駒澤大が2年ぶり8度目の制覇
  悲願の史上5校目の学生駅伝3冠達成

 

 箱根路の沿道に観衆がもどってきた


 往路の銀座から日本橋界隈は人、人、人であふれかえった。大手町の読売新聞社前ではは各大学の応援団の気勢があがる。
 運営管理者から「そら、ここから行くぞ」「プライドだ! プライド!」「おまえ、男だろう!」なんて声がランナーにあびせられる。
 何もかもひっくるめて、これが箱根駅伝なのである。

 99回をむかえる箱根駅伝、学生駅伝の最高峰であり、各陣営はすべてこの日のために全精力をそそいできた。よくもわるくも箱根を勝ってこそ学生駅伝の王者として称えられる。
 学生ランナーのレベルがあがって平準化がすすんでいる。もはや10000m=28分台は当たりまえになり、27分台のランナーを2~3人もたなければ優位に立てなくなっているのが現状だ。寸分のミスさえゆるされない。きわめて世知辛いレースになりつつある。
 いつも安定した力を発揮できるか。そこが大きなポイントになる。
 駒澤大と青学大の2強といわれながら、出雲でも全日本でも青学はミスで沈んだ。
 とくに箱根駅伝のような1区間の距離が長いレースでは、一つのミスで奈落の底まで落ちてゆく。選手個々の実力に有意差がないだけに、それははっきりと結果に現れて来る。
 駒澤大、青学大、國學院大、順天堂大、創価大、中央大、早稲田大、法政大……。
 上位チームをあげろ……と、いわれらば、まずこのあたりだが、持てる力を本番でどこまで安定的に発揮できるか。

 2日間にわたってくりひろげられる箱根は独特のレース展開になる。各陣営ともに往路には主力を投入してくるので、序盤はもつれて混沌となる。勝負のアヤがみえてくるのは3区あたりで、もつれていた糸玉から一筋、二筋と太い糸がほどけてきて、5区の山登りでトップ争いをくりひろげる。
 今回は2区で早くも駒澤大、青山学院大、中央大が抜け出した。3区、4区、5区……3チームによる激しい攻防がくりひろげられ、5区の山登りを制した駒澤大が往路を制して学生三冠に一歩ちかずいた。
 1区、2区、4区……、壮絶なせめぎあい、実に見どころの多いレースだった。
 時差スタートにいる往路は、だいたいにおいてたんたんとしたレース運びとなる。往路トップのチームが強く、ハナから主導権をにぎっている。
 勝負どころの山下りを制したのは駒澤大だった。6区に起用された1年生が区間賞の快走、駒澤大は一気に流れに乗った。大健闘の中央大がけんめいに追ってきたが、余裕をももって逃げ切ってしまった。2連覇をねらった青山学院大は6区で失速、3位以降は混沌として大混戦になってしまった。
 終わってみれば駒澤大はミスがなく持てる実力を額面通りに発揮、2年ぶり8度目の制覇、悲願の学生駅伝3冠を達成して、年度末に勇退する大八木弘明監督の花道を飾った。



駒澤大が19年ぶりに往路優勝!

第1区(21.3km)
 勝負を意識した思惑絡みで幕あける第1区は1km=2:56、スローの展開ではじまった。たまらず飛び出したのは、関東学生連合の新田颯(育英大)である。後ろは横ひろがりの大集団で、みんなチラチラと周囲に視線を投げて様子をうかがっている。ペースは3分をこえる超スローである。そんな20チームをあざ笑うように新田はぶっとばす。1km=2:50ペースで集団をぐんぐんひきはなし、3kmで100mの差がついてしまった。
 新田の5km通過は14:24、2位集団とは360mもの差がついてしまった。後ろの集団にしてみれば、「オマエはいいなあ。チームの順位はどうでもいいのだから、やりたいことできるよね」というような心境だったろう。そして7kmでは1分以上の差がついてしまう。 第2集団は国士館大の綱島辰弥がひっぱり、中央大の溜池一太、創価大の横山魁哉、注目校の青山学院大・目片将大、駒澤大・円健介集団の中段、最後方には東洋大の児玉悠輔がつけていた。
 10km通過は28:59、このあたりからようやく2位集団も3分を切るペースにあがってくる。だが先頭との差はつまってこない。,
 14kmあたりでは新田と後続と差は500m、後続集団から専修大の千代島宗汰がこぼれてゆき、集団の隊列は少しずつタテ長になってくる。
 17.5kmの六郷橋の登りになると新田のペースがさすがに落ちはじめ、後ろとの差がつまってくる。中央大の溜池がペースアップすると集団はタテ長になり、駒澤の円、城西大野村颯斗の、法政大の松永伶らがついてくる。
 下りにさしかかったところで、こんどは明治大の富田峻平が飛び出した、円、溜池がつづいたが富田は2段スパートえ後続をひきはなし、20.4kmでは新田も抜いて先頭に立ち、そのままタスキリレーした。
 かくして1区通過はトップ明治、8秒遅れで2位は駒澤大、3位は15陽遅れで法政大、4位は中央大で17秒遅れ、5位は創価大で18秒遅れ、6位は順天堂大で18秒遅れ、7位は青学大で19秒遅れ、8位は山梨学院大で21秒遅れとつづき、國學院大は31秒遅れの12位だった。

第2区(23.2km)
 明治の小澤大輝が先頭、後ろは中央大の吉居大和が1kmで早くも駒澤大の田澤廉に追いついて2位集団となる。その後ろは順天堂大の三浦龍司と法政大の内田隼太、さらに後ろは創価大のムルワと山梨学院大のムルアが6位集団、その後ろは青山学院大の近藤幸太郎が追うという展開であった。
 3kmになると先頭をゆく小澤に吉居が追いついた。後ろからは田澤が追ってくる。4位には内田、その後ろは三浦龍司……。
 3,2kmになつて吉居が小澤をとらえてトップに立ち、後ろには田澤、そして三浦とつづき、ムルワとムルアが集団ながんでやってくる。
 6kmになると、ムルワとムルアが三浦をとらえて、4位集団となる。その後ろからは近藤がやってくる。
 7kmをすぎて吉居が小澤をひきはなして単独トップに立ち、田澤も8.5kmで小澤をぬいて2位にあがってくる。その後ろからムルワ、ムルアが迫り6位を走る三浦に、近藤が迫ってくる。
 9kmをすぎて、近藤がの三浦を抜き6位にあがると、さらにエンジンがかかり、ムルワ、ムルアの4位集団を追い始める
 トップの吉居、追う田澤、その後ろが混戦状態になってくる。3位の小澤にムルワ、ムルアが追いつき、すぐ後ろに近藤がやってくる。
 12.2kmの保土ヶ谷の交差点あたりで田澤が吉居をとらえてトップに立った。その後ろからも近藤がひたひたとやってくる。13kmでは近藤はムルワ、ムルアをとらえて3位に浮上、その勢いはとまらず、14,3kmでは2位の吉居を抜いてしまう。だが吉居は近藤にくらいつき、近藤に導かれるようにしてまた息をふきかえした。そして2人で田澤を追い始めたのである。
 15kmでは田澤が先頭。2位集団の近藤、吉居とは19秒差、後ろはムルワ、ムルアとは32秒の差がついていた。ここから留学生を蹴散らした日本人3人による熾烈なトップ争いがはじまる。。
 変化がうまれたのは20kmすぎだった。先頭の田澤が苦しくなり、2位を走る青山学院大の近藤、吉居が迫ってくる。だが田澤は苦しげながら粘りの走りでその差を詰めさせない。21km吉居がスパートするも田澤も近藤も離されることなく、ここから3人の死闘がくりひろげられる。
 最後は道中、近藤のおかげでよみがえった吉居のスプリント力がまさった。中継所手前でスパートをかけ区間賞をもぎとった。3秒差で駒澤大の田澤と青山学院大の近藤がほぼ同時にタスキをつなぐ。4位は山梨学院大、5位は創価大、6位は國學院大、7位は法政大、8位は国士館大……。順天堂大の三浦は失速して9位だった。

第3区(21.4km)
 トップに立った中央大の3区のランナーはは中野翔太、後ろからは青山学院大の横田俊吾すぐ後ろから駒澤大の篠原倖太朗が並走でやってくる。後ろからは6位でタスキを受けた國學院大の山本歩夢が追ってきて、3.5kmでは創価大の山森龍暁、山梨学院大の村上大樹をおらえて4位までやってきた。
 5kmをすぎても中央大のトップはゆるがず、8kmあたりではむしろ13秒とひろがってしまうありさま。はるか後ろでは、14位でたすきをうけた早稲田大の井川龍人順位を上げてくる。
 中央大の中野は快調、10kmをすぎても後続に追わせない。10kmをすぎて、むしろその差はひろがりかげんになってゆく。後ろでは早稲田の井川が急追、16kmでは7人抜きで7位までやってきた。
 18kmをすぎると2位集団に動きがあり、駒澤大の篠原がペースアップすると、青山学院大の横田との差がどんどんひろがっていった。
 20kmになると駒澤大のの篠原に勢いがつき、いちど開いた中野との差をじりじり詰め始めた。3位は横田、4位は山本が追いかける。
 だが中央大の中野が逃げ切って、トップでたすきリレー。2位の駒澤大とは10秒差。3位は青山学院大が入り36秒差、4位は國學院大、そして早稲田大が9つ順位を上げ5位で通過。6位は創価大、7位は明治大、8位は順天堂大、9位は東海大、10位は法政大とつづいた。 中央大の中野翔太は3区の吉居につづいて区間賞となった。

第4区(20.9km)
 山登りをひかえたこの区間、2区とならぶ本大会の見どころとなった。
 中央大学の吉居駿恭は1km=2:42の入りで先頭をキープ。駒澤大は鈴木芽吹、そして青山学院大の太田蒼生がつづいている。はるか後ろでは12位発進の東京国際大のヴィンセントがハイペースで順位をあげてくる。2kmの手前で早くも日本体育大、明治大を抜いて10位までやってきた。さらに3kmすぎでは順天堂大、東海大、早稲田大を抜き6位までやってきた。
 5km通過も先頭は中央大の吉居、だが2位の駒澤大・鈴木がその差を詰めてきた、3位の青山学院大・太田もじわっと追ってくる。
 そして7km手前で鈴木が吉居に追いついて一気に前に出た。吉居はピタとそのうしろにくらいつき、先頭集団となる。後ろではヴィンセントが創価大の嶋津雄大をとらえて5位までやってきた。
 9.1kmの二宮では駒沢大と中央大が先頭、27秒遅れで青山学院大、そこから1分52秒差で國學院大、そこから2分01秒で東京国際大学、そこから2分22秒差で創価大学、2分46秒差で早稲田大、東海大、明治大が7位集団をなしてつづいていた。
 ヴィンセントの勢いはとまらない。10kmすぎでは國學院大の藤本竜をとらえ8人を抜いて4位にあがってきた。
 12kmをすぎると青山学院大の太田が前との差をどんどん詰めてくる。そして14.3kmえはとうとう駒澤大の鈴木と中央大の吉居に追いついてしまった。三つ巴の先頭集団になったが、そこからこぼれたのは吉居だった。15.6kmで後ろにさがると、少しづつその差がひろがっていったのである。吉居の後ろは東京国際大のヴィンセントで区間記録を大幅に上回るペースで追っていた。
 太田と鈴木の並走は18kmをすぎてもつづいたが、19.5kmになって太田がスパートをかけたが鈴木はくらいつき、たがいにスパートを掛け合う。20.6kmで太田が前に出たが鈴木はなれない。二人はもつれあいほぼ同時にたすきリレーした。3位の中央大とは39秒差がついていた。12位でたすきを受けた東京国際大のヴィンセントは8人抜きで4位でたすきリレー。59分59秒は区間新である。これで2区、3区、4区と自身3区間目の往路区間記録更新を達成した。5位は國學院大、6位は早稲田大、7位は創価大、8位は法政大、9位は東海大、10位は明治大であった。

第5区(20.8km)
 4区でわずかにトップに立った駒澤大は1年生の山川拓馬、青山学院大の脇田幸太朗が追ってゆく。後ろからは中央大の阿部陽樹……。
 だが勝負はあっけなかった。2kmにして山川が前に出ると、山登りにさしかかるまでにその差がひらいていったのである。3.6kmですでに15秒、後ろからは中央大の阿部が追ってくる。脇田は4.2kmでとうとう阿部にもとらえられて3位に落ちてしまったのである。勝負どころの山登りで勝負にならないのである。
 阿部はさらに駒澤大の山川を追い、7kmではその差が19秒となり、山登りは中央と駒澤のマッチアップになつた。
 本格的な登りがはじまる9.3kmでは駒澤大の山川が先、2位の中央大・阿部とは19秒の竿キープ、3位の青山学院大・脇田はトップと1分5秒もの大差がついてしまった。
 後ろでは城西大の山本唯翔(3年)が快調、東海大をとらえ3人抜きで10位に上がり、区間記録を更新するペースで追っていた。
 16kmすぎても駒澤大の山川は好調、2位の中央大・阿部との差がひろがりはじめる。山下りになっても山川は崩れなかった。阿部との差がおよそ30秒となってしまった。かくして山川は先頭でゴール。駒澤大は2004年以来19年ぶりの往路優勝を達成である。2位は中央大で30秒差、3位は青山学院大でんと2分2秒もの差がついた。4位は國學院大、5位は早稲田大、6位は順天堂大、7位は東京国際大、8位は法政大、9位は城西大、10位は創価大であった。城西大の山本は、区間記録となる1時間10分4秒、順位を9位まで順位を押しあげた。
 山を勝負所にしていた青山学院大は駒澤に2分もの遅れをとって、連覇に黄信号がともった。往路で大健闘は予選会上がりの早稲田大学で5位にとびこんで順天堂大、東京国際大を上回った。


 山くだりを制して
    駒澤大が逃げ切った


第6区(20.8km)
 時差スタートの往路、4,5kmまでのぼって、そこから一気にくだる。駒澤の1年生・伊藤蒼唯は1km=2:55、3km=9.56、登りながら、ややスローで入った。中央大の若林陽大、青山学院大の西川魁星が追ってゆく。
 芦之湯ではトップは駒澤、43秒遅れで中央大、3位の青山学院大との差はひらいてトップから2分35秒差、4位は國學院大で4分29秒差、5位は早稲田大学で4分41秒差、6位は順天堂大で4分48秒差とつづき、早稲田の勢いがいい。8.3kmで早稲田の北村光は順天堂大の村尾雄己を抜いて4位にあがってくる。
 下りにはいって駒澤大・伊藤は2分40秒前後のペースで押してゆく。12km手前では2位の中央との差は宮ノ下で50秒とひらき、青山学院大の西川とは4分もの差がついてしまう。伊藤は快調で後ろとの差はどんどん開いてゆく。
 対照的に西川のペースはあがらない。14.7kmでは早稲田の北村に、16.5kmでは國學院大の島崎慎愛にも抜かれ、苦しい走りとなる。  15kmを過ぎて2位・中央の若林はその差をつめはじめ函嶺洞門では44秒差につたが、山下りを終えてフラットになってから、駒澤の伊藤は踏ん張ってそこからは詰まらない。後ろでは、法政大の武田和馬、創価大の濱野将基、青山学院大の西川をとらえ順位を上げ、青山はとうとう7位まで後退してしまった。青山学院大の原監督は駒澤大とは山の勝負で勝ち目ありと踏んでいたが、逆に山の上り下りで、大きく差をつけられる始末。皮肉にも強みとふんでいた山で優勝争いから脱落した。
 トップの駒澤大の伊藤が先頭でたすきリレー。2位の中央大とは47秒差にひろがった。3位は大健闘の早稲田大で、4分59秒差、4位は國學院大、5位は法政大、6位は創価大。青山学院大は7位まで落ちて、駒澤大とは7分4秒差にまでひしがった。8位は順天堂大、9位は東京国際大とつづき10位の城西大はほぼ差がなく7区へつないだ。11位の東洋大は前を走る城西大とは1分15秒差。12位は明治大、13位は東海大。ここまシード圏内まで1分40秒の差になっていた。区間賞は1年生ながら伊藤蒼唯、駒澤大學に勢いをつけた。

第7区(21.3km)
 トップをゆく駒澤大の安原太陽は最初の1kmを2分43秒と快調、2位の中央大・千守倫央が追ってゆく。勝負は早くもこの2校のマッチアップになってしまった。
 後ろでは2.5kmえ創価大の葛西潤が法政大の宮岡幸大に追いついて、並走にもちこんだ。
 先頭の安原は安定していた。どんどんと中央との差をひろげ、9kmではその差1分以上となり独走状態になってゆく。9.5kmでは早稲田大・鈴木創士に、國學院大の上原琉翔が追いつき前に出るもほとんど並走状態となる。
 11kmの二宮では駒澤大と2位の中央大・千守とは1分3秒差となり、3位は早稲田大・鈴木と國學院大の上原が並走、その後ろから創価大の葛西が迫っていた。シード圏内となる9位の城西大と10位の東京国際大は5秒差、11位の明治大は28秒差まで迫ってきた。2006年以降シード権を堅持している東洋大は東京国際大と1分21秒差の12位で追ってきた。
 だが15kmをすぎてトップをゆく安原のピッチはにぶり、中央の千守が差をつめてきた。18kmすぎでは、その差は41秒まで迫ってきた。だが安原はトップでたすきリレー。2位の中央大・千守とは43秒差となり、ほとんどその差は変わらなかった。3位の國學院大・上原は早稲田大・鈴木との差を13秒にしてたすきをつなぐ。5位には創価大がやってきて27秒差で早稲田大を追う。6位は法政大、7位は順天堂大。ここで青山学院大はなんと8位まで順位を落としてしまった。9位の城西大と10位の明治大は7秒差、11位の東京国際大は明治大に14秒差まで迫った。12位を走る東洋大は明治大とは1分45秒差だった。区間賞は創価大の葛西潤である。

第8区(21.4km)
 駒澤大・赤星雄斗は先頭をひたはしる。7kmでは追う中央大は中澤雄大との差は46秒とひらきはじめた。シード圏内9位の明治大・加藤大誠と城西大・桜井優我は並走、東京国際大・宗像聖(4年)は11秒差で追っている。12位の東洋大は東京国際大まで1分35秒差で追っていた。
 駒澤と中央の差は茅ケ崎で46秒、赤星は遊行寺の坂を想定してタメているのか、それほど差はひろがらず。むしろつまり加減になる。遊行寺の坂の手前ではその差200mをきっってくる。その差は40秒ほどになる。
 3位をゆく國學院大と4位の早稲田大とは7秒差。さらに5位の創価大とは4秒差と競り合いがつづく。6位の順天堂大は、7位の法政大、8位の青山学院大との差をひろげた。9位は明治大と城西大がほぼ同時に通過、11位の東京国際大とは58秒差、12位の東洋大とは1分22秒差となっていた。
 19kmをすぎて、逃げる赤星、追う中澤……。必至で追うのだが、その差はつまらない。 中央が追いきれないまま、駒澤大・赤星が先頭でたすきリレー。中央大との差を1分5秒差にひろげた。3位は國學院大の高山豪起が早稲田大の伊福陽太との競り合いながらタスキをわたした。。5位は法政大、6位は創価大と順天堂大がほとんど差がなく、青山学院大は8位のままだった。9位は明治大、10位は城西大、11位の東洋大は城西大との差を33秒としシード圏内入りに希望をつないだ。12位の東京国際大はやや遅れ、城西大とは1分18秒差となった。区間賞は法政大の宗像直輝が獲得した。

第9区(23.1km)
 駒澤大のこの区間は山野力、3kmを分19秒で快走、中央大の湯浅仁が追ってゆく。山野はハイペースで、5km=14分7秒は区間記録を上回るペース。8kmでその差は1分31秒にひろがった。3位集団が創価大・緒方貴典、早稲田大・菖蒲敦司、國學院大・坂本健悟、法政大・中園慎太朗、順天堂大・藤原優希の5人、その後ろからは青山学院大の岸本大紀が迫ってくるという展開となった。
 青学大の岸本は快調、8.4kmで3位集団に追いつき、一気に前に出て3位に浮上した。
 駒澤大の山野は快走、12kmすぎになると中央との差を500mぐらいにひろげ独り旅となってしまう。
 後方では13kmすぎに、東洋大の梅崎蓮が明治大の下條乃將をとらえて10位、シード圏内に入ってきた。
 15kmになると駒澤大の山野は区間新ペースから落ちたものお、2位の中央大・湯浅との差を1分33秒とさらにひろげてしまう。3位の青山学院大の岸本も後続との差をひろげている、4位の集団とは11秒。法政大、早稲田大、創価大、國學院大の4校から遅れて、8位を順天堂大が追いかけていた。
 横浜では10位にとびこんできた東洋大と11位の明治との差は16秒とひらき、東洋大のシード権キープが濃厚となってきた。
 残り2kmでも駒澤大・山野と2位・中央大との差は変わらず、山野はそのまま先頭で最終区間へたすきをつないだ。2位の中央大・湯浅は先頭と1分32秒差、青山学院大の岸本は5人を抜いて3位でたすきリレーした。4位は創価大、5位は法政大、6位は早稲田大と國學院大がほぼ同時。順天堂大は集団から1分20秒おくれて8位。9位は東洋大と城西大がほぼ同時にとびこんできた。11位の東京国際大は10位から1分45秒おくれていた。区間賞は5人抜きの青山学院大の岸本大紀であった。

第10区(23.0km)
 駒澤大の青柿響はゆうゆう独走で先頭をゆく。2位の中央大・助川拓海はなかなか追いきれない。
 残り10kmでは駒澤大の青柿がトップ、2位の中央大・助川との差はひろがっている。2位の中央大・助川とは1分51秒差がついている。3位の青山学院大・中倉啓敦は前との差を5分10秒で通過。4位は創価大、5位は國學院大、6位は法政大、7位は早稲田大の順になる
シード圏内となる9位の東洋大と10位の城西大のつばぜり合い。東洋大の清野太雅は城西大の山中秀真に一度は抜かれたものの、再び前に出てふんばっている。
 駒澤大の青柿は中央大に追わせず逃げて、そのまま三本指を当ててゴールにとびこんでいった。駒澤の青柿響は堂々の区間賞である。
 駒澤大の総合タイムは10時間47分10秒。10月の出雲駅伝、11月の全日本大学駅伝につづいて箱根駅伝を制し、史上5校目となる大学駅伝三冠を達成した。2位には1分42秒差で中央大がやってきた。3位は前回王者の青山学院大。駒澤大との差は7分15秒であった。4位は國學院大、5位は終盤に順位を上げた順天堂大、6位は早稲田大、7位に法政大、8位は創価大が入った。9位は最後のスパート合戦を制して城西大、10位は東洋大となった。

 ひとつのミスもなかった駒澤大が往路、復路ともに制して2年ぶり8度目の優勝をもぎとった。出雲、全日本とあわせて学生3冠を獲得である。2位には出雲3位、全日本6位の中央大がやってきた。駒澤大と最後まできわどく優勝をあらそった。ミスがなかったうえに各ランナーともにベストの走りをしたといえる。
 駒澤大と優勝を争うとみられていた青山学院大は、大きなミスが2つもあって、流れにのれなく、3位にやってくるのがやっとというありさまだった。出雲、全日本の失敗と同じ轍を踏んでしまったというべきか。ともかく今年の青学大はレースで安定した力を発揮できないという欠陥が致命的となったようだ。
 候補の一角といわれた國學院大もベストメンバーでのぞめなかったせいもあるが、各ランナーともにいまひとつ流れにのれなかつたようである。
 かくして往路は駒澤大と中央大のマッチアップになり、やすやすと駒澤大を逃がしてしまったのである。
 中央大の2位はみごとというべきか。駒澤大を追いかけ、最後まで苦しめ、きわどく優勝に絡んだ。往路では2区、3区で連続区間賞をもぎとり、一時はレースそのものを支配していた。往路だけかと思いきや、復路もおおくずれしなかったのは、地力がついている証である。出雲3位、全日本7位からさらに一段飛躍、みごと名門復活を果たした。
 大健闘は6位の早稲田大学だろう。予選会上がりながら、往路の井川の快走で上位にあがってきて、復路の6区ではひとたび3位までやってくるという闘いぶりであった。名門復活の足がかりをつかんだといってもいい。


◇ 日時 2023年1月2(月)~3日(火) :午前8時00分 スタート
◇ コース: 東京・読売新聞東京本社前~箱根・芦ノ湖間を往路5区間(108.0Km)、復路5区間(109.9Km)の合計10区間(217.9km)
◇天気:往路 晴れ 気温:03.5℃ 湿度:68% 風:(7:30am)
      :復路 曇り 気温:-1.8℃ 湿度:76%  風:(7:30am)
◇駒澤大學(円健介、田澤廉、篠原倖太朗、鈴木芽吹、山川拓馬、伊藤蒼唯、安原太陽、赤星雄斗、山野力、青柿響)
公式サイト
総合成績: