映画日誌「小早川家の秋」

小津安二郎の映画と言えば「東京物語」や「秋刀魚の味」をテレビで観たくらいで、今回初めて映画館での鑑賞となったのだが、低い視点で捉え続けると同時に、台詞を語る役者を正面から捉えたりする独特の映像技巧、何気ないようでも実は深い意味のある台詞のやりとりなど、改めて小津映画の世界に浸りきることが出来る。

我々くらいの世代からすれば、加東大介、小林桂樹、森繫久彌などの往年の名優の演技を観ることが出来るのも嬉しいのだが、若い世代からすれば、果たしてどのように映るのか？

結局何なの？というエンディングとともに、極めて淡白ながら噛むほどに味わいが出るような、言わば一つの不思議な世界として観ることも出来るわけで、やはり映画の一つの職人芸を堪能してもらうべきかな？