駅伝の季節がやってきた。まずは本日、13:05に出雲で号砲、幕あけの「出雲全日本学生選抜駅伝」がスタートする。

 出雲駅伝は6区間(44.5㎞)で競う。学生3大駅伝のなかでももっとも距離が短く、2時間足らずでゴールをむかえるスピードレースである。レースのクライマックスをあげれば最終6区ということになる。10.2㎞の区間だから、全コースの4分の1を占める。歴史をかえりみれば、第6区に登場するエースが大きな役割を果たす。事実過去21回のうち11回もが、この最終区で逆転優勝となっている。昨年も日大のギタウ・ダニエルが41秒差をひっくりかえしている。


 しかし今回は優勝を争うチームにダニエルのような大砲がいないから、6区での大逆転はないだろう。エントリーからみて、6区で区間賞を獲りそうなのは第一工業大のジュグナだが、おそらく下位でタスキをもらってのスタートだろう。何人抜きを演ずるかの興味はあっても、優勝争いに顔を出すことはあるまい。


 だから、今回のかんするかぎり第6区は、主力を形成するチームがいかにして粘りきるかがポイントになるとみた。


 区間エントリーの顔ぶれからみるかぎり早稲田の優位はまず不動だろう。早稲田に肉薄しそうなのもやはり駒澤大が一番手になろう。つづいては若手の戦力を試そうという腹がまえの東洋大、うまくずべりだせば面白い日本体育大、前半に勝負をかけてきた山梨学院大などと、4位以降はめまぐるしく順位が変転するだろう。


 早稲田は3区の八木勇樹の出来がひとつのポイントになる。1区の矢澤曜、2区の大迫傑で好位置につけて、3区のの八木でトップに立ちたいところである。その戦略にうまくハマれば中盤からは、まちがいなしに早稲田中心の展開になる。


 駒澤は1区でうまく滑り出せるかがポイントになる。1区の攪上宏光がそこそこの位置につけて2区の油布郁人につなげば面白い展開になるだろう。実力的には早稲田と拮抗しているだけに、1区の滑り出しがすべてとみる。とくに1年、2年主体の若いメンバーだけに調子にのれば思わぬ力を発揮するやもしれないが、それが裏目となる可能性もないわけではない。


 東洋大はエースの柏原ぬきで、どこまでやれるか。陣営も本大会ではそれを試そうとしているのだろう。
 山梨学院大は1区のコスマスの大逃げによって、どれだけ貯金をつくれるかがポイントになるだろう。


 区間賞もあえて予想しておこう。注目の選手がそろったのは1区はタイム的には矢澤曜(早稲田:5000=13:48)とコスマス(山梨学院:同13:55)、さらには全日本学生対抗の5000mを制した三岡大樹(京都産業大)あたりの争い。
 2区は早稲田の大迫傑、東洋大の設楽悠太、駒澤の油布郁人の1年生の争いか。
 3区は文句なしに明治大学の鎧坂哲哉。4区は駒澤の窪田忍、早稲田の佐々木寛文の争い、5区は駒澤の上野渉あたりが有力、6区は第一工業大のジュグナで、果たして何人抜きをみせてくれるか……というところが焦点となろう。

 ともかく出雲は今シーズンの顔見せというべき大会、各チームの戦略と戦術をとっくり見定めておきたい。