優しさの遺伝子をご存知ですか?
私たちはみな同じように命を授かり、この世に生を受けているように見えても、
私たちの目の見えない所でその違いが生じ、
いつしかそれを隠すことのできなくなるものがある。
それは肉体に宿る病に他ならない。
しかしその一方で生下時より存在し、
正常とは異なるものを呈している先天奇形という疾患がある。
みなさんの多くはダウン症のお子さんとお会いになったことがあるのではないかと思います。
ダウン症に関する世間一般の認識は、特徴的な顔貌・容姿があり、
知的・運動発達の遅れ、身体的合併症も多く短命であるというものだと思う。
しかし多くの人が知らないことに、
ダウン症の子供はもちろんそれぞれに個性があり、疾患名で一括りにはできない。
その才能から詩作や書道、絵画など芸術の分野で活躍し、
また多くの聴衆を前に講演を行っている者もいる。
それどころか、「健常」と呼ばれている私たちにはない素晴らしい面を沢山持っている。
その特徴の中でも最も際立っているのは「優しさ」だ。
そしてその優しさは、家族のみならず、彼らに関わる人たちが自然と優しくなってしまうのだ。
正常であれば2本である21番染色体が、ダウン症は3本ある。
だから21番染色体には「優しさの遺伝子」が乗っているのではないかといわれる所以だ。
私たちは病を患い、また障害を持つことで初めて健康のありがたさに感謝するようになる。
しかし彼らは疾患を持っているのにも拘らず、
その優しさと笑顔で周囲を幸福にしてしまうことができる。
ダウン症のお子さんを持つことで、社会に貢献するための事業やNPO法人を作り、
多くの人たちを手助けしている親御さんの事例は枚挙に暇がない。
「ダウン症のあるお子さんとは、
我々が持っている金銭欲や名誉欲などのどろどろした欲望を一つ一つ
そぎ落としていった時に辿り着く、人間の根源的な姿だ」
と言った先輩医師の言葉は、今でも私の心に深く刻まれている。
(彼は敢えてダウン症のお子さんではなく、ダウン症の「ある」お子さんと表現する。
疾患で一括りにできない、普通の子供たちがたまたまダウン症という個性(疾患)を
持っていると表現したい気持ちからだ)
出生前診断が行われ、現在では99%の確率で染色体異常が診断される。
医学の進歩を歓迎する一方で、彼らの存在、彼らの尊い眼差し、
つまり人の持つべき根源的な「優しさ」を
決して忘れるべきではないと、私も考えているひとりだ。

kisses
LUKE