スローペースで波乱の展開!
  サプライズ立教、よもやの神奈川


 新型コロナの流行が落ち着きをみせ、ようやく予選会のコースも立川駐屯地周回コースから、立川市街地を経て、昭和記念公園に至るハーフマラソンコースにもどされた。実に3年ぶりのことである。
 43校が参加しておこなわれた予選会、コースの変更、さらには展開のアヤもあって、思わぬ波乱の結果をもたらし、きわめてスリリングなレースとなった。

 43校のランナーがいっせいにスタートするこのレース、いかにもゆっくりしたスローな展開で幕あけた、1km通過が3:00、2kmが6:00、拓殖大のジョセフ・ラジニ(4年)が集団の先頭を引っ張るのだが、意外や意外というべきか。留学生たちがぶっちぎってゆくと思われたのに、誰も行こうとしない。
 3km通過が8:59で、先頭集団を引っ張るのは上武大のカマウ・パトリック、留学生ランナーたちが超スローで集団を形成、日本人の主力ランナーたちにとって、これは想定外で、むしろとまどったのではあるまいか。
 5kmの通過は上位から明治大、城西大、亜細亜大、立教大、芝浦工大、拓殖大、山梨学院大、日本大、筑波大、早稲田大……、僅差ながら、神奈川、大東文化大、東海大、日本体育大などは圏内にはいっていない。

 8kmをすぎて立川駐屯地から立川市内へと出ると、武蔵野学院大・ワンジク・チャールズカマウがトップに立ち、留学生集団をひっぱるが、このあたりから集団は少しずつ縦長になっていった。
 10kmは武蔵野学院大のワンジク・チャールズカマウ、桜美林大のネルソン・マンデラ・ンビディらがトップ通過。
 10キロ地点の通過順では明治大、城西大、立教大、山梨学院大、早稲田大、大東文化大、中央学院大、神奈川大、拓殖大、日本大とつづき、ここまでが圏内。注目すべきは立教大でなんと3位につけている。東海大、日本体育大、専修大、国士舘大などはまだ10位いかから浮上できないでいる。

 レースは13kmすぎで武蔵野学院大・ワンジク・チャールズカマウが単独トップに立ち、14kmになると独走態勢、そのまま昭和記念公園の敷地内へつっこんでゆく。日本人のトップ集団は。明治大・漆畑瑠人、あと4~5人が日本選手のトップ集団をなして、15kmを通過してゆく。
 15キロ通過時点では明治大、早稲田大、大東文化大、城西大、立教大、山梨学院大、東海大学、中央学院大、神奈川大、日本体育大とここまでが圏内。さすがに東海、日体があがってきた。国士舘大、専修大も差のないところまでやってきた。

 17.4kmの昭和記念公園内の折り返し地点も武蔵野学院大・カマウがトップで通過していく。ここで日本人トップは専修大・木村暁仁が集団から抜け出した。
 こののこりおよそ4kmの時点での通過順位はつぎのとおり。
 早稲田大、大東文化大、明治大、城西大、立教大、山梨学院大、東海大、日本体育大、神奈川大、専修大とつづく。注目はここでも立教大で5位をまもっている。上位の早稲田大、大東文化大、明治大、城西大の4校は26秒差のなかにはいっており、後ろの立教とは2分以上の差があるので、一歩抜け出した恰好となり、残り4kmでトップ通過を争う形勢になった。
 10位以降は中央学院大、国士舘大までが38秒、9位の神奈川大から専修大、中央学院大、国士舘大の4校で2つの椅子を争う状況になった。

 レースは武蔵野学院大・カマウがトップでそのままゴール、専修大・木村が日本人トップ(全体では8位)でゴール、後ろの選手たちも次つぎにゴールするも、観ているわれらは、チーム成績としてどのような結末になっているのか皆目わからない。いつもながらもどかしいレースである。

 いつもながら、緊張感あふれる結果発表のコール、悲喜こもごものシーンは何時も変わらぬ風景だった。

1大東文化大学 4年ぶり51回目  10:40:39
2明治大    5年連続64回目  10:41:41
3城西大    2年ぶり17回目  10:42:09
4早稲田大   47年連続92回目  10:42:29
5日本体育大  75年連続75回目  10:43:34
6立教大    55年ぶり28回目  10:46:18
7山梨学院大  3年連続36回目  10:46:55
8専修大    3年連続71回目  10:46:56
9東海大    10年連続50回目  10:47:03
10国士舘大   7年連続51回目      10:48:55

11神奈川大                                 10:49:29
12中央学院大                              10:51:25
13日本大                                    10:52:02

 結果的にみて、大東文化大、明治大学、早稲田大の上位通過は順当だといえる。ベスト3にもぐりこんだ城西大、日本体育大、山梨学院大、東海大の通過もほぼ順当だといえる。大東文化大のトップは実績から見てもうなずける結果であろう。コース変更でスピードだけでなくスタミナも要するコースになったのも味方したというべきだろう。
 早稲田大は15kmではひとたびトップに立っていた。確実に復活気配である。全日本、あるいは箱根でも今シーズンは期待できそうである。
 城西大の3位も大いに評価できる結果である。つねに上位につけていた安定性が光っている。
 立教大、専修大、国士舘大はボーダー線上とされていただけに、予選通過は大健闘というべきだろう。
 なかでも立教大は終始上位を占めており、圏内からこぼれることがなかった。その安定したレースぶりが光っている。かくして55年ぶりに本戦出場、箱根路でも上野裕一郎監督の采配ぶりをとっくり観てみたいと思う。
 専修大と国士舘大は15km地点では圏内からこぼれていたが、ラスト勝負で帳尻を合わせてきた粘りはみごとというべきか。
 意外だったのは神奈川大と中央学院大の落選である。ともに後半ののこり4kmで失速して、圏内からこぼれおちてしまった。両校は通過まちがいなしといわれていたので意外な結果というほかない。
 さて、この予選会あがりのチームのなかで本戦で優勝にからまないまでも、シード権争いに絡めそうなのはどのチームか。
 さしずめ明治大、早稲田大、大東文化大あたりではないだろうか? 大きな舞台では、やはり伝統校が力を発揮すると見たが、いかがなものだろうか。

◇ 日時 2022年10月15日(土)午前9時35分スタート
◇ 場所 国営昭和記念公園(立川市)
◇ コース :陸上自衛隊立川駐屯地~立川市街地~国営昭和記念公園(21.0975km)
◇天気:雨  気温:19.8℃ 湿度:79%  風:北北東1.1m
 

◇公式記録:https://www.kgrr.org/event/2022/kgrr/99yosenkai/sogoseiseki.pdf
           :https://www.kgrr.org/event/2022/kgrr/99yosenkai/teamseiseki.pdf
           :https://www.kgrr.org/event/2022/kgrr/99yosenkai/kojinseiseki.pdf
◇公式サイト    箱根駅伝: http://www.hakone-ekiden.jp/
   日本テレビ:http://www.hakone-ekiden.jp/