埼玉が3年ぶり2度目の制覇!
        最終区、エースで逆転は予定通り!

 

 まさか最終7区まで、勝負がもつれるとは……。
 もとより混戦が予想されてはいた。しかしアンカー結着というのはまったく想定外だった。
 6区の中学生区間を終わってトップは前回の覇者・長野、2位は茨城で10秒差、3位の神奈川も10秒差、4位は埼玉で13秒差、5位は千葉で4秒差……。トップから5位までが14秒以内につけている6位福島とは41秒もはなれているから、もはやこれは圏外である。最終区は最長区で13㎞だから、上位5チームにはいづれも優勝のチャンスがあった。
 逃げる長野は関颯人(東海大)追う2位の茨城は茨城・出口和也 (旭化成)、3位の神奈川は越川堅太(神奈川大)、4位の埼玉は設楽悠太、5位の千葉は鈴木塁人(青学大)という顔ぶれ、いわば実業団のトップ・設楽悠太と箱根駅伝のスターたちとの対決という構図になった。
 設楽悠太といえば、マラソンを視野においたロードでは、いまや日本でも1、2を争う実力者である。学生3人のうち長野の関颯人は学生ではトップクラスのスピードランナーである。その関が逃げて、設楽が追いかける。関のスピードがどこまで通用するかが見どころで、最後の最後で願ってもない興味津々の局面がやってきた。

 設楽の動きは軽快だった。タスキを受けると千葉の鈴木とともに追いあげ、茨城の出口、神奈川の越川をとらえ2位集団になったが、1.9㎞では神奈川・越川を押さえて2位に浮上、トップをゆく長野の関との差はわずか3秒になっていた。1㎞のペース2:40台で追っかけ2.4㎞でとうとう関をとらえてしまった。
 設楽と関はしばらく並走、3㎞では先頭集団をなし、3位・千葉の鈴木、4位・神奈川・越川。そこからやや遅れて5位・茨城・出口、6位福島の住吉秀昭(国士大)、7位集団に福岡・高橋尚弥(安川電機)、山口・野田一輝(順大)がつづくという形勢になっていた。
 先頭集団に動きが出たのは5.2㎞である。埼玉・設楽が仕掛けるというよりも長野・関がついてゆけなくなった。その差はじりじりとひろがり、関は置いてゆかれたのである。設楽と関の力の差は歴然としている。箱根のスターであり、名うてのスピードランナーといわれる存在でも、遊ばれてしまった。マラソン練習をしている現在の設楽はスピード練習をひかえているだろうが、それでもまるで刃が立たない。レベルのちがいを見せつけられた感ありというところである。
 抜け出した設楽を追う者は誰もいない。かくして埼玉・設楽悠太は中盤から独り旅、楽々とゴールまでタスキを運んでいったのである。

 

 平和記念公園をスタート、気温は12度で風もない。絶好のラン日和で第1区は幕あけた。群馬の大沢佑介 (樹徳高)が引っ張る先頭集団、ややスローの展開ではじまった。2㎞になると熊本の井川龍人(九州学院高)、千葉・飯田貴之(八千代松陰高)も前に出てくる。中間点の通過は10:03、4㎞になると集団はタテ長になり、千葉の飯田を先頭に青森の田澤廉、長崎の扇育、熊本の井川、福島の半澤黎斗、鹿児島の安藤大樹などがつづいている。
 5㎞では青森の田澤、熊本の井川が先頭に出てひっぱり、福島の半澤、大阪の呑村大樹、新潟の岸本大紀らがつづき,集団は16人ぐらいになる。6㎞になるとタテ長になり田澤と半澤がトップを争い、後ろには長野の松崎咲人、福島の半澤、茨城の湯原慶吾、大阪の呑村、宮崎の田中康晴らがつけ、およそ9人となる。
 残り600で井川と田澤がするも、松崎、半澤も追ってきて、残り400で井川、田澤が競るところ長野の松崎がやってきたが、井川が振り切ってタスキリレーした。
 トップ通過は熊本、2位は連覇をねらう長野が4秒差でキープ、3位は福島、4位は青森、5位は茨城とつづき、ここまでがトップから10秒差、候補の一角・埼玉は14秒差の10位、千葉は19秒差の13位とやや出遅れた。

 

 2区にはいっても熊本はリズムアップ、福島、茨城、青森、長野、宮崎が2位争いをするなか、鶴川正也 (託麻中)がトップを独走、2位にやってきた茨城との差を10秒にひろげた。快走したのは福岡・石田洸介(浅川中)で15人抜きで一気に7位まで順位をあげてきた。
 2区を終わって、長野はトップの熊本から16秒遅れの3位と好位置をキープ、埼玉はトップから21秒遅れの6位、千葉は29秒遅れの8位につけていた。

 

 3区は大学生・一般の区間だが、上位の順位は変転として大きく動いた。
 先行する熊本の神林勇太(青学大)を茨城の森田歩希(青学大)が追い、3.2㎞で並走状態となり、3位以降は長野、福岡、千葉、埼玉、青森、福島、大阪が集団となって追ってくる。3.8㎞ではその3位集団に神奈川、新潟、山口が追いついて10人mの大集団となる。
 4㎞すぎで森田がトップに出て、神林を引き離しにかかる。3位集団からは福島の遠藤日向、千葉の松枝博輝、山口の田村和希が抜けだして追い上げてくる。トップ集団と3位集団との差はじりじりと詰まってくる。
 先頭集団に動きが出たのは6.8㎞、茨城・森田がしかけ、熊本・神林との差をひろげてトップで中継所にとびこんだ。後続はのこり500mで遠藤と田村が抜け出した。山口の田村はここで14人抜きの区間賞である。
 かくして3区終了時点では茨城がトップ、3秒遅れで福島、5秒遅れで山口、11秒遅れで千葉、13秒遅れで熊本とつづき、埼玉は19秒遅れの6位につけたが、長野はここで27秒遅れの11位まで順位をさげた。

 

 4区、5区は高校生区間だが、ここで強さを発揮したのが長野であった。
 4区にはいると0.5㎞で福島の芳賀宏太郎(学法石川高)がトップ茨城の鈴木聖人(水城高)をとらえ並走、後ろは山口・吉井道歩(西京高)、千葉・安田博登(市船橋高)が3位集団。5位に熊本・佐藤映斗(九州学院高)さらに大阪、埼玉、群馬、福岡もつづく大混戦。2㎞過ぎの折り返しから茨城・鈴木がスパート、トップを死守して2位との差を21秒とひろげた。埼玉・宮坂大器(埼玉栄高)が2位に押し上げ、大阪・小島慎也(大阪高)が3位浮上。区間賞は7人抜きの本間敬大(佐久長聖高)で長野を4位まで押し上げてきた。


 上昇ムードの流れに乗った長野は5区の中谷雄飛(佐久長聖高)はスタートして1㎞で2位に浮上、トップの茨城・片根洋平(水城高)との差を詰めてゆく。3位以降は、大阪の葛西潤(関西創価高)、埼玉の早田祥也(埼玉栄高)、福島の中沢雄大(学法石川高)、神奈川の鎌田航生(法政二高)、千葉の佐藤一世(八千代松陰高)、山口の仲山大輝(西京高)、福岡の浜地進之介(大牟田高)、熊本の古川隼(千原台高)など、大集団をなしていた。
 中間点でトップの片根と中谷の差は10秒、その後も差はじりじりと縮まり、中谷が片根をとらえたのは5.8㎞、片根にはもう中谷に追いすがる余裕はなかった。差はひろがる一方で中継点では2位茨城との差は29秒となっていた。3位以降大混戦、38秒差で神奈川、4位には41秒差で千葉、埼玉は46秒差の5位であった。6区はもっぱらトップに立った長野と埼玉のタイム差が焦点になった。

 

 6区にはいると 長野の越陽汰(川中島中)がトップ。2位をゆく茨城の亘理魁(松岡中)、埼玉の篠木珠良(吉川南中)に、神奈川の安沢駿空(久木中)、千葉・鶴元太(坪井中)らが追いついて3位集団となって追撃をはじめる。
 集団で競り合う展開がよかったのか、長野と後続との差はひろがることなく、逆に大幅に縮まってしまった。とくに埼玉の篠木珠良が踏ん張った。長野との差が46秒もあって、危険水域に接近していたが、ここで踏ん張って区間賞、4位ながら長野との差を13秒にした。埼玉を上げ潮ムードに乗せたのである。繋ぎの区間だが、6区中学生がスーパーエースが活きる展開を演出した。この段階で埼玉の制覇は濃厚となった。
 逆に連覇を狙った長野は4区と5区で埼玉に決定的な差を奪えなかったのが痛かったということになる。

 

 駅伝シーズンは終わり、次の注目は2月25日の東京マラソン。日本人招待選手になっている設楽悠太、駅伝も走り、マラソンも走る。まさに日本の実業団システムが生みだした申し子である。彼はまちがいなく大迫傑を意識して走ることだろう。大迫は駅伝中心の日本の実業団に背を向けて独自の途をあゆんでいるランナー。そういう意味では2人は好対照をなす。
 先の福岡国際で大迫がマークした2時間07分19秒に、設楽はどこまで迫れるか。2人のランナーとしてのあゆみを参照しながら、設楽の東京マラソンのレースぶりをしかと見まもりたい。

 

◇日時 2018年01月21日(日)12時30分スタート
◇場所 広島市
◇コース 広島・平和記念公園発着/JR前空駅東折り返し、7区間48Km
◇天候:くもり 気温:11.0度 湿度:45.7% 風:東 0.8m(スタート)
◇埼玉(橋本龍、分須尊紀、牟田祐樹、宮坂大器、早田祥也、篠木珠良、設楽悠太)
◇公式サイト:http://www.hiroshima-ekiden.com/
◇総合成績:http://www.hiroshima-ekiden.com/information/pdf/recordlist23.pdf
           :http://www.hiroshima-ekiden.com/information/pdf/record23.pdf
◇NHKロードレース:http://www.nhk.or.jp/rr/zen-dan/#/
◇区間記録:http://www.nhk.or.jp/rr/zen-dan/#/resu

 

 

 

兵庫が14年ぶり4度目の制覇
   後半、中高生の快走で怒濤の逆転!

 

 昨年は北へゆくほど5メートル先も見えぬという大吹雪のなかでのレースだった。今年も前日に雪にみまわれ、当日になっても、ところどころ雪が残っていた。テレビ画面でみる京の街なみ、周囲の山や家々の屋根には雪がのこり、いかにも底冷えの京都の冬らしい風情にみちていた。そんな厳冬の京、日本を代表する女性ランナーたちの足音や粗息遣いが駈けぬけ、街ぜんたいが熱気で瞬時あつくなった。……

 連覇をねらう常勝軍団・京都、さらに兵庫、千葉……。優勝争いはこのあたりにじぼられ、静岡、岡山、神奈川、長野がこれにつづくといわれていたが、いつになく上位拮抗で大激戦の様相であった。
 先手をとってレースの流れをつかむのは、いったいどのチームなのか。チームの各陣営にすれば、胃の痛むレースになること必至だが、観る者としては面白いレースななるだろうという予感があった。


 スタートの第1区、石橋麻衣(群馬)、森田香織(神奈川)、竹中理沙(滋賀)、筒井咲帆(京都)、鍋島莉奈(高知)など実業団に第一線、大学生でいま売り出し中の加世田梨花(千葉)、高校生の快足ランナー・田中希実(兵庫)など、注目のランナーがずらりと顔をそろえていた。なんと「ふるさと選手」16人もが1区に起用されていた。

 競技場のトラックも路面も前日の雪が解けて濡れて光っていた。
 レースは思いがけない展開で幕開けた。兵庫の田中希実(西脇工)がスタート直後から果敢に飛び出した。暮れの高校駅伝のときと同じように、競技場を出るときには後続を5~6秒ちぎっていた。
 1㎞=3:07、さして速いペースではないが、田中は軽快に飛ばして五条通りから西大路通りへ。中間点は9:41、後続との差は少し詰まり始める。
 3.2㎞で田中に後続集団が追いついて、トップはおよそ30チームの大集団となった。横ひろがり大集団となり、兵庫の田中のほかに、長野の高松いずみ、静岡の清水真帆、宮崎の吉薗栞、福岡の御崎舞、神奈川の森田香織、高知の鍋島莉奈、京都の筒井咲帆、愛媛の宇都宮恵理、埼玉の豊川真里奈……などの顔がみえた。中間点をすぎて愛知の伊澤菜々花がこぼれていった。
 3~4㎞になると少しペースがあがってタテ長となり、4.5㎞の登り坂で集団はばらけはじめた。
 4.6㎞になると、熊本の矢田みくに、鹿児島の原田まつり、愛媛の宇都宮恵理、京都の筒井咲帆、神奈川の森田香織らが前に出てきた。4.9㎞で矢田がスパート、筒井、森田、鍋島らが追っかける。5㎞になると矢田を追って森田、筒井、千葉の加世田梨花、鍋島が
集団を抜け出した。
 残り500mでは矢田、森田、加世田、鍋島の争いとなり、最後は社会人の森田と鍋島のマッチアップ、鍋島がわずかに抜け出した。
 1区を終わって高知がトップ、2秒遅れで神奈川、5秒遅れで京都、熊本、兵庫、7秒遅れで千葉、以下、愛媛、三重、大阪、宮城、福井……と、ここまでがトップから10秒以内につけていてた。長野は15位だが、それでもトップから16秒差にとどまっていた。

 2区で大きく躍進したのは大阪である。髙松智美ムセンビ(大阪薫英女学院高)がすっ飛ばして、1㎞までにすでに8人抜き、2㎞でで単独トップに立ってしまう。後ろからやってきたのは15位発進の長野で和田有菜 (長野東高)が1.6㎞で3位まであがってくる。
 2㎞では熊本の吉本ひかり、京都の桶谷南実、兵庫の大西ひかり、千葉の風間歩佳とともに2位集団、だが抜け出したのは長野の和田で、猛然と高松を追いすがった。わずか1秒およばず、大阪の高松がそのまま逃げ切った。長野の和田は14人抜きの区間賞である。 2区ではトップは大阪、2位は長野で1秒差、3位は熊本で10秒差、4位には三重がやってきて15秒差、5位は千葉で21秒差、兵庫は27秒差の9位にとどまったが、京都は15位まで順位を落としてトップから39秒差となってしまった。

 中学生区間の3区にはいって大阪・松井美蓉 (阿智中)と長野・松井美蓉 (阿智中)の並走がつづき、先頭集団を形成、後ろからは13位発進の群馬・不破聖衣来(大類中)がどんどん順位をあげてくる。1㎞までに4人抜きで9位、2㎞手前では3位まで押し上げてきた。トップ争いは残り700mで大阪の松井がスパートして長野を振り切ったた。2位は同タイムで長野、5秒差で群馬、4位は18秒遅れで大健闘の高知、5位は19秒遅れで静岡、兵庫は21秒遅れの6位、長崎が20秒遅れの8位とつづいたが京都は36秒遅れの11位とのびなかった。候補の一角・千葉はこの区間で38秒遅れの14位まで順位を落としてしまった。
 4区になると8位発進の長崎が台頭してきた。
 先頭は長野・細田あい(日体大)と大阪・中野円花(ノーリツ )が競り合い、群馬・伊井笑歩(前橋育英高)が追うという展開だったが、長崎・広中璃梨佳(長崎商高)が2㎞手前で4位に浮上、熊本・森磨皓(有明高)と並走していたが、2㎞では3位までやってくる。前を行く2人は大学生と実業団選手だが、スピードがちがうという感じで、どんどんと差を詰めて、とうとう2.8㎞で長野と大阪をとらえて先頭に躍り出た。廣中は7人抜きで区間新記録を達成、かくして長崎が一躍トップに立ったのである。
 2位は大阪で19秒差、3位は長野で26秒差、4位は熊本で27秒差、兵庫は5位で29秒差、京都は7位で38秒差、神奈川は8位で39秒差、優勝争いはいぜん混沌としていた。3区で順位を落とした千葉はこの区間でも14位ながらトップとは1:10もの差がつき、優勝戦線からおいてゆかれた。

 5区はトップに立った長崎の森智香子(積水化学)が単独トップで独走状態をつくり。2位は大阪の村尾綾香(大阪薫英女学院高)、3位集団に長野、熊本、静岡、兵庫、7位集団に京都、神奈川という状況で推移、森はトップとの差をじりじりとひろげて、まったくの独走でタスキリレー、2位にやってきた兵庫との差を37秒、3位にやってきた神奈川には39秒、4位の大阪とも同タイム、やっと5位まであがってきた京都には53秒もの差を付けてしまった。千葉が下位で低迷するなか、中盤で独走状態をつくった伏兵・長崎にも優勝の目が出てきたのである。

 大きく長崎にゆきかけた流れは6区になって、再び混沌としてくる。
 長崎の弟子丸小春 (諫早高)の独走ではじまったが、2位・兵庫の後藤夢(西脇工高)に3位集団・神奈川のリンズィー・ヘレナ芽衣(金沢高)、大阪の竹内ひかり(大阪薫英女学院高)が追ってくる。2.5㎞では兵庫、大阪、神奈川が2位集団をなし、トップとの差をつめてくる。残り1㎞で後藤、竹内が長崎の弟子丸に迫ってくる。後ろは神奈川、京都、長野、岡山……。
 残り200m、2位集団から抜け出した兵庫の後藤が弟子丸を急襲、だが弟子丸が粘り、かろうじてトップでタスキリレーしたが、兵庫に勢いが感じられた。3位は大阪で6秒差、4位は神奈川で22秒差、5位は長野で34秒差、6位は岡山で36秒差、7位は京都で4秒差……。ここまでが優勝圏内と思われた。

 7区になると兵庫が強かった。
 樽本知夏 (須磨学園高)が1㎞手前でトップをゆく長崎の吉塚有紀子 (川棚高)をとらえて先頭に立つと、じりじりとその差をひろげて、中継所では2位にやってきた大阪に27秒差にしたのである。4位は長野、5位は神奈川、6位は岡山とつづき、7位の京都とは1:05差とひろがり、京都の連覇には黄信号がともった。

 8区の中学生区間、兵庫は完全に流れを引き寄せた。石松愛朱加(浜の宮中)が快走、2位以下との差を1分以上にしてしまった。京都は3位までやってきたが、トップとの差は逆にひろがって1:15になっていた。最終区は10㎞区間だが、アンカーの力関係からみて、8区を終わった時点で兵庫の優勝は濃厚となった。

 最終9区、兵庫は福田有以 (豊田自動織機 )、あとはタスキをゴールまではこんでゆくだけだった。ようやく一山麻緒(ワコール)で2位にやってきた京都を1分以上もちぎって余裕のゴールであった。

 兵庫は14年ぶり4度目の制覇である。前半から好位置に付けて、6区、7区、8区の高校生・中学生が区間賞である。高校生・中学生の活躍でもぎとった優勝である。
 連覇を狙った京都は2位に終わった。前半の2区と3区のもたつきで流れに乗れなかったのだ敗因だろう。それでも最後は2位まで押しあげてきたのは地力ある証拠だろう。
 3位の長崎は前評判はそれほどでもなかったので大健闘である。とくに4区の廣中璃梨佳の快走が今回も眼を惹いた。
 4位の岡山、5位の大阪、6位の神奈川もそれぞれ力のあるところをしめした。7位・福岡、8位・愛知までが入賞ライン、前半健闘した長野は9位、静岡は10位に終わった。3強の一角にあげられながら期待を大きく裏切ったのは12位におわった千葉である。大学生、実業団の力のあるランナーをそろえていたが、まったく流れに乗れなかったのは意外や意外、ここまで大崩れするとは……。

 本大会は中・高校生が強いチームが好成績をおさめるケースが多い。実業団選手は背負うものがちがうから100%の実力は期待できない。大学生は2週間前に富士山駅伝を走ったばかり、目一杯のレースはできない。それゆえモーティべーションがあがるのは中・高校生だけなのである。そういう意味で中・高校生の充実した兵庫の制覇は当然といえば当然なのである。

 

◇ 日時 2017年01月14日(日)12時30分スタート
◇ 場所 京都市
◇ コース 西京極競技場発着 宝ヶ池国際会議場前折り返し9区間49.195Km
◇ 天候:曇り 気温:05.0度 湿度:52% 風:東0.6m(12:00)
◇ 兵庫(田中希実、大西ひかり、宮島恵那、林田みさき、太田麻衣、後藤夢、樽本知夏、石松愛未加、福田有以
◇公式サイト:http://www.womens-ekiden.jp/
◇NHK::http://www.nhk.or.jp/rr/zen-jyo/#/

◇詳しい成績:http://www.womens-ekiden.jp/pdf/result36.pdf

 

 

青山学院大が4連覇を達成する
   満を持して復路で逆転!

 

 駅伝はレースをやってみなければ分からない。
 だから面白い。
 青学の4連覇なるかどうか。レースのはじまる前、今年の青学は昨年ほど強さがないというのがもっぱら。出雲、全日本と東海、神奈川というライバルに寝首を掻かれて、それほどの勢いは感じられなかった。黄金世代が中心の東海、神奈川は全日本を余勢を駆って山藤篤司、鈴木健吾、越川堅太という主力を往路にならべてきた。順天堂も往路に主力を投入して往路優勝をとりにきていた。
 だが……
 往路は波乱の連続でおもしろかった。
 波乱その1は当日のメンバー変更……。
 往路メンバーの変更で東海大は1区に登録していた關颯人をひっこめて、三上嵩斗を投入してきた。1区のカギを握ると思われた關の欠場で、1区の展開はまるで見えなくなってしまったのである。これで速い流れにならない。シメシメと思ったチームもあっただろう。
 だが1区のペースは速かった。1㎞=2:52である。順天堂大の栃木渡、青山学院大の鈴木塁人、国学院大の浦野雄平、東海大の三上嵩斗らが先頭を引っ張った。5㎞も14:37と相変わらず速かった。10㎞=29:21で20チームの大集団だった。15㎞=44:19という相変わらずハイペースで進んだ。
  勝負どころとみたのか六郷橋のまえ17㎞あたりで青山学院大・鈴木が一気に前に出てきた。レースが動いたのは18㎞すぎだった。六郷橋の上りで東洋大の西山和弥がスパートして一気に抜け出した。駒澤大の片西景、日本体育大の吉田亮壱、国学院大の浦野雄平、東海大の三上、青山学院大の鈴木らがつづいたが、集団を終始引っ張ってきた順天堂大の栃木はここれ遅れをとった。西山はその差をじりじりとひろげて独り旅、そのままトップでタスキをリレーした。
 2位に14秒遅れで国学院大、16秒遅れで3位に駒澤大、続いて24秒遅れで日本体育大、青山学院大は25秒遅れ、神奈川大は28秒遅れ、東海大は32秒遅れでつづき、順天堂は36秒遅れの10位だった。

 

 2区にっはいってトップの東洋大の相澤晃は余裕に走りで逃げた。ライバルの青山とは25秒、神奈川とは28秒、東海とは32秒ものアドバンテージがあった。後ろからは神奈川の鈴木健吾がやってきて、青山学院大の森田歩希、駒澤大の山下一貴とともに3位集団で追走、3㎞手前では国学院大・向晃平に追いついてしまう。さらに東海大・阪口竜平もくわわわって2位集団となる。だが東洋の相澤との差はつまらない。むしろ7㎞では34秒差にひらいてしまい、2位集団から駒澤大・山下と国学院大・向が遅れて5位争い。その後ろからは順天堂大の塩尻和也と、早稲田大の太田智樹がやってきて5位集団を捉えようとしていた。さらに後ろからは13位発進の拓殖大のワークナー・デレセ、同17位の山梨学院大・ニャイロが並走で順位をあげてくる。
 2位集団から最初にこぼれたのは東海の阪口、権太坂で遅れていった。拓殖大・デレセ、山梨学院大・ニャイロの追い上げはとまらず、13㎞すぎで順天堂大・塩尻、早稲田大・太田をとらえ、5位集団は4人となる。ニャイロはここまで12人抜きである。
 15㎞は快走する東洋大・相澤が43:29秒で通過、40秒差で青山学院大・森田と神奈川大・鈴木が通過。そこから21秒遅れで東海大、続いて4秒差で順天堂大、早稲田大、拓殖大、山梨学院大の5位集団がつづいた。
 18㎞になってもトップを快走する東洋大・相澤と青山の森田、神奈川の鈴木との差はつまらない。20㎞をすぎて青山の森田が2位集団から抜け出し、鈴木は力つきてしまった。 

  波乱その2……
 神奈川の鈴木の失速……
 鈴木はそれなりに力を発揮していたが、昨年ほどの爆発力はなく、東洋を追い切れず、青山の森田にまであおられてしまった。
 森田は懸命に東洋・相澤を追い、その差は少し縮まりはじめる。だが追い切れなかった。……
 結果、東洋大・相澤が1時間7分18秒という好タイムでトップ通過。2位には22秒差で青山学院大・森田、さらにそこから15秒遅れで神奈川大・鈴木がたすきをつないだ。4位には13人抜きの山梨学院大・ニャイロが飛び込んだ。東海大はここで1:40遅れの7位、順天堂大は塩尻が伸びず、2:11遅れの10位となった。

 神奈川が思ったほど伸びてこない。東海大にたっては2区で大差がついてしまった。順天堂はすでにして圏外である。ならばトップ東洋大との差22秒、エース田村和希を要する青山学院にとってはお誂え向きの展開になった。

 

 果たして3区。東洋大・山本修二は最初の1㎞=2:42という速いペースで入った。青山の田村和希もハーペース、5㎞=14:07秒である。遊行寺坂では先頭まで12秒差となった。湘南海岸沿いの国道134号線に出たところでは7秒まで詰まった。だがそこから追い切れなかった。

 波乱その3……
 青山の田村が東洋に逃げられたこと。
 逆にその差はひらきはじめ18㎞では28秒差になっていた。その後も差はひらく一方で、戸塚中継所のときよりもひろがり、中継所では46秒になっていた。続いて3位にやってきたのは早稲田の光延誠でトップから2:38秒遅れ、神奈川は2:40遅れ、東海は8位で3分以上も遅れてしまった。

 

 追われるどころか逆に突き放した東洋大の4区は1年生の吉川洋次、追う青山は昨年もこの区間を走った梶谷瑠哉であった。東洋は完全に流れに乗ったというべきか。吉川が快調に飛ばして,差はひろがった。7㎞で1分、13㎞で1:30、17㎞では1:40となってしまう。トップでとびこんだ1年生の吉川は1時間2分22秒と区間新記録をマーク。2位の青山とは2:03もの差がついていた。3位でつないだのは神奈川大・大塚で1時間2分21秒と、吉川を上回る好タイムで区間新記録をマークした。つづいてやってきたのは拓殖大、ほとんど差がなく早稲田大とつづいた。

 

 逃げる東洋大は5区も1年生で田中龍誠。追う青山は2年生の竹石尚人であった。竹石が懸命に追っかけ9㎞あたりでは、その差は61秒と半分ぐらいになって、これは逆転もあるかなと思わせたが、そこから差がつまらなくなった。だが16㎞では43秒となる。下りにはいって16㎞、追う青山学院大・竹石は給水を受けた直後、突然止まって右足を数度たたく。19㎞すぎでも再び足を抑えて立ち止まる。数秒で走り始めたが、追撃ムードに水を差すかたちになった。
 山でも波乱がおきた。
 波乱その4……
 神奈川の荻野太成のブレーキ……。
 3位で5区に入った神奈川は、ここで踏ん張れば、まだ圏内にのこれる可能性もあった。だが区間20位で一気に15位まで順位を落としたのが痛かった。
 5区の山登りで快走したのは法政の青木涼真である。14位から9人抜きで一気に5位までやってきた。1時間11分44秒は区間新記録である。
 かくして往路は東洋大が制覇。4年ぶりの往路優勝である。2位は青山学院大で36秒遅れ。3位にはトップから1:56秒差で早稲田大・安井雄一が3位でテープを切った。4位に拓殖大の戸部凌佑。ほとんど差がなく14位で小田原中継所をスタートした法政大・青木が5位でゴール。青木涼真は9人抜きの快走を見せ、ゴール直前のスパートで戸部をとらえたが4位にはわずかにおよばなかった。城西大の服部潤哉を快走してが6位、以下日本体育大、順天堂大、東海大と続き、シード圏内の10位には中央大が入った。優勝候補といわれていた神奈川大はこの5区の荻野太成で、なんと順位を12も落として15位となり、完全に往路にして圏外に去った。
 往路をみるかぎり、候補といわれていた神奈川大、東海大が思いがけず不振、前評判ではそれほど高くなかった東洋大があれよあれよの往路優勝、早稲田の3位、拓殖大の4位、5区で14位から5位に躍進した法政、6位まで押し上げてきた城西大などは大健闘であった。

 

 復路は東洋大と36秒差の青山学院大のマッチアップ、強いていえばトップから1:56秒差の早稲田大あたりまでが優勝圏内。4位の拓殖大は4:36遅れ、以降は大混戦で、拓大から2分以内に法政、日体、順天堂、東海、中央、中央学院、帝京と12位までが含まれており、さらに駒澤大や神奈川、山梨学院など力のあるチームも5分前後の差でつづいており、シード券争いはきわめて熾烈な情勢にあった。

 時差スタートの6区、東洋大は今西駿介、36秒差で追う青山学院大は小野田勇次であった。4㎞まではその差は詰まらなかったが、5㎞では37秒となり、小涌園前の9㎞では28秒差まで詰まった。差はじりじりと縮まり、11㎞の宮ノ下では22秒となり、いよいよ青山学院・小野田の射程距離にはいった。
 芦ノ湖から500mほど下ってくた大平台(13㎞)、この日は気温は4度で路面は凍結していない。東洋大・今西と青山学院大・小野田との差は15秒差といよいよ肉薄してきた。小野田が今西をとらえたのは15㎞の手前だった。みるみるその差を詰めて並びかけたのである。今西もなんとか踏ん張っていたが、追う者のほうに勢いがある。その差はじりじりとひろがった。青山学院大・小野田は区間記録も狙えるペースで快走、そのまま独り旅で7区につないだ。2位の東洋大との差は52秒となり4連覇がみえてきたのである。3位は早稲田でトップから3:46と開いてしまい、レースは完全に青山と東洋のマッチアップになった。


 7区、8区、トップをゆく青山学院は林奎介、下田裕太とつないで、ともに区間賞(林は区間新)、3区間連続の区間1位で首位固め、2位の東洋大とは6:15もの大差がついてしまい、青山の独走状態となった。この時点で青山の4連覇は確実となり、あとはもうゴールまでタスキを運んで行くだけとなった。復路はもう波乱が起きる気配はなかった。
 復路で大きく順位をあげたのは東海大と日本体育大学であった。東海は8区の館沢亨次の快走で、その時点で3位までやってきた。日体は各ランナー堅実な走りで終わってみれば総合4位まで来ていた。

 

 4連覇を果たした青山学院大は2位に4:53の差をつける圧勝劇で堂々の4連覇、まさに横綱相撲であった。往路で東洋大に先んじられたが、慌てるところがなかった。復路6区の小野田で逆転、7区、8区にも林、下田という主力を残しており、磐石の布陣であっさり勝負をつけた。層の厚さは群を抜いていた。
 2位の東洋大は大健闘。戦前の下馬評で、東洋はそれほど評価が高くなかった。東海、神奈川に影にかくれた存在だった。だがフタをあけてみれば堂々の往路優勝。復路も2位である。青山と優勝争いをしたのはこの東洋だけである。もともと区間距離に長い箱根では無類の強さをほこるが、10年連続で3位位以内というのはみごとである。
 早稲田大は昨年と同じく3位にとびこんできた。突出したエースはいないが各ランナーが着実につないでの総合3位、現状ではほぼ100%力を発揮したといっていいだろう。4位の拓殖大も予選会あがりながらの4位、これも大健闘であろう。
 6位の法政は5区の山登りで14位から一気に5位までやってきて、復路も粘り抜いた。2大会連続でのシード権確保は、やはり9位でシード権をもぎとった城西大とともに健闘組の一校と讃えておこう。
 意外だったのは優勝候補の一角にあげられていた東海大の5位。往路9位からもりかえしての5位だが、最終区までは3位を保っていた。アンカーの4年生がまもれなかったのは全般的に流れが悪かったせいだろう。それにしても往路9位というのはどうしたことなのか。能力のあるランナーがそろっているチームだけに、箱根に対する対応力、指導方針を問われそうである。
 神奈川大は5区の山登りで3位から一気に15位まで順位を落とした。復路も流れをつかめないまま13位と大敗してしまった。全日本の覇者で、青山の4連覇に待ったをかけるのは神奈川か、と前評判が高かっただけに、信じられないほどの崩れかたである。箱根は別物らしい。
 それは11位、12位に沈んだ順天堂大、駒澤大、18位におわった山梨学院大にも同じことがいえるだろう。
 総じていえることは、長い距離についての対応が出来ていないのではないか。東海しかり、駒澤しかり、神奈川しかり……。逆に早稲田、拓殖あたりは、エース的存在のランナーがいないだけに、長い距離に対応できる走力を鍛えることに主眼をおいた取り組みをしていたのではないだろうか。
 青山は次回、5連覇に挑むが、層の厚いチームだけに、やはり候補の一番手にあげられるだろう。だが東洋大は若いチームで今年の10人のうち9人が残る。次回はもっと伯仲したレースになるだろう。
 残りは東海大、黄金世代が3年生になる。そろそろエリートランナーたちの底力をみせてほしいものである。

 

◇ 日時 2018年1月2~3日(祝) :午前8時00分 スタート
◇ コース: 東京・読売新聞東京本社前~箱根・芦ノ湖間を往路5区間(108.0Km)、復路5区間(109.9Km)の合計10区間(217.9km)
◇天気:往路 晴れ 気温:6.0度 湿度:50% 風:北西4m(スタート前)
 :復路 晴れ 気温:-1.0度 湿度:% 風:北西 レース途中から強烈な突風
◇青山学院大学(鈴木塁人、森田歩希、田村和希、梶谷瑠哉、竹石尚人、小野田勇次、林奎介、下田裕太、近藤修一郎、橋間貴弥)
◇公式サイト:http://www.hakone-ekiden.jp/
◇総合成績:http://www.hakone-ekiden.jp/pdf/94_Record_all.pdf

 

 

 

 

 旭化成、2年連続、史上最多の23V
  磐石の布陣で3強対決を制する 

 

 別名・ニューイヤー駅伝と呼ばれる本大会は、先ごろテレビドラマで人気をああつめた『陸王』の舞台になった駅伝である。
 駅伝レースでは頂点をなす大会だが、そのわりに人気はいまひとつで、翌二日からはじまる箱根駅伝の露払いのような位置づけでしかないのは、どうしたわけなのだろう。
 日本の男子マラソン・長距離が最近では世界の3流になりさがり、本大会がスター選手を生みだしていないせいもあるだろう。
 そういう観点から見て、今大会どうなのか? 
 東京五輪の2年前なのにいぜんとして目玉になるような注目選手は見当たらないが、駅伝ウオッチャーの目からすれば、一縷の望みをかけるランナーがいないわけではない。
 遠藤日向(住友電工)、高校卒業したばかりの19歳のルーキーである。高校時代から敵なし、ラスト勝負の強さは無類で、すでにして日本でもトップクラスの呼び声が高いのである。
 長距離男子の本流は、高校から大学へ進んで、箱根駅伝、それから実業団にひろわれて本大会でデビューするというプロセスをたどる。たとえば今大会の優勝候補ナンバーワンの旭化成なんかは、かつての箱根のスター選手がずらりと顔をそろえている。
 遠藤はあえて数ある大学駅伝からの誘いを袖にして実業団、それも旭化成やトヨタなど強豪チームではなく、渡辺康幸のいる住友電工をえらんだ。かれの眼中にあるのは東京五輪である。大学にゆけば東京五輪のときはまだ在学中、箱根駅伝と東京五輪の両方を背負わなければならなくなる。箱根駅伝など眼中にないというふてぶてしさに魅力があり、久しぶりに現れた逸材である。

 

 第1区にその遠藤日向が出てきたのである。
 スタートしたまもなく前に出てきたのは、連覇をねらう旭化成の茂木圭次郎であった。1㎞=2:48の入りで集団を引っ張り、Hondaの田口雅也、富士通の佐藤佑輔、中国電力の藤川拓也らが後ろにつけた。住友電工の遠藤日向も集団の前のほうに付けた。
 3㎞をすぎてペースは安定して横ひろがりの集団をいぜんとして旭化成の茂木がひっぱって、たんたんと進む。富士通の佐藤、中国電力の藤川、SUBARUの阿久津圭司が前に出てくる。
 5㎞になってSUBARUの阿久津がトップに立ち、その後ろに旭化成の茂木、富士通の佐藤らが続くが、集団が少しずつ縦長になり、先頭集団は2つに分かれはじまる。
 6㎞ではSUBARUの阿久津が先頭のとびだすが、DeNAの上野裕一郎ら遅れはじめた。8㎞になると、先頭集団はヨコ長になり、トヨタ自動車の藤本、SUBARUの阿久津、そして住友電工の遠藤らが前に出てきた。
 レースが動き出したのは9㎞たりからで、中国電力の藤川がスパート、先頭集団は16チームに絞られ、愛知製鋼の高橋流星、トヨタ自動車の藤本らが追走してくる。10㎞になると愛三工業の山口浩勢が先頭に出てくる。コニカミノルタの宇賀地強、日清食品の小野裕幸、Hondaの田口雅也らがこぼれていいった。
 11㎞になって中国電力の藤川がスパートをかける。住友電工の遠藤、トーエネックの服部弾馬が反応して、三つどもえのスパート合戦となる。最後は服部と遠藤の争いとなったが、遠藤の瞬発力が勝った。2位にはトーエネックの服部、3位にはひらまつ病院の梶原有高であった。旭化成は10秒遅れの9位、トヨタ自動車は11秒遅れの10位と好位につけたが、Hondaは30秒遅れの21位、コニカミノルタは44秒遅れの24位、MHPSは47秒遅れの25位、DeNaは57秒遅れの31位と出遅れてしまった。

 それにしても……。遠藤日向は期待にたがわぬ走りで驚嘆した。デビュー戦でいきなり実業団のトップたちを力でねじ伏せてしまった。渡辺康幸ののもとで、どれほど大化けするか、楽しみである。

 

 インタナショナル区間となる2区になると本命の2チームにつばぜり合いになった。まずは10位発進のトヨタ自動車のコシンベイがトップに立ち。その後ろから旭化成のキャプシスがやってくる。2人が抜けだして、はるか後方から中国電力のカマイシ、富士通のマイナが追ってくる。5㎞ではトヨタ自動車のコシンベイと旭化成のキャプシスがトップを並走。6秒差で愛三工業のケモイ、西鉄のキプケモイ、富士通のマイナらが3位集団で追ってくる。
 トップ争いに結着がついたのは7㎞すぎだった。旭化成のキャプシスがスパートをかけると、トヨタ自動車のコシンベイとの差はじりじりひろがっていった。
 中継所では旭化成のキャプシスがトップでタスキリレー。6秒差でTNのワウエルが2がやってきた。トヨタ自動車のコシンベイは3位で先頭とは7秒差。注目のDeNAのカロキは今回も区間賞の走り、18人抜きの13位までやってきた。

 

 3区にはいると旭化成の市田孝がリズムよく快走した。トヨタ自動車の田中が追いかけ、3位のNTNの小山陽平を、愛三工業の石川裕之、九電工の中村信一郎がつづき、その後ろから富士通の松枝博輝がやってくるという展開で、旭化成にとって、もうひとつのライバルHondaはまだやってこない。
 市田はいぜん快調なペース、苦しかったのは2位のトヨタ自動車のほうで田中秀幸は3位集団の富士通の松枝、愛三工業の石川裕之らに追いつかれるしまつ。
 市田はその後も気分良く逃げて、後続との差をひろげ10㎞では2位にやってきた愛三工業の石川に19秒差とした。後ろの2位争いが熾烈になり、愛三、富士通に後ろからDeNAの高橋優太がやってきて集団となっていた。
 そんな2位争いを尻目に旭化成・市田は2位に32秒差をつけて4区のエース区間にタスキをつないだ。2位には富士通、3位は愛三工業、4位はDeNA、トヨタ自動車は37秒差の5位。Hondaはまだ先頭から1:32差の12位であった。

 

 本大会で最大のみどころとなったのは4区であった。
 旭化成のランナーは大六野秀敏、Hondaはハーフマラソン日本記録保持者の設楽悠太である。設楽がどこまで追えるかが注目の的となった。
 1:32秒遅れの12位でタスキをうけた設楽の追い上げはすさまじかった。2㎞で6位集団にに追いつき、10㎞では2位集団に追いついた。富士通の横手健、愛三工業の鈴木洋平、DeNAの室健太塚、トヨタ自動車の宮脇千博と5人の集団で前を追ってゆく。13㎞になって設楽は2位集団からするすると抜けだした。大六野との差はじりじりと詰まり、15㎞で29秒、17㎞では20秒差になる。追われる大六野も踏ん張っていたが、21㎞では10秒差となった。激しい両者のせめぎ合い、設楽が追いすがり、両者はほぼ同時にタスキをリレーした。トヨタ自動車は26秒遅れの3位であった。
 ひたすら前へ前へと身体をはこんでゆく設楽の快走、最後は懸命に粘る大六野がしのぎきると思われたが、あきらめずに最後まで追った姿はみごとであった。設楽と大六野の争いにしぼられた4区だったが、後のほうではMHPSの井上大仁が快走、区間賞はとれなかったものの13人抜き、チームを7位まで押し上げてきた。

 

 5区にはいると旭化成の村山謙太がハイペースですっ飛ばした。Hondaの山中秀仁との差をあっというまにひろげてしまう。その後もその差は少しずつひろがり、山中は離されまいとけんめいに堪えたが、結局、最初の猛ダッシュしたときの差が最後にモノをいってしまった。村山のこの頭脳的な作戦が功を奏して、ひとたびHondaに傾きかけていた勝負の流れは、ふたたび旭化成の手中に落ちた。
 5区を終わって1位は旭化成、2位はHondaでその差は14秒、3位はトヨタ自動車で1:40とひろがった。

 

 5区で流れをよびもどした旭化成は6区の市田宏がハイペースで快走、もう2位のHondaに追わせなかった。その差はひらく一方で、2位のHondaとの差は1:03もの大差、逆にHondaはトヨタ自動車に追われる展開となった。
 旭化成の7区アンカーは鎧塚哲哉、5000m、10000mで歴代2位の記録ホルダーである。追うHondaは上野渉、トヨタ自動車は早川翼だったが、勝負はすでに決していた。イニシャティブは鎧塚の手中にあり、あとはゴールまでたんたんとタスキをはこんでゆくだけだった。
 
 終わってみれば、やはり旭化成は強かった。
 4区間で区間賞をもぎとり、2位に2分以上の差を付けての圧勝である。18年ぶりに優勝した前回よりもさらにパワーアップされていた。もともと旭化成は外国人選手をもたないチームだったが、今回は初の外国人選手・キプヤティチで2区からトップに立った。近年になって宗旨替えして箱根駅伝のスターたちを大量にかっさらっていったが、実業団選手としてかれらが力をつけ、さらにウイークポイントであった外国人特区への対応もできあがった。これも大きかった。
 2位に終わったHondaはそこそこ肉薄したものの今回も勝てなかった。このチームは力がありながら、いつもどこかでポカをやる愛すべきチームである。今回は1区で21位と出遅れたうえに、2区、3区でも区間2桁順位、これでは勝てない。
 3位のトヨタ自動車は各ランナーともに安定していたが、いまひとつ爆発力がなく、競り負けてしまったという感ありである。
 シード権争いも激しかった。最終7区の14㎞過ぎまで、コニカミノルタ、DaNA、MHPS、安川電機、愛三工業,九電工など6チームが6位集団をなしていたが、残り600mからのスパート合戦でDeNAの木津晶夫、コニカミノルタの神野大地、MHPSの松村康平が抜け出した。住友電工は最後に11位に終わったが、遠藤日向で1区を制するなど見どころをつくった。前半は上位につけていた愛三工業とともに大健闘であった。
 意外だったのは7位でなんとかシード権だけは守ったものの7位に沈んだコニカミノルタ、1区の宇賀地強で出遅れたのが痛かった。日清食品グループはなんと15位、今回はまったく良いところがなかった。
 とにかくも全般的に見て旭化成の強さだけが際立った大会だった。2人の外国人加入で選手層も分厚くなり、まさに黄金時代が到来である。実業団男子駅伝は、当分の間、旭化成を中心にまわってゆくのだろう。

 

◇ 日時: 2017年 1月 1日(月=祝) 9時00分 スタート
◇ 気象 天気:晴 気温5.7 湿度53% 北西2.1m
◇ コース:群馬県庁スタート~高崎市役所~伊勢崎市役所~太田市尾島総合支所~太田市役所~桐生市役所~JA赤堀町~群馬県庁をゴールとする7区間100km
◇旭化成(茂木圭次郎、K,A.キャプシス、市田孝、大六野秀畝、村山謙太、市田宏、鎧坂哲哉)
▽TBS公式サイト:http://www.tbs.co.jp/newyearekiden/
▽総合成績:http://www.jita-trackfield.jp/jita/wp-content/uploads/2018/01/2018NewYear_Result.pdf

 

 

 立命館が5連覇で通算11度目の制覇!
 エースの13人抜き、先行逃げ切りで圧勝!

 

 本大会は富士山女子駅伝と呼ばれているが、それはいわゆる通称で、正式には「全日本大学女子選抜駅伝競走大会」である。
 今回で12回目だが、コースは変転として,第3回までは埼玉、第4回~7回までは茨城県つくば市で行われ、現在の富士山麓コースになったのは4年前の2013年第8回大会からである。
 いずれにしても本大会は立命館大学が圧倒的な強さを誇っている。過去12回のうち負けたのは第7回だけである。現在の富士山麓コースなってからも4連勝中で、今回は5連覇がかかっていた。
 今シーズンは10月の全日本大会で名城大学が制覇、2位にも大東文化大がやってきて、立命館は3位に敗れた。昨年は全日本で松山大に屈したが、本大会では圧勝でリベンジした。だが今回は全日本の戦いぶり、さらに戦力的にも劣勢というみかたもあり、5連覇に黄信号が点滅していた。
 だが……
 駅伝はやってみなければわからない。まさに、そこのところが面白い…という現実をまざまざまざと見せつけられる大会となった。

 

 名城、大東文化を中心に、立命館、東京農大、松山大もふくめ大混戦が予想された本大会、どのチームが先手をとるのか。興味はその一点にあった。先手をにぎり好リズムをつかんだチームが、混戦の駅伝ではそのまま突っ走るケースが多いのである。
 オーダーをみると名城は5区以降にエースの加世田梨花、赤坂よもぎ、玉城かんなと主力3枚を配し、明らかに後半勝負の布陣であった。対照的に5連覇をねらう立命館は2区にエースの佐藤成葉を配して、2区で奪首する、先行・逃げ切り作戦と読めた。

 

 第1区はゆったりとした展開ではじまった。1㎞=3:25、横ひろがりの集団でレースはたんたんと進んだ。京産大の藪田裕衣、東農大の保坂野恋花、大東文化大の秋山祐紀、大阪芸大の長濱夕海香らが前にでてきて先頭争い。5連覇をねらう立命館の加賀山恵奈も好位につけている。
 2.6㎞で保坂がスパートしてペースアップ、先頭集団は15~16チームになった。残り1㎞で大阪学院大の高谷愛奈がトップに立つも、大東文化の秋山、城西の上田未奈、京都産大の藪田もやてくる。
 残り200mになって壮絶なスパート合戦、藪田がトップを奪うも、残り100mで上田が差しきって中継所にとびこんでいった。
 後続も僅差の大混戦、肉眼では誰が来たのかもとらえられないほどランナーたちは、ひしめき折り重なってタスキを渡した。
 1区を終わって,トップは城西大学、京産大、大東文化大、東農大、大阪学院大、名城大、仏教大とつづき、松山大は11秒遅れの11位、立命館は14位と出遅れたが、トップからはわずか12秒遅れであった。トップ通過から20秒以内に15チームがつづくという大混戦であった。

 

 2区にはいって大きく動いたのが立命館の佐藤成葉である。
 トップを行く城西大の小笠原晴季、だが追ってくる名城の徳永香子、東農の佐藤有希、大阪学院大の水口瞳らの集団に1㎞でつかまってしまう。その背後からは大東文化大の斎藤暁、松山大の緒方美咲,東洋大の白川恵理奈をとらえた立命館の佐藤成葉がやってきて3.5㎞では4位に浮上、じりじりとトップに迫る勢いをしめす。
 4㎞すぎでトップは名城の徳永、東農の佐藤有希の争いとなったが、立命館の佐藤成葉が4秒差に迫っていた。佐藤成葉はさらにペースアップ、5㎞ではとうとう名城・徳永と東農の佐藤に追いつき,並ぶまもなく抜き去ってしまう。13人抜きの奪首である。
 佐藤は登りで差を詰め、下りで一気に突き放すという走りで後続を引き離した。かくして立命館は予定通り2区でトップに立ったのである。2位は10秒差で東京農大、3位は名城大で20秒遅れ、4位は東洋大、5位は東北福祉大とつづき、この2チームはここまで大健闘であった。大東はなんとここで失速して35秒差の7位、松山大は45秒差の8位と勢いを失った。

 

 トップに立った立命館は相手関係からみて繋ぎの区間である3区、4区で、どれだけ逃げて貯金をつくるか。逆に追う名城大、大東文化は、どれだけ差をつめて5区のエースにつなぐことができるか。勝負のゆくえを占うという意味で興味津々だった。
 好リズムをつかんだ立命館の勢いは止まらなかった。2区の佐藤につづいて3区でも田中綾乃が区間新記録の快走である。2位にやってきた東農大との差を31秒にひろげ、名城との差を51秒、大東との差を52秒にしてしまったのである。


 4区にはいっても立命館の加賀山実里が逃げた。2位東農大との差を36秒にひろげ、4位の大東との差を1:07とし、名城は逆に8位まで順位を落として、ここで1:28もの差がついてしまったのである。
 結果的に見て、3~4区のつなぎの区間で優勝候補とみられた名城大、大東文化の2チームは失速、追撃の足がかりをつくれなかった。これがレース全体の流れを悪くしてしまったようである。

 

 5区のエース区間は、海岸線の「しらす街道」である。古くからの富士山の景勝地・田子の浦港など横目にする平坦なコースである。
 立命館のランナーは今季はそれほど実績にない関紅葉だが、ライバルの名城、大東文化に1分以上のアドバンテージをもらったのが大きかった。ゆうゆうとトップを独走、大東の切り札・関谷夏季、名城のスーパーエース・加世田梨花が猛追してきたが、なんとか逃げ切った。2位にやってきた大東とは13秒、3位にあがってきた名城とは19秒差に迫られたが抜かせなかった。追われても抜かせなかったことが大きいのである。
 加世田は終盤失速したが、大東の関谷の走りは迫力満点でみごとな追撃であった。
 5区を終わってトップ立命館と大東文化大、東京農大までが20秒、名城とは1:05秒となり、優勝争い立命、大東、東農大の3チームにしぼられた。

 

 6区は田園地帯の長い直線コースである。見通しがいいだけけに後続はハナから猛然と追ってくる。立命館のランナーは唯一の4年生・和田優香里である。和田は落ち着いた走りで一時は突っ込んで追ってくる大東の元廣由美に6秒差まで追撃を許したが、後半突き放して逆に24秒差としてアンカーに託した。ここで後ろの名城は赤坂よもぎが区間賞の快走、東農大をかわして3位に浮上、トップとの差を45秒差として、なんとか最後の山の戦いに望みをつないだ。

 

 最終区の7区は距離8.3㎞。3㎞すぎからの急な坂がある。4.6㎞のあいだで169mの高低差があるコースである。さらに3.8㎞すぎの源太坂には急激な下りがあるという難コースである。立命館のランナーは真部亜樹、高校時代は実績があるが、大学では故障続き、立命館とって最大の不安材料が2年生にして駅伝デビューのこの真部であった。
 選手層の分厚い立命館のことだから、苦肉の策の起用ではなく、自信を持っておくりだしたのだろう…とみたが、果たして、ピタリそのようになってしまった。
 真部の軽やかなバネのある走りは実に初々しかった。坂を登るまでの平地で突っ込んで差を付けておき、急坂にさしかかっても後続の追撃をゆるさなかった。最後までフォームは乱れることなく、初レースで5連覇のゴールを駈け抜けた。逆に追ってくる名城の玉城かんな、大東の谷萩史歩は失速して、東農大の清水萌衣乃にとらえられる始末だった。後続の2位争いを尻目に真部は独走、後続を1分以上もちぎった。堂々区間新記録で5連覇のゴールテープを満面の笑顔で切った。

 

 優勝した立命館は先手必勝の作戦がみごとにハマった。とくに佐藤、田中、真部の2年生トリオが区間賞をとり、しかもそろって区間新である。加賀山(実里)と和田も区間2位だから、終わってみれば勝って当然の圧勝であった。エースの太田琴菜を欠いていても、駅伝初見参の真部が出てきて、勝負どころで区間賞を獲る。選手層の厚さは一枚ぬけているようである。全日本では完敗していながら、わずか2カ月にチーム力を建て直してきた陣営の調整力はみごとであった。

 2位の東京農業大学は前半から2位につけて好発進、6区でひとたび4位に落ちたものの、最終区で2位までやってきた。地力強化が顕著である。2年生と3年生が多いだけに、来年は脅威になるだろう。
 3位の名城大は3区、4区のつなぎの区間で遅れをとったのが大きかった。それでも4区ではひとたび8位に落ちながら、そこから6区では圏内に押し上げてきた。実力のある証拠であろう。
 4位の大東文化大も名城と同じように4区までに立命に1分以上の差を付けられたのが痛かった。
 5位には日本体育大、6位は大阪学院大、7位には京都産業大……と、最後は力のあるチームが順位をまとめている。仏教大が8位に来たのは健闘の部類か。松山大は9位に沈んだが、今期は戦える態勢にはなっていなかったようである。

 

 5連覇立命館ほか上位の東農大、名城大、大東文化大の4校は、いずれも2~3年生が主力だったから、戦いはまだ終わったわけでっはない。次回はさらに火花散るレースが期待できるだろう。

 

◇ 日時 2017年 12月30日(土) 午前10時00分 スタート
◇ コース:冨士・富士宮市
 富士山本宮浅間大社~富士総合運動公園陸上競技場 7区間 43.4㎞
◇ 天候:(午前10時)晴れ 気温:07度 湿度:71% 風:南西0.7m
◇立命館大学(加賀山恵奈、佐藤成葉、田中綾乃、加賀山実里、和田優香里、真部亜樹)◇公式サイト:http://www.fujisan-joshiekiden.jp/index.html
◇結果:http://www.fujisan-joshiekiden.jp/press/result.pdf