雨は夜更け過ぎに♪ ~特定秘密保護法施行元年のクリスマスイブ~ | NPOの民間図書館  窓口日誌ブログ

雨は夜更け過ぎに♪ ~特定秘密保護法施行元年のクリスマスイブ~

ラジオから山下達郎さんの天気予報ソングが、
いえ感傷的で浪漫的なクリスマスラブソングの古典的名曲が聴こえます。

メリヤスは前世も日本人だったので(!?)
おばあちゃんから聞かされた先の大戦のお話を我が事として記憶しており。
まぁ年寄りっこにありがちなことなのではありますが。
おばあちゃんおじいちゃんは空襲もない田舎にいたし
おじいちゃんは教職だったしそもそも結核経験者で徴兵されてないし
子だくさん大家族の主婦だったおばあちゃんは食糧調達に苦労したものの
同じ時代に都市部で空襲に遭ったり学童疎開で子どもと引き離された人より
はるかにはるかに幸運でした。
国民学校の先生だったおじいちゃんは決して怒鳴らない優しい人でしたが
田舎でよくあったことらしいですが都会から疎開してきた子がいじめられた時に
後にも先にもそれ一回だけ物凄い大きな声で怒ったという語り伝えがあります。
おじいちゃんの弟たちは(戦争末期では教職でも徴兵された)戦地に行き
一番末の弟は復員後に現在で言うところのPTSDを発症し
親戚の間でもあんまり話しちゃいけないこととされていたのですが
精神病患者として病院で電パチ療法を受け自宅監置(いわゆる座敷牢)され
母親に聞いてもあんまり知らないみたいなのですが、親戚の誰もが一様に
「かわいそうだった、かわいそうだった」と言うばかりの生涯を終えたと。

だから、という理由でメリヤスは戦争が嫌い(自衛隊は専守防衛だからいいですw)
秘密保護法は治安維持法だと言う一部の人たちの意見を鵜呑みにはしませんが
第二次大戦中は天気予報も「秘密」だったんだよなぁ……とか、
なんの罪もないクリスマス失恋ソングにも憂鬱を覚えてしまうわけなんですよ。
これ絶対に政治的発言じゃないのでブログ管理人さん削除しないでええええええ

NPO法人的には政治と宗教と個人的な恨みつらみは御法度とはいえ
民間図書館としては
太宰治の『津軽』は検閲で削除削除削除されまくったでしょ?とか
(津軽半島の地理や地形についての描写部分が敵に知られたらいけなかった)
江戸川乱歩の『芋虫』が厭戦気分を煽る反国策的作品と叩かれたの!とか
(不謹慎ながらおとたけさんが世に出た時あれが実写化でき以下自粛)
本書きさんと本読みさんが不自由を蒙るのはいやぁぁだなぁぁぁと思うわけ。

ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』では
天使萌え修行僧萌え満載の三男アリョーシャが敬愛するゾシマ長老が
とある回想を語る場面があります。
遠い昔に恋愛事件で人を殺した罪を告白されてしまったゾシマ長老が
その日以来、毎日、毎日、罪を告白したその男の執拗な訪問を受けるはめに。
ある日その男はいよいよ明日……と長老に別れを告げた後、なぜか戻ってきて
「私が二回目にここに来たことを覚えていてください」と言うのです。
メリヤスの文章力ではこの怖さは伝えられなくて残念です。
つまり罪を負ったその男が死に際に残した言葉
「あの時、二回目に私は貴方を殺すつもりで戻った」それを覚えていてくれと。
秘密を持つということは、なにかが秘密にされるとは、そういうことなのでは?

興味のある人は1971年の「沖縄密約事件」ググるヨロシ。
「秘密」を取材した新聞記者と「秘密」を提供した職員が所謂不適切な、
その、ハニートラップまがいの関係であったことが明るみに出るや
そっちのスキャンダルだけが扇情的に報道され政府は批判を逃れたという事件。
日本人のそういう傾向はいまだに改善されてないんじゃないかと不安になります。

それでもどんな形にせよ真実を伝えようとした人はどの時代にもいると、
どんな時代にもいたんだと知ることだけが希望と勇気かもしれないよ?
ね。


by今日は午後からちばぎんざ図書館お当番メリヤス






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