ケニアが混合戦になって初優勝!
3区、5区、若い力が勝負を決めた !
「青木半冶杯 2011国際千葉駅伝」は例年どおり11月23日(水=祝)、千葉県総合スポーツセンター陸上競技場を発着点におこなわれ、ケニアが男女混合戦になって初めて優勝した。日本のナショナルチームは2年ぶりの王座奪還をめざしたが、男子がケニア勢に圧倒され、今回も2位におわり、3位には昨年の覇者・日本学生選抜がはいった。
レースは日本、ケニアのはげしいマッチアップの形勢になったが、5区でケニアが抜け出してそのまま逃げ切った。ケニアは3区と5区の10㎞区間で日本勢を圧倒、日本は2区の西原加純、4区の小林祐梨子が区間賞で首位をうばうも、ケニアは3区と5区の10㎞区間で日本勢を圧倒、6区の新谷仁美が区間新記録で追いすがったが、およばなかった。
日本学生選抜は今回も大健闘、最後はロシアに競り勝って3位にとびこんだ。
◇ 日時 2010年 11月 23日(水・祝)13時10分
◇ コース:千葉市(千葉県総合スポーツセンター陸上競技場をスタート・フィニッシュとし,ポートタワー・千葉マリンスタジアム・幕張メッセ・幕張ベイタウンを通る日本陸連公認マラソンコース42.195km)
◇ 天候:晴れ 気温15.4度 湿度59% 風:南東2.1(正午)
◇日本代表(上野裕一郎、西原加純、竹澤健介、小林祐梨子、鎧坂哲哉、新谷仁美)
◇日本学生選抜(大迫傑、竹中理沙、窪田忍、吉本ひかり、出岐雄大、野村沙世)
◇千葉選抜(佐藤祐輔、中村萌乃、尾崎貴宏、古宮久美子、久保俊太、篠塚麻衣)
公式サイト
http://www.inter-chibaekiden.jp/
▽国際駅伝のねらいは何なのか?
今回で23回を数える国際千葉駅伝だが、最近では、大会そのものの存在意義がわからなくなっている。駅伝の世界一を決める大会という触れ込みだが、出場チームも当初と比べれば少なくなり、そんなもくろみはとっくの昔になくなっている。
当初、男女別々におこなわれていたレースが、一本化されて、混合レースになってから、その傾向は顕著になっている。
事実、海外チームの数も減少傾向にあり、以前は16カ国ぐらいが出場した年もあったが最近では10カ国ぐらいになり、日本がナショナルチームに学生選抜チーム、千葉県選抜チームの3チームをエントリーして、ようやく数をそろえて、カタチをととのえているというありさまである。
さらに、この大会の時期が全日本実業団駅伝や全日本実業団女子駅伝の各地区予選、箱根駅伝に向けたチーム内のメンバー選考レース(ハーフマラソンや記録会)なども目白押し、近年はナショナルチームも学生選抜も思うように選手を集められない傾向にあるというではないか。
本大会がもうけられた当初は外国チームに胸を借りて、日本の長距離を強くしたいという狙いもあったのだろう。ところが最近では外国人選手と日本人選手の実力差がはっきりしてしまい。外国人選手に胸を借りるどころか、せっかく外国人選手を受け入れておきながら、駅伝レースでは外国人特区におしこめ、日本人と走らせることを放棄してしまっているのが現状である。
そんななかで、なぜ、あえて国際駅伝というふれこみでレースをもうけるのか。よくわからないのである。
▽かませ犬にボロ負けして、いったいどうするの?
うがったみかたをすれば、男女混合のレースにしてしまったのは、とくに男子の場合、実力的に世界レベルからは遠くおいてゆかれたことを隠すためではないか。ケニアあるいはエチオピアがそこそこの顔ぶれをそろえてきたら、日本はベストでのぞんでも、とうてい歯が立たない。哀しいかな、それが日本男子長距離の現状なのである。
だからエチオピアを呼ぶのをやめにして、男女混合レースにして、お茶を濁すという姑息な手段にうってでた。
テレビ中継もあることだから、日本のナショナルチームが大負けするわけにはいかないのである。そんなことになればスポンサーがつかなくなる。男女混合エースにするというのは苦肉の策である。
ほんとうはケニアも呼びたくないのだが、エチオピアもケニアも排除しては、レースとしてのおもしろみがなくなってしまう。主催者側はそこで知恵をしぼった。ケニアをチーム構成で骨ぬきにしたしまった。男子も女子も若手のみのチームにしてしまったのである。
要するにケニアを「噛ませ犬」にして、なんとかテレビ中継にふさわしいレースとしてとりつくろったのである。
だが、日本ナショナルチームは、この「噛ませ犬」にあっさりと負けてしまったのであるるから茶番というほかない。
ケニアの勝因は男子3枚の爆走である。なかでも3区と5区の17歳、18歳のランナーが最長距離区間でともに区間新記録というありさま、日本のエースといわれる竹澤健介、ロンドン五輪の星といわれる鎧坂哲哉をぶっちぎってしまったのである。
竹澤も鎧坂もブレーキというわけではなく、そこそこ走っているのだが、ほとんど無名のケニアの若手にまったく歯が立たなかった。
いくらケニアの若手のデキがよかったといえ、若造に軽くあしらわれていったいどうするのか。竹澤も鎧坂もそれほど悔しそうな顔もしていなかったのはどういうことなのか。レースそのものを軽く見ていたのか。それとも……。いずれにしても、日本男子の長距離もマラソンもすでにして終わっている。
今回の国際千葉駅伝は、そういういみで象徴的なレースだったというほかはない。
▽女子の三枚はともに区間賞
レースは結果的にみて、日本とケニアのマッチアップ、区間成績をみても、男子の3区間はケニアが独占、女子の3区間は日本が独占した。
ケニアが男子の区間でトップを奪えば、女子の区間で日本がトップを奪う。僅差で抜きつ抜かれつの展開で推移したが、5区の攻防をケニアが区間新記録で制して、日本との差を35秒…としてしまったところで、勝負は決まってしまった。アンカーの新谷仁美が猛然と追ったがとどかなかった。
日本の女子は3人とも区間賞を獲得して、たしかにレースを盛り上げたが、相手が勝って当然の相手だから、あれぐらいの走りをみせても驚くことはなかろう。どだい相手が弱すぎたのだから……。
3人のうちでは区間新記録をマークした新谷仁美の走りはみごと、最近の充実ぶりをまざまざとみせつけてくれた。どん底からよみがえった本人の努力を讃えておきたい。
▽国際千葉のスターたち
レースとしての勝敗をぬきにして、国際千葉のみどころをあげれば竹澤健介と小林祐梨子の姿がみられることだろうか。
竹澤はヱスビー食品所属だが、ヱスビーが実業団駅伝には出てこない。小林のほうは豐手自動織機にいるのだが、いわば出向あつかいで岡山大学に通っているために、勤務実態がないというような、わけのわからない理由で、実業団駅伝から閉め出されてきた。
だから2人を駅伝でみようとすれば、唯一本大会しかないのである。
そんなこんなで両選手を見るだけのために、本大会を観戦しているのだが、どうも納得がゆかない。
竹澤も小林も日本のエースといわれ、事実それだけの実績をしめしてきたと思うが、千葉駅伝の走りをみるかぎり、どうも食い足りないのである。
結果をみると、そこそこのタイムを残しているのだが、2人とも勢いというものが感じられないのである。本大会の走りをみるかぎり、2人ともランナーとしてのピークは過ぎたのではないかと思えてならないのである。
■総合成績
1 ケニア 2時間04分40秒
2 日 本 2時間04分59秒
3 日本学生選抜 2時間07分26秒
4 ロシア 2時間07分56秒
5 米 国 2時間09分06秒
6 オーストラリア 2時間09分56秒
7 千葉選抜 2時間11分55秒
8 ポーランド 2時間12分53秒
9 ルーマニア 2時間13分39秒
10 カナダ 2時間13分52秒
11 ニュージーランド 2時間14分37秒
12 チェコ 2時間16分33秒
■区間成績
1区(05.000km) T・ロンゴシワ(ケニア) 13:36
2区(05.000km) 西原 加純(日本) 15:17
3区(10.000km) P・ムウィキャ(ケニア) 28:08◎
4区(05.000km) 小林祐梨子(日本) 15:46
5区(10.000km) E・モクア(ケニア) 27:43◎
6区(07.195km) 新谷 仁美(日本) 22:36◎