以前、私がこの仕事をしている関係から、
Julienが多くの質問をしてきたことがある。
そのどれもが、私が今まで教えてきた医大生たちから受けたことのないような
ホットで意を得た的確な疑問だったことが度々ある。
殊に皮膚科関連と栄養学に関しては年齢を疑いたくなる程、
詳しかったのには驚かされた。
また、自分の知り合いのスペイン人医師を紹介してきたり、
フランス人医師が著した食事療法の専門書のPDFファイルをメールで送ってきたりと、
関心の深さがとても一般人とは思えないくらいに深いものだった。
なぜ、医師を職業として選ばなかったんだ?
あるいは他の医療関係の職でもよかったのでは、と問うと、
「自分は頭が悪いし、数学や物理が苦手だったから・・・
それと何よりお金がなかったから」
医師になってからは、ほとんどが臨床に入るので、
数学や物理が必要なのは、初めの実習くらいまでで、
あとはほとんど使わなくなるのだけどね。
それだったら、関心の強いホメオパシーはどうなんだい?
「最低でも看護師の免許が必要だし、Lukeが仮にやるとしても、試験があるんだよ」
Wow!! それは厳しそうだ^^;
でもそれだけ知識を持っていて、そして関心が強いのに勿体無いよ。
今からでも遅くないから医師になったらどうだ?
経済面でも援助できるだろうし、苦手な勉強も僕が教えてあげられるだろう。心配するな。
などと話したことがある。
(言葉の壁があるはずなのに、ここではもう壁を感じていない自分がいる)
先週、今週と就業のためのアセスメントテストを受けていたらしい。
一昨日、連絡をもらった時には、
「Luke!テストをパスしたら、看護師の資格を取るために学校に行きたいんだ。
お金は大丈夫だよ。両親の家から通えばなんとかなるし・・・
だからなんとしても、このアセスメントテストをパスしたいんだ。
そしたら将来、Lukeのアシスタントができるかもしれないよ」
私は素直に喜んだ。
スペイン語の教師の職を捨て、人生をやり直そうとしている一人の若者が、
この数ヶ月間、必死にもがいてひとつの回答に漕ぎつけたみたいだ。
その間のアップダウンをそばで見ていて、励ますことしかできなかった。
しかし、Julienが自己否定することをすべて聞き、その否定をさらに否定した。
つまり、そのままが自然だということを肯定しながら、言い聞かせた。
私は、過去の罪ほろぼしを、今しているのかもしれない。
いつも、もう一人の自分が生き別れた幼い弟のことを思い出している。
会ったことのない、異国の人間と出会い、
互いの母国語ではない言語で、9500kmの時空を超えて、
なぜこんなにもこころが通じ合うのだろうか。
私は偶然という言葉が嫌いだ。必然という強引さも好きになれない。
当たり前のことが、当たり前に起きているんだと感じている。
でも何よりも嬉しかったのは、前向きに決断し、
生き生きとしていることを感じられたことだ。
Julien は、私に会いたいという。
できることなら、私もそうしたい。
しかし、神さまはまだその時を教えてはくれない。