別れた
白昼に再び会った2人は初代が思い出したことを話そうとするが人ごみの中で初代は背中を刺されて殺されてしまい、人見が犯人とされてしまい逃走
人見は初代に聞いたわずかな情報で日本海側のどこかの町だと向かうが、その列車の中で新聞に自分と瓜二つの菰田源三郎が死んだ記事を読み、その町で下車した
源三郎の父・丈五郎は生まれながらに目が悪く、指の間に水掻きがあり、極度の背曲がりで人目を嫌い、執事の蛭川に後を任せると妻のときと所有する無人島に渡り、島を改造している、人見は源三郎と何かつながりがあると考えた
人見は墓地で生き返ったことにして菰田家に入り込んだ、源三郎の妻・千代子や遠縁の娘・静子、蛭川らは源三郎だと信じ込んだ
そんなある日、怪文書が送られたり、異形の者が屋敷に侵入したりと不可解なことが続き、そして遂に人見の横で寝ていた千代子が変死してしまう
何か秘密があると考えた人見は蛭川と静子、下男の新吉を連れて島へと渡った、そこで源三郎の父親の丈五郎が異様な風貌で出迎えた
島民たちも体に色を塗り奇妙な踊りを見せる摩訶不思議な世界、1人離れた人見はとある屋敷を見付けおこで初代そっくりの秀子と出会う
しかも秀子は猛という男と人工的にシャム双生児にされていた、丈五郎は世間への復讐のために皆を奇形人間に改造するために源三郎の弟・広介を東京の医大に通わせていると語りだした
《感想》
噂にたがわぬ怪作でした、初めて観たのですが聞きしに勝る作品で凄まじかったです、まさにカルト映画です、今の時代ではPG12なのですが公開当時は成人指定でした
本作は江戸川乱歩の「パノラマ島奇談より」と明記されていますがそれはほんの少しだけ使用されていますが、物語の大部分は乱歩の「孤島の鬼」なのです、それに「屋根裏の散歩者」や「人間椅子」などの乱歩ワールドのエッセンスが散りばめられています
今の時代は大体の映画は観る事が出来ると思います、でもおいらが子供の頃は映画と言えば映画館かテレビだけでした、よく場末の映画館で3本立てとかね
1980年代にビデオの時代が到来して、なかなか観れなかった作品が次々とソフト化されて家で観れるようになったんです、その頃に本作はビデオソフト化が予定されてサンプルも配られたのですが発売は見送られて東映は今後ソフト化の予定はなしと決定されたんです
次に1993年にビデオ発売が予定されたのですが直前に中止されたのですが、石井輝男監督が再評価されだしたので他の作品はソフト化されたんです
2006年にアメリカのメーカーがDVD発売を告知してから1年後に発売されました、それが日本でも逆輸入でタワーレコードなどの店舗に並びました、そこで日本でも販売されると告知されたのですが、またもや直前で中止
そして2017年10月に初めてソフト化されたんです、これによっておいらは初めてこの作品を観ることが出来たんです、こんな観るのが困難だった作品はなかなかありませんよ
まあこのタイトルですからいろんな所から苦情が来るでしょうね、それにセリフも放送禁止用語が出ています、成人指定になるほどの女性のヌードも出てきませんし、現代では倫理観以外では問題ないです(笑)
日本海側のことを裏日本と言うようですが当時は本当に言ってたのかな?その裏日本のどこかの町を探すのですが速攻で見つかる凄さ!しかも自分と瓜二つの男に成りすまして
見た目は同じでも妻の千代子が夜に迫ってくるのです、体を併せればバレてしまうと危惧するも抱いてしまうんです、こんなのドキドキですよね、それに静子も抱いてと迫ってくるんです、この異常な状況に入ってしまった人見なんです
父の丈五郎の住む島に行くとそこは摩訶不思議な世界で丈五郎は妻のときに浮気されて島に間男と一緒に監禁して死んだ間男の死骸を食べた蟹をときに食べさせるんです、奇形の自分を恨みつつも愛憎劇でもありましたね
奇怪な見せ物の連続!シャムの双生児をはじめ生体改造人間を次々につくる それが『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』です。
とにかくやりたい放題ですが、江戸川乱歩作品らしく明智小五郎も登場して全てまとめてしまう力技を見せてくれます
















