大阪が3年ぶり5度目の制覇
1区31位からの大逆転劇
今シーズンの女子駅伝をしめくくる最後の大会である。
オリンピアンから世界陸上代表など、一般(実業団・大学)出場するランナーたちはビッグネームがそろったが、彼女たちがこぞってトップコンディションで出てきているか、この時期は判断に迷うところである。
実業団のランナーたちは全日本が終わってオフに入っており、大学生のランナーたちは暮れの富士山駅伝で目いっぱい走ったあとなので、とてもベストで出てきているとはいいがたい。
ゆえに実業団、大学生のランナーにどれほどのパフォーマンスが期待できるのかよくわからない。よって顔ぶれだけで各チームの戦力を判断比較することは、とくに最近ではほとんど不可能になってきている。
中学生は走ってみないとわからない。よって、あてにできるのは真面目に走る高校生ということになり、4人出場する高校生の強いチームが優勝争いにからんでくる。
いずれにしても、チャンピオンシップの駅伝ではなくて、シーズン最後のお祭り駅伝というような感覚で、背景に流れる新年の古都の風景を楽しみながら、気楽に観戦するのがいい大会である。
それにしても……。
小雪が舞い散る厳しい気象条件のなかで、懸命に走った中学生、高校生に喝采をおくりたい。
大阪と兵庫が優種をきわどく争い、最後になって大阪が競り勝ったのはエディオンの勢いというべきか。暮れの高校駅伝でわずかにおよばなかった薫英の悔しさ、全日本実業団を初めて制したエディオンの勢いが大阪に優勝をもたらした。
第1区(6km)
小雪が舞うなかで第1区はスタートした。
スタート直後のトラック周回から大分の奥本菜瑠海が飛び出して、1分12秒で競技場を出ていた。5条通りはタテ長の展開ですすむも、ここで早くも群馬の不破聖衣来はおくれ最後方につけている。
1kmは3:08、1~2kmは3:07、2kmすぎから奥本と2位集団との差は詰まり始める。西大路通りに入って、奥本は2位集団に吸収され、中間点を前にして神奈川の西山未奈美が先頭にとびだした。後ろは千葉の鷲見梓沙、兵庫の清水里名、熊本緒方唯莉、福岡の宮原かな佳あたりがつけている。
3.5kmをすぎて先頭集団は16チームぐらいになる。4kmをすぎて連覇を狙う京都の佐藤ゆあが集団からこぼれてゆく。4.4kmののぼりにさしかかって長崎の森森智香子がトップに立って先頭を引っ張り始めるも、5kmになると滋賀の北川星瑠が先頭に出てくるなど、トップ争いは激しくなってくる。そんななかで候補の一角、大阪の姿がみつからない。
区間賞争いは残り600m、長野の高校生・田畑陽菜が北川を抜いてトップに立ち、後続を振り切って中継所にとびこんだ。ちなみに群馬の不破聖衣来は区間23位という凡走におわった。とても走れるようなコンディションでないまま出て来たのだろう
トップは長野、5秒遅れて2位が北海道、同タイムで3位が滋賀、同タイムで4位が福島、同タイムで5位が神奈川、6位は6秒遅れで鹿児島、7位は7秒遅れで長崎、8位は7秒遅れで熊本、9位は8秒遅れで静岡、10位は10秒遅れで鳥取とつすいたが、連覇をねらう京都は50秒遅れの30位、大阪は56秒遅れの31位と大きく出遅れた。
区間賞は長野の田畑陽菜(長野東高)で19分28秒だった。
第2区(4km)
長野の川上南海はひたすら逃げる。
追い上げ急だったのは30秒差16位発進の兵庫だった。この区間は田中希実、1kmで早くも4人抜いて12位に浮上、2,2kmでは6位までやってきて、千葉の今西紗世とともに2位集団を追い始め、2.5kmで2位集団を一気にかわして前に出る。これに食らいついたのは長崎の井手彩乃、後ろの4位は北海道の木田美緒莉である。
田中はけんめいに追うが、長野の川上はそこからは追わせなかった。
トップは長野2位は13秒遅れで兵庫、3位は16秒差で長崎、4位は28秒差で北海道、5位は29秒差で鹿児島、6位は34秒差で奈良、7位は35秒差で千葉、8位は38秒差で静岡、9位は39秒差で滋賀、10位は40秒差で熊本とつづいた。大阪は1分14秒差で19位、京都は1分23秒差で25位だった。
区間賞は兵庫の田中希実で12分14秒だった。
第3区(3km)
トップを行く長野の原梨珠は1kmを3分12秒……。兵庫の森貞帆加がじりじりと長野に迫るも原はゆるがない。2kmでは膠着状態となる。最後まで兵庫は追いきれず、ここも長野が逃げ切った。
トップは長野、2位は14秒差で兵庫、3位は36秒差で長崎、4位は42秒差で神奈川、5位は42秒差で奈良、6位は43秒差で滋賀、7位は44秒差でカギ島、8位は47秒差で静岡、9位は51秒差で広島、10位は53秒差で熊本だった。
区間賞は愛知の太田葵で9分20秒だった。
第4区(4km)
トップをゆく長野のこの区間は今シーズンで引退する細田あい、快調な走りで2位との差をひろげてゆく。
(東北地方地震速報で中継は中断してしまう)
細田あいは小雪が舞い、向かい風のなかを力走、後ろでは静岡が2位に浮上してきた。さらにはるか後ろでは京都の芦田和佳は14人抜きで13位まで順位をあげてきた。
長野の細田あいは2位との差をひろげてタスキをつないだ。
トップは長野、2位は26秒遅れで静岡、3位は31秒遅れで宮城、4位は47秒遅れで兵庫、5位は47秒遅れで長崎、6位は52秒遅れで鹿児島、7位は59秒遅れで神奈川、8位は1分00秒秒遅れで滋賀、9位は1分07秒遅れで岡山、10位は1分10秒遅れで大阪よゆずき京都は1分14秒遅れの13位だった。区間賞は京都の芦田和佳が12分43秒である。
第5区(4.1075km)
ここでも長野で今井玲那がゆうゆうと先頭を行く。後ろでは2km手前で4位発進の兵庫・池野絵莉が前を行く静岡、宮城を交わして2位にやってきた。さらに後ろで2.3kmで大阪の村井和果が10位ら6位にやつてきて5位の長崎を追いはじめ、京都の伊藤愛波も7位までやってきた。
兵庫はトップ長野に迫るが、長野の今井はトップをまもった。
5区を終わってもトップは長野、2位は15秒遅れで兵庫、3位は35秒遅れで大阪、4位は39秒遅れで静岡、5位は43秒遅れで宮城、6位は43秒遅れで長崎、7位は58秒遅れで京都、8位は1分14秒遅れで鹿児島、9位は1分15秒遅れで神奈川、10位は1分17秒遅れで千葉……。区間賞は大阪の村井和果で13分11秒だった
第6区(4.0875km)
長野の窪田舞はトップで跨線橋の坂をくだってゆく。1km=3:09……。追う兵庫の金子聖奈も同じようなペースで差はつまらない。
後ろでは1.5kmになって京都の杤尾佳穂が長崎をかわして6位に浮上、さらに3kmでは宮城を交わして5位までやってくる。
前のほうの順位に変動はないが大阪が兵庫との差を詰めてくる。
長野がここも変わらずトップ通過、2位は18秒差で兵庫、3位は19秒差で大阪、4位は37秒差で兵庫、5位は50秒差で京都、6位は1分06秒差で宮城、7位は1分16秒差で岡山、8位は1分19秒差で神奈川、10位は1分29秒差で長崎だった。区間賞はここも大阪、薫英女学院のトリオのひとり田谷玲で12分54秒……。
第7区(4km)
2位兵庫とほとんど同時にスタートした大阪の河村璃央が兵庫をかわして、猛然と先頭を追い始め1kmでその差は10秒と詰まった。そして1.3kmでは逆転トップに立つも長野の本田結彩も粘ってくらいついた。
後ろでは京都の小林美友が1.7kmで静岡をとらえて4位までやってきた。
2kmになるとトップの大阪と長野の差は20m、その差はさらにひろがり3km手前では10秒となった。長野と兵庫が並走、後方からは京都がやってくるという展開になった。
兵庫と長野の激しい2位争いを尻目に大阪はここではじめてトップに立ってタスキをつないだ。
2位は長野で16秒差、3位は18秒遅れで兵庫、4位は57秒遅れで京都、5位は1分28秒遅れで静岡、6位は1分40秒遅れで岡山、7位は1分40秒遅れで千葉、8位は1分43秒遅れで広島、9位は1分47秒遅れで宮城、10位は1分52秒遅れで神奈川……。区間賞はここも大大阪の河村璃央で区間記録に迫る12分25秒だった。
第8区(3km)
大阪の田中美空が先頭、後ろでは兵庫の福井詩が長野を交わして2位に上がってきて、1.3kmではトップの大阪と16秒差、大阪を追い始める
。2.4kmになって大阪と兵庫の差は30m、そして中継所手前の2.9kmで兵庫が大阪を逆転、初めてトップに立った。
2位は5秒遅れで大阪、3位は長野で20秒遅れ、4位は静岡で53秒差、5位は京都で53秒差、6位は岡山で1分17秒遅れ、7位は神奈川で1分35秒遅れ、8位は広島で1分46秒遅れ、9位は宮城で1分48秒遅れ、10位は千葉で1分50秒遅れだった。区間賞は静岡の金田陽愛で10分10秒だった。
第9区(10km)
かくして優勝争いは最終区までもつれた。
トップの兵庫と2位の大阪との差はわずか5秒、3位の長野も20秒暮れ、4位、5位の静岡、京都までも53秒である。いずれにもチャンスは十分にあるという展開だった。
兵庫の永長里緒の大阪の逸見亜優が1.8kmで追いついてしまう。長野の村上愛華が単独で前を追う。後ろでは5位発進の京都の川村楓が3.1kmで並走していた静岡を振り切って3位の長野を追い始める。
川村がベストで出てきていれば53秒差ぐらいはひっくり返すだろうが、どうも動きが鈍くて、静岡を振り切るのがはっとというありさま。
よって永長と逸見が逃げる。5kmの通過も両者は並走状態、25秒後ろに村上がいて、川村との差もほとんど変わりはない。優勝はこの時点で大阪と兵庫にしぼられた。
7.8kmになって永長が前に出ゆとするが、逸見が許らずに残り1kmまでつばぜり合いがつづいた。
トップ争いに変化が兆したのは競技場を目前にした9.2km、ここで逸見が前に出る。その差は3m、5mとじりじりとひろがっていった。逸見が競技場に現れたときその差は20mほどにひろがり、そのままゴールに飛び込んだ。
(9区区間賞は群馬の樺沢和佳奈(三井住友海上)で唯一1人31分台となる31分57秒……。
大阪は1区31位から逆転、3年ぶり5度目の制覇である。
序盤は大きく後れをとったが5区から7区の高校生、薫英女学院のランナーがひっくりがえした。奇跡の大逆転というべきか。6区まで長野にトップを奪われ、そのままゆくかとおもいきや、7区でひっくりがえした。
逆転の主役となった薫英女子学院のメンバーは、暮れの高校駅伝で長野にやぶれた悔しさをバネにしてリベンジしたのである。
2位の兵庫は2区の田中希実の爆走で一気に流れに乗った。その後も堅実に上位をキープ、最後は競り負けたが大阪ときわどい勝負になった。
3位の長野は暮れの高校駅伝を制した長野東のランナーたちが快走、1区の田畑陽菜は並みいる実業団、大学生ランナーを一蹴する爆走ぶり、みごとだった。6区までトップを走りあわやと思わせた。
4位の京都は連覇を狙ったのだが……。1区で30位、2区を終わっても17位、これでは勢いがつかない。昨年は2人でトップに立ったのだが、区間30位、区間25位という信じられない崩れかたである。1区の佐藤やは暮れの全日本選抜駅伝1区で区間賞のランナー、中地も力のあるランナーなのだが……。おそらく走れる状態ではなかったのだろう。
それでも4区の高校生・芦田和佳の14人抜き区間賞で弾みをつけ5~7区の高校生の快走でトップをうかがうところまで押し上げてきて、地力のあるところをみせた。
高校生はふんばったが一般(実業団、大学生)ランナーがぶちこわした。走れるような状態でなかったことだろう。高校生に恥じなければなるまい。
岡山、群馬、埼玉、静岡までが入賞である。
なかでも8位に終わった静岡、4区の齋藤みうで2位まで順位を押し上げ、8区まで4~.5位をキープしていた。これは大健闘だった
◇ 日時 2025年01月12日(日)12時30分スタート
◇ 場所 京都市
◇ コース たけびしスタジアム京都発着 宝ヶ池国際会議場前折り返し9区間49.195Km
◇ 天候:くもり 気温:10.3度 湿度:26% 風:北東2.2m(12:00)
◇ 大阪(塚本夕藍、中島紗弥、東野翠、佐藤千紘、村井和果、田谷玲、田中美空、逸見亜優)
◇公式サイト:
◇詳しい成績:




