長野が通算11度目の制覇!
大会新で史上初の4連覇達成
長野が強かった。
第1区から飛び出して好位につけ、中盤は少したるんだものの、後半は独走態勢にもちこんだ。
中高生、大学一般でメンバー構成する本大会は、高校生が中軸となる。高校生の強いチームが主導権を握る。そういう意味では暮れの高校駅伝で圧勝した佐久長聖のランナーの主力をそろえてきた長野、一般のふたりも佐久長聖の卒業生だから、佐久長聖の先輩後輩がフルに働いたことになる。
女子の場合はオール立命館宇治だったが、男子の場合はオール佐久長聖で勝ちとったといえる。
今シーズン最後の駅伝レースであるが、実業団のランナーはニューイヤー駅伝、大学生は箱根駅伝をおえて直後のせいもあって、トップクラスは顔を見せず、オールスター駅伝というわけにはいかなかったが、それでも箱根を制した青山学院大の黒田朝日(岡山)や若林宏樹(和歌山)や田中悠登(福井)、鶴川正也(熊本)などが顔を見せた。誰しも100%のパフォーマンスをみせたわけではないが、たとえば、最終区で黒田と田中がほぼ同時にタスキをもらい、笑顔で並走する姿など、この大会でしかみられない光景であった。
第1区(7.0km)
平和大通りの下り坂を47人のランナーはひとかたまりになって、一気に下っていった。 大集団を引っ張ったのは兵庫の新妻遼己、1kmの通過は2:47……。後ろは京都の井上 朋哉、高知の髙石樹、福島の増子陽太らがつけていた。
2kmになると新妻と増子が並走でトップ、後ろには高石、長野の濱口大和がつづいていた。新妻と増子がひっぱる展開ですすみ、中間点は9:49、区間記録よりも1秒遅いペースで進んだ。4kmをすぎてトップ集団は10チームほどになる。
トップ集団に変化がうまれたのは5km過ぎ、ここで長野の濱口がスパートして抜け出しを図った。反応したのは増子と、宮城の近江亮で、この3人がトップ集団を形成する。
6kmではトップ集団と2位グループとの差は5秒、区間賞争いは3人にしぼられたが、先にしかけたのは近江、残り500メートルでスパート、だが濱口がくらいつく。熾烈なトップ争いになったが、最後に抜け出したのは4連覇をねらう長野の濱口だった。
かくして1区を終わってトップは長野、2位は3秒遅れで宮城、3位は14秒遅れで福島、4位は21秒遅れで兵庫、5位は21秒遅れで埼玉、6位は21秒遅れで高知、7位は22秒遅れで京都、8位は25秒遅れで岩手とつづいた。候補の一角・千葉は49秒送れの19位と出遅れた。区間賞は長野の濱口大和で19分33秒だった。
第2区(3km)
中学生区間である。
トップでタスキをもらった長野の増田大誠は後ろをひきはなしてゆく。後ろでは1km手前で福島の伊藤瞭太が宮城の阿部陽真を交わして2位にやってきて、長野を追い始める。はるか後ろでは神奈川の稲垣翔馴が1km=2:40というハイピッチで入り、1kmすぎでは早くも6人抜きで21位にやってきた。
福島の伊藤と長野の増田との差は2kmをすぎて少しずつ詰まり始め、残り200mでは3秒となったが、なんとか増田が逃げ切った。
2区を終わってトップは長野と変わらず、2位は3秒差で福島、3位は13秒差で宮城、4位は13秒差で兵庫、5位は18秒差で京都、6位は23秒差で大阪、7位は24秒差で高知、8位は26秒差で広島だった。区間賞は神奈川の稲垣翔馴で8分21秒である。
第3区(8.5km)
前半の勝負どころとなるこの区間は大学生・一般の区間である。
タスキ渡しの後、すぐに福島の谷中晴がトップをゆく長野の吉岡大翔に追いついて並走状態にもちこんだ。後ろは宮城、兵庫が3位集団、さらにうしろから京都、大阪、広島もやってくる。
長野の吉岡はいまひとつのびない。3.9kmで谷中がトップに立ち、吉岡をひきはなしてゆく。3位は宮城の吉居大和が8秒差で追っていたが、5kmになると大阪、熊本、佐賀、青森、埼玉がやってきての6チームが3位集団となる。
6kmをすぎるとトップをゆく福島の谷中と長野の吉岡との差は9秒とひろがり、うしろからは3位集団が接近してくる。
6.5kmでは追われていた長野の吉岡が3位集団にのみこまれて、2位集団となってしまう。そのなかで終始主導権をにぎっていたのは熊本の鶴川正也である。鶴川とは対照的に宮城の吉岡は失速して、ずるずると順位を落としていった。
トップの福島の谷中は追われながらも、トップをまもって中継所へとびこんだ。
2位は熊本で7秒差、3位は大阪で14秒差、4位は佐賀で15秒差、5位は青森で17秒差、6位は21秒差で埼玉、7位は24秒差で長野、8位は27秒差で宮城とつづいた、千葉はいぜん16位と低空飛行をつづけていていたが、長野との差は24秒であった。区間賞は群馬の塩尻和也で23分36秒である。
第4区(5km)
トップに立った福島のこの区は栗村凌、2位の熊本との差をじりじりと広げてゆく。後ろからじりじりとやってきたのが3区で7位と沈んだ長野で、この区の走者は石川浩輝である。
福島の栗村は快調に飛ばして、3kmでは2位の熊本の一ノ瀬來祈との差を15秒としてしまった。後ろは長野の石川が追い上げてきて、佐賀、福岡、大阪、青森と3位集団をなしていた。
4.2kmになると、熊本の一ノ瀬に3位集団が追いついてしまう。そして残り200mで、2位集団から佐賀の石川蒼大、福岡の森本守勇、長野の石川が抜け出して中継所にとびこんでゆく。
激しい2位争いをしり目に福島の栗村は後ろをぶっちぎってタスキを渡した。
2位は25秒差で福岡、3位は26秒差で佐賀、4位は26秒差で長野、5位は29秒差で大阪、6位は31秒差で熊本、7位は39秒差で青森、8位は46秒差で宮城であった。区間賞は福岡の森本守勇で14分05秒だった。
第5区(8.5km)
2位から4位まで、ほとんどダンゴ状態でタスキがわたったなかで、勢いがついたのは長野である。佐々木哲が1km手前で2位に浮上して、福島の村越柊哉を追い始めた。1.3kmになるとその差は10秒と一気にその差が詰まった。そして2kmでとらえてトップに立つと、その差をみるみるひろげていった。3位争いは福岡と佐賀がはげしく競り合っていた。
中間点を佐々木哲は11分42秒と区間記録より19秒速いペースである。2位とは22秒、3位集団とは37秒差にひろがった。
はるか後ろからは千葉の鈴木琉胤がやってくる。5kmでは6人抜きで11位まで上げてきた。さらに前を追ってゆく。
トップの佐々木の勢いは止まらない。6kmをすぎるともう後ろは見えなくなった。その後ろでは6kmで福岡の松田祐真、佐賀の岩佐太陽が、落ちてきた福島の村越に追いついてしまった。そのなかでは佐賀の岩佐が6.6kmで抜け出して2位に浮上してくる。
はるか後ろは千葉の鈴木も快走、6.5kmでは大阪、7.2kmでは宮城をとらえて6位までやってきて、さらに順位をあげていった。
トップに佐々木は後続を大きくぶっちぎって中継所へ。23分32秒と従来の区間記録を20秒も更新した。千葉の鈴木琉胤も23分46秒、これも区間新である。
かくして長野がここでふたたびトップに立った。2位は1分04秒差で佐賀、3位は1分19秒差で千葉、4位は1分25秒差で福岡、5位は1分28秒差で埼玉、6位は1分29秒差で福島、7位は1分38秒差で宮城、8位は1分49秒差で広島だった。
第6区(3.0km)
中学生区間である。
5区の佐々木の快走で独走状態になった長野は中澤侑己、昨年は2区で登場している。落ち着いた走りだが1kmは2分49秒とこれまた速い。後ろはまったく追ってこない。中澤は独り旅、2位以下が熾烈な順位争いをくりひろげるなかで快走、その差をひろげて、長野の4連覇を確実なものとした。
はげしい2位争いのなかで抜け出したのは5位発進の埼玉・小笠原慶翔である。
トップ長野と2位にやってきた埼玉との差は1分25秒、3位は福岡で1分28秒差、4位は千葉で1分31秒差、5位は福島で1分39秒差、以下は佐賀、宮城、兵庫、広島、京都、と、それほど差はなく、入賞争いが熾烈になってきた。区間賞は埼玉の小笠原慶翔で8分36秒である。
第7区(13.0km)
大量リードをもらった長野の伊藤大志、あとはタスキをゴールまで運んでゆくだけ、といわんばかりに、ゆうゆうと安芸路をゆく。
後ろから長野を追う気概を見せたのは千葉の羽生拓矢である。トップまではとどかないまでも候補の一角らしいプライドというべきか。2.2kmで2位集団に追いつくと、埼玉、福岡、千葉をしたがえて長野を追い始めたのである。
3.5kmでは羽生がそこから抜け出して2位に浮上するも、5.2km地点では長野と千葉との差は1分28秒と、むしろひろがってしまった。その後ろは埼玉で、福岡、福島、佐賀、広島、兵庫とつづいていた。
長野の伊藤大志は1kmを2分50秒前後のペース、だが羽生は踏んばり、7kmをすぎると、その差は少しづつ詰まり始めた。9kmではその差1分06秒、しかし長野のタイムは区間新ペースである。
羽生はなおも伊藤を追いかけ、12kmではその差48秒となるも、残りは1kmで追撃はそこまでだった。伊藤は羽生に影を踏ませずに逃げ切り、4連覇11度目制覇のゴールに飛び込んだ。区間賞は広島の菊地駿弥で36分58秒。開催地が最後に面目をほどこした。
■■ 最終順位 ■■
(1)長 野 2時間16分55秒(新)
(2)千 葉 +44秒
(3)福 島 +1分07秒
(4)広 島 +1分17秒
(5)埼 玉 +1分25秒
(6)佐 賀 +1分30秒
(7)福 岡 +2分02秒
(8)京 都 +2分03秒
(9)大 阪 +2分06秒
(10)兵 庫 +2分10秒
王者長野はゆるがなかった。大会新による4年連続の11度目の制覇である。区間賞は2つながら、やはり一枚抜けた存在だったようである。
好発進しながら中盤でやや失速するも、こらは余裕というべきか。4区、5区ではまたしっかり流れを呼びもどした。どこからでもゲームチェンジできるというところが、このチームの最大の強みだろう。
2位には最後に千葉がやってきた。候補の一角といわれながら、前半に出遅れたのが痛かった。後半猛然と追い上げたが、そのときはすでに遅かった。2位はさすがというべきだが、優勝争いをしていない2位だから、額面よりも評価をさげざるをえない。
3位の福島は前半のレースを支配していた。最後は息切れしてしまったが、長野と優勝争いしたのはこのチームであることを銘記しておこう。価値のある3位とみておきたい。
4位の広島は最後に菊地駿弥の快走で圏外から一気に4位まで押し上げてきた。
6位の佐賀は中盤、上位争いにからんでいた。入賞は大健闘というべきだろう。
5位の埼玉、7位の福岡、8位の京都、それほど目だったレースをしたわけではないが、終わってみれば、いつのまにか入賞圏内に顔を出している。地力のある証というべきだろう。
◇日時 2025年01月19日(日)12時30分スタート
◇場所 広島市
◇コース 広島・平和記念公園発着/JR前空駅東折り返し、7区間48Km
◇天候:晴れ 気温:08.8℃ 湿度:56.0% 風:北西 0.7m(スタート)
◇長野(濱口大和、増田大誠、吉岡大翔、石川浩輝、佐々木哲、中澤侑己、伊藤大志)
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◇総合成績: