このシンセは、1981年にROLANDが最高のアナログシンセを目指して開発した「ROLAND JUPITER-8」。
(画像は、ROLANDのカタログより引用)
完全プログラマブルの音色メモリーを持つ、8ボイスのポリシンセです。
当時、ポリシンセというのは「高根の花」の存在で、一部のプロミュージシャンしか持てませんでした。当時の定価98万円。
JUPITER-8は、シンクとFMを装備した2VCO(オシレーター)、マルチモードVCF(フィルター)、2ENV(エンベロープ)という、充実したスペックのアナログシンセです。2音色を重ねることによって、より分厚いサウンドを出すことができました。
JUPITER-8のユーザーは、ゴダイゴのミッキー吉野、YMOの細野晴臣、ABBA、ハワード・ジョーンズ、DURANDURANのニック・ローズが有名です。
90年代になっても使われており、YMO再結成ライブで細野晴臣が演奏していましたし、ハワード・ジョーンズの世界ツアーでも、JD-800と一緒にJUPITER-8を使用していました。
JUPITER-8の特徴のひとつでもある「RANDOM」モードのアルペジエイターは、YMOの2枚目のアルバムの「SOLID STATE SURVIVER」の「RYDEEN」で、その独特なシーケンスラインを聞くことができます。
JUPITER-8は、そんなに「押し」は強くないけれども、存在感のあるシンセブラスやストリングスなどが特徴的。
そして、オーケストラの中のチェロのように、バンドの中の「音域分担」を意識して作られていました。
JUPITER-8の存在感は、VCOの回路がトランジスターとコンデンサーなどの「個別」の部品でできていたからです。
このため、内蔵の16個あるVCOにはそれぞれ微妙なバラツキができて、「波形」と「音程」に揺らぎがありました。
この「揺らぎ」があると、大きな会場で演奏したり、エフェクターを掛けたりしたときに、違った波形が重ね合わされるので、音に艶が出て「響き」が豊かになります。 (画像は、内部シンセ音源基板)
JUPITER-8で特徴的なのが、VCF(フィルター)の「-12dB」と「-24dB」の切替えスイッチ。
リードサウンドには「-12dB」がマッチしていて、シンセベースやストリングスには「-24dB」が使われます。これに加えて、HPF(ハイパスフィルター)も装備していて、ドラムやベースの音域とシンセ音がかぶらないように調整できました。
このように、JUPITER-8はフィルターの特性を切替えることによって、バンドの中でのパートに合わせた周波数特性にすることが可能です。
個別の部品でできた、JUPITER-8のVCOの音程を安定させるのにはかなりの苦労があったようで、使用する部品に「特殊」なものを使ったり、電源電圧を「安定」させたり、温度変化を「補正」させたりする回路が追加されていて、修理の難易度は高めになっています。
ここらへんのノウハウを持っているかいないかで、JUPITER-8の「オリジナル」の状態を維持できるかどうかが決まります。
それにくわえて、JUPITER-8は内部のデジタル回路が複雑な構成になっていて、修理がたいへん。
お客様に聞くと、修理を受け付けてくれないところも多いそう。
クロサワ楽器では、アナログシンセの修理実績26年の経験豊かな技術者が修理を担当しますので、だいじょうぶです。
ヴィンテージシンセ担当の吉田が、記事にまとめました。
GENELEC1032モニターで、ビンテージシンセの「ほとんど」の機種の音を聞いてきましたので、的確に特徴や音の違いをご説明できます。 NEVE1073、1272、3045、API550などのビンテージマイクプリも、同様です。
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