「怖いけど、お腹が空いてきたなぁ。あっ!」


エラキーは、美味しいそうなサクランボを見つけました。

ぱくりっ!



「ん~~~、なんて甘くて美味しいんサクランボなんだろう。あれれ?」



なんだか、秘密の森から聞こえてくる声が、さっきと違って聞こえてきます。


エラキー、エラキー、マッテイタヨ。

オイシイ、ホットケーキ、アトスコシ。


「わぁ。今度はちゃんと聞こえくるぞ!あと少しでホットケーキが食べれるんだ!」


そして、エラキーはこんなにも美味しいサクランボを自分だけが食べるのはもったいないと思い、オクロックさんやスキッピーに持って帰ってあげることにしました。


リュックを開けると・・・

モゾモゾッモゾモゾッ


タオルの下で何か動いています。


「わぁぁぁ!」


エラキーはビックリして、リュックを道端に投げてしまいました。



「やぁ、エラキー!驚かせてごめんよ。」


「チャッ、チャムチー!!!」


なんと、チャムチーがエラキーのリュックに潜りこんでいたのでした。


チャムチーは話だしました。

「エラキー、君が食べたサクランボ、秘密の森ではボンラクサって言われてるんだよ。」


「ボンラクサ???」


「そうとも!秘密の森では、言葉が反対に聞こえるのさっ!」
キラエー。 キラエー。ヨタイテッマ♪


秘密の森から声が聞こえてきました。


「こっこわいよぉ。一体、なんて言ってるんだろう?」


イシイオ


キーケトッホ


シコストア


「イシイオ、キーケトッホ、シコストア??さっぱりわからないや。」
「えっ?そうなの?でも、僕はメイプル島にいるスムージーさんが作るホットケーキがどーしても食べたいんだ!!!」


エラキーは、全身のパワーを使って言いました。


「そっそんなに強い意志をお持ちなのですね。それなら、仕方ない。あなたの熱意には負けました。エラキー!頑張るのですぞ。」


ラビーヌは、エラキーを応援しました。


「エラキー、君はすごいよ!勇者だ!」

チャムチーも、くるりとジャンプをしてエラキーを応援しました。



「ラビーヌさん、チャムチー、楽しい時間をありがとう。」


エラキーは、2人とお別れをし、秘密の森に向かいました。


なんだか、だんだんと空が曇ってきました。


あたりも、だんだんと薄暗くなってきました。


頑張るとは言ったものの、エラキーはだんだん不安になってきました。


「わぁ、なんだか怖いなぁ。ぼく、1人で大丈夫かなぁ?・・・・・そうだ!」



ティンティキティンティン♪
ティキティキティン♪


エラキーは、歌をうたって元気を出すことにしました。


「よいしょっと」


エラキーは立ち上がり、リュックを背負いました。


「エラヒーもう行ふの?」


口いっぱいににんじんが入ったまま、チャムチーが言いました。

ラビーヌもエラキーを見てひげをピクピクさせます。


「うん!秘密の森に行くよ!」



チャムチーとラビーヌの動きが止まりました。

二人ともひげだけが揺れています。



「ひっひいぃぃぃ!!!」


二人は同時に叫び、にんじんを放り投げました。


「あ、あの暗くて寒い秘密の森に行くなんて!」


チャムチーは夢中で土を掘り、お尻以外を隠し


「帰った者は誰もいないっ!神様エラキーをお止め下さいいぃぃ」


ラビーヌはにんじんの葉っぱをもって岩の陰に隠れました。


ラビーヌとチャムチーは、このにんじんで作るキャロットパイが大好物です。


2人は、にんじんを16本も引っこ抜きました。


「エラキー、にんじんはいらないのですか?」



「うん。。。僕はにんじんが苦手なんだ。だから、この臭いも苦手なんだ。」


エラキーは、早くにんじん畑を通り過ぎたくて仕方がありません。


でも、せっかく案内してくれたラビーヌ達とバイバイすることもできません。



いろいろ考えていたら、頭の中がグルグルしてきました。


「あっそうだ!」


エラキーはリュックから虹色のあめを取り出しました。




ぱくり。




「わぁ。これは、さくらんぼ味だな。」


エラキーは、あまぁーいかおりに包まれました。

にんじんの臭いなんて、まったく気にならなくなりました。



「エラキー、このにんじんで作るキャロットパイは、とってもおいしいのですぞ。」



「そうだよっ。ほっぺがおちるくらいさ。だから、持って帰りなよ!」


続けてチャムチーも言いました。


「でも、ぼくはキライだから食べれるわけないよ!」


優柔不断なエラキーも、ここばかりは、きっぱりと断りました。



「それは困りましたなぁ。私からしたら、キャロットパイは、伝説のホットケーキくらいおいしいのに。。。残念だ。」



「えっっ!!伝説のホットケーキと同じくらい???」


エラキーの顔色は、一気に明るくなりました。



「そうですとも。あのホットケーキと同じくらい。」


エラキーは、すぐににんじんに手を伸ばしました。


「ぼく、持って帰るよ!お菓子作りが得意な、スキッピーにキャロットパイを作ってもらうんだ。」



よいしょ。よいしょ。



あまり重くならないように、エラキーは6本抜きました。
「エラキー、あなたはとても走るのが速い!これなら、すぐににんじん畑に着きますよ。」

チャムチーは言いました。


「いやはや、こんなに速いとは驚きですな。」

ラビーヌも言いました。



しばらくすると、エラキーの鼻がピクピクしました。

「うわぁ!これはにんじんのにおいだぁ!」


ちょっと先を見渡すと、そこにはミドリ色とオレンジ色が鮮やかな、にんじん畑が広がっていました。


「到着いたしました。ここがにんじん畑でございます。」


ラビーヌは嬉しそうに言いました。



「到着いたし・・・。にんじん。。むにゃむにゃ・・・・」

チャムチーがぴょこんと顔を出して目をこすりながら言いました。



「チャムチー!寝てしまっていたのですか?エラキーを案内すると言ったのに、なんてこった。」



「ごめんよ。ラビーヌ。そして、エラキー。」


チャムチーは寝るのが大好きなので、すぐに寝てしまいます。



3人はなんだがおかしくなって、笑いました。

ラビーヌは高くジャンプし、空中で一回転しました。


「これは奇遇だ!このラビーヌも、なんとにんじん畑に行くのですよ!」

「本当?じゃあ、にんじん畑の行き方わかるの?ぼく迷っちゃって…」


「もちろん案内しますとも!このラビーヌと」


ラビーヌが言いかけた時、ラビーヌの背中の毛を掻き分けてハムスターが顔を出しました。



「わたし、チャムチーが必ず案内します」


チャムチーはオレンジ色したゴールデンハムスターです。

エラキーは突然現れたチャムチーに驚きました。



「まったくラビーヌったら。またわたしがいることを忘れて回転するなんて…」

「ごめんよチャムチー」

「まぁいいわ、では3人でにんじん畑へ行きましょう」


「うん!よろしくね、2人共!」


ラビーヌはチャムチーを背に乗せ走り
エラキーは元気が出る水の力を借りて走りました。


エラキーは、いつもオラキーに騙されてしまいます。

でも、エラキーは信じているのです。


誰でも優しい心は持っているんだ!
意地悪なオラキーだって、本当はきれいな心があるんだ!

エラキーは、いつもそう信じています。


でも、さすがにこの沼は渡れません。

お花が教えてくれたことをたよりに、さっきの二本道に戻りました。


「よーし!みぎ♪みぎ♪」

「そうよ。みぎ♪みぎ♪」

お花達も一緒に歌います。

道を進み出すと、さっきの沼とは違う歩きやすい道が待っていました。




ぴょんぴょんっっ!!


「やぁ!もしかして、うさぎのラビーヌさん?」


「これはこれは!エラキーかい?お目にかかれて光栄です。そう、僕はうさぎのラビーヌ。」


エラキーは、前にオクロックさんから聞いた、走るのがとっても速いうさぎのラビーヌに会いました。


「今日はどちらにおいでですか?」


ラビーヌさんは、丁寧にエラキーに聞きました。


「今から、にんじん畑にいきます。」

オラキーと別れて道を進むと、沼が見えて来ました。


「あれぇ?こんな沼あったかなぁ。ま、いっか!」


沼を渡ろうと、ゆっくり片足を入れます。

生ぬるい泥が足にまとわりついて、思わず足を引っ込めました。


「うわぁこれじゃ渡れないよぉ」


足はドロドロ
目には涙が溜まっています。



「どうして泣いているの?」


一輪のお花が聞いてきました。
続いて周りのお花も同じ言葉を繰り返します。


「にんじん畑に行くにはこの沼を通らなきゃいけないんだけど、この沼はぬかるんでいて怖いんだ」


「にんじん畑はこの道じゃないわよ」

「そうよ、この道じゃなくて」

「右の道」

「そう、二本道のね」



お花たちが次々に言いました。


「そうなのっ?オラキーめ!意地悪なんだからぁ!」



エラキーランドで一番の意地悪、それがオラキーなのでした。


「よいしょっ、よいしょっ。にんじん畑なんて久しぶりだなぁ」



わたあめの丘を越えることはあまりないので、エラキーは少しドキドキしています。


丘を下りると道が二本道に分かれていました。


「えっと…ここを左だったかなぁ?右だったかなぁ?スキッピーは前、どっちに行ってたかなぁ?」


一人で来るのは初めてなので、エラキーは迷ってしまいました。

と、そこにオラキーが現れました。



「やいエラキー、何してんだい?」

「やぁオラキー。実はにんじん畑に行きたいんだけど、道がわからなくなっちゃって!」

「にんじん畑に何の用があるんだい?確かエラキーは、にんじんなんか嫌いだったじゃないかい。ひひっ」


オラキーは意地悪そうに笑いました。


「にんじんは苦手だけど、そうじゃなくて…にんじん畑を通って秘密の森に行きたいんだ!」

「ひひっ。にんじん畑は左の道だよ」



オラキーは左の道を指差してとっても楽しそうに笑います。


「ありがとうオラキー!」

「ひひっ」