music gearレポ その1-TOMITA Memorial Museum in 楽器フェア | DIGEQUIPMENT -JR御茶ノ水駅から徒歩2分!クロサワ楽器お茶の水駅前店スタッフブログ-

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Dig into Equipment
筆者の主観と偏見で、機材を掘り下げご紹介します

2016年11月
今月は「楽器フェア」、「Inter-Bee」と機材周りの大きなイベントが続いて楽しかったですね!!

断続的にtwitterにて報告しておりました、イベント報告をまとめてみました。
(※たいしてまとまってませんが)


まずは11月4日から3日間、東京ビッグサイトで開催された2016楽器フェアです!!

    

 

「21世紀はアナログシンセ復興の世紀」と某メーカーさんが申しておられましたが、まさに今回は「復興/復活」を肌で感じる年となりました!

会場には、昔は高嶺の花だった憧れの!プロフェットがある!mini MOOGがある!オーバーハイムSEMがある!JUPITERやTB,TRがある!ARP ODYSSEYがある!FM音源やCSもある!MS20がある!!!
「いったい、いつの時代の楽器フェアでしょう!」みたいなノリですが、

しかもそれぞれがオリジナルの伝説的本家本物パイオニアたちの手によって「まんまの姿で」奇跡の復活!というか、パワーアップ&モダニゼーションされて勢揃い!

↑ぱっと見て、どれが最新機種でどれがvintageだかわからないでしょう?


まるで歴代ヒーロー勢揃い映画のように、伝説怪獣復活映画のようにワクワクが止まらないラインアップ!

対して

現代若手(?)新進のデベロッパーも文字通り「負けず劣らず」強力なアナログシンセやモデリングアイテムを放り込んできまして、会場は「つまみ」「ツマミ」「つまみ」の嵐でブイブイでした。
しかも、デザインがどれもかっこいい!!!

    

まさに「音のワンダーランドを創造するシンセサイザー」復活の時代を象徴するラインナップなのではないでしょうかね?

 


↑1998年のキーボードマガジンのムックと当店の広告

余談ですが当社にもVINTAGE SYNTHのちょっと強い専門店が新大久保に昔はありましたんですよ。。


というわけでまず、今回フェアの目玉の「ビックリどっきり展示企画」ですが
日本における「音のワンダーランド創造」の原初を辿るに相応しいこの企画。

「TOMITA Memorial Museum」でございます。

 

5月に、惜しまれつつもこの世を去られた日本屈指の作曲家、編曲家、シンセサイザー奏者。というか音楽界、音響界のスパーマルチクリエイターでいらっしゃる冨田勲 先生のメモリアル機材展示会でございます。

 

(ご存知薄い方向けに
某WIKIナントカでご覧いただければわかります通り、先生は1950年代からすでにラジオ番組やNHK大河や放送、映画、「リボンの騎士」等のアニメ音楽の作・編曲で著名ですが、
晩年までその活動内容、創造量たるや、私たち凡人の300倍くらいの仕事内容でしたので、
あまりに仕事量とスケールが大きすぎて焦点がぼやけてしまいがちですが
こと「シンセサイザーミュージック(と立体音響)の世界」ではパイオニアでざいます。)

 

1971年ごろ、先生が日本で初めて「ビックリどっきりメカ/当時世界一最先端でクールな楽器 MOOG III-p 」を個人輸入して(当時、軍用機器と間違えられて何か月も空港に留め置かれたことは有名・それくらいシンセは認知されてませんでした)

1974年に日本で初めてのシンセサイザーアルバム「月の光」を発表し、その緻密さ、美しさ、完成度、&仄かなオリエンタル風味で、日本人で初めてグラミー賞にノミネートされ世界中に大ヒットを飛ばし、
スティービーワンダーが尊敬しているミュージシャンに上げたり、マイケルジャクソンもスタジオを訪れたり、コッポラから依頼が来たりと、日本初のシンセ界のスーパースターですもの。
その後のミュージックシーンのシンセサイザー起用における影響力たるや、ちょんまげ国家に「黒船来航」くらいのインパクトでしょう。
先生の飽くなき創作は現代にいたるまで楽器(電子/生問わず)や音響の世界ででも常に最先端のマジックをみせておられました。
(先の初音ミクとのコラボ「イーハトーヴ交響曲」そして「ドクター・コッペリウス」へと・・・・)


そんな先生が「音楽づくりのためのノミやカンナのような大工道具です」とのたまわった
匠の名機(名道具)がずらっとお披露目となっておりました。(一部MOOG IIIc等は先生のスタジオの物と同型機)

 


件のMOOG IIIc(左)(先生のスタジオ仕様のものと同型機。実機はNHKに展示)


別名「タンス」の異名をとるモジュラータイプシンセ。(日本に数台しかありません希少モデル)
2年前の2014年楽器フェア「YMO楽器展2014」に続き(YMO第4のメンバー松武秀樹さんのタンスね)違う装いで、またまたお目見え。
やっぱり堂々の存在感があります。先生の昔のスタジオ写真にもドーンと出てます。
導入当時、先生ご本人はもとより、日本のどこにも技術的ノウハウも、音色づくりのマニュアルもあまり無い状況で、いきなりこんな大きなモジュールを使えると思います?
世界のTOMITAは使いこなしちゃったんですよね。根性と才能で。
すごいです。というか、私たちが学んだ現代のシンセの音作りのノウハウはもともと先生のこの「根性」から出来上がったものですものね。

そして、挙動不審なアナログシーケンサーと落ち着かないオシレーターやフィルターの「モノフォニック(単音)しか出ないシンセ」と音質劣化と制限がデフォルトのアナログテープレコーダーの多重録音で、あの緻密で美しく、荘厳な作品を作り出すというのは、気が遠くなるほどの作業の繰り返しだったそうです。
先生の作品は1フレーズ、1音そして1作品を作るのに99回失敗して1回くらい成功して作られた作品群です。とのこと。
(同時開催されていた氏の遺伝子を継ぐ松武秀樹氏、藤井丈司氏、篠田元一氏のトークショーは大変素敵なネタでいっぱいでした)
とはいえ、この機材の音の抜け、存在感、アツさは半端ありません。

 

 

ちょうど去年の1月にMOOG社より台数限定でSystem 55(3万5,000ドル)とSystem 35(2万2,000ドル)が限定復刻しました。いかがでしょう?(Moog Modularシステムが一つの完成形を確立した1973年に製造された3モデルの復刻です)

 

モジュラーシンセの現代的なアプローチと楽しさを味わいたい向きはプラグインの代表的存在(もう少しお財布にやさしい)Arturia Vcollectionに内包のModular Vはいかがですか?

最高のアナログフィーリングを持ったプラグインシンセです!

自分も愛用してますが、1からの音作りはなかなか手がかかるのですが、実は著名なプログラマーの方々がプログラミングされたプリセットが非常に豪華で、本イベントで大活躍のの松武秀樹氏や氏家克典氏が直々にプログラムした「有名なあの!!」素晴らしいプリセットも搭載しております!!

  
↑プリセットのカテゴリーを製作者ごとに検索できます。なんと松武氏と氏家氏のお名前が!

「Tomita Arab Voice」とか「B Mask」とか「Tech Police」とか!!!!


タンスの左横には
上:KORG 「MS-50」と
下:「Mellotron M400

上段:KORG MS50(1979年発売)ですが生産台数も少なく今となってはかなりレアものです。
右上部の電圧メーターがかっこいい同機は、もともとMS20の拡張モジュールとして登場しまして、ディバイダーやインテグレーターを搭載してより複雑な音作りをもたらしています。

現代のヴィンテージ復活の狼煙を真っ先に上げ、大ヒット中もMS20miniも絶賛発売中

 

↑MS-50(メーカー写真)

因みにMSシリーズの歴史はKORGサイトの「Road to MS-20 mini 〜 MS-20 History 〜」にてご覧いただけます。

 

 

下段(白い楽器):プログレファンにはたまらないMellotron はテープに録音されたフルートやバイオリンの音を鍵盤を弾いて再生する楽器
(鍵盤を弾くと鍵盤奥下のプレッシャーパッドがモーターで回るテープを再生ヘッドに押し付けて再生する、今見るとなかなか強引な仕組み)
その美しくも物悲しく、神秘的でいてどこかざらついた特異なサウンドはビートルズやレッド・ツェッペリン、デヴィッド・ボウイやジェネシスはじめ、多くのロックスターやプログレ、ハードロック、POPS、はては映画、放送音楽に利用され愛されました。
冨田勲先生は特に混声合唱の重厚な音色を使って、さらになんとMOOGのフィルターやアンプを通してからサウンドを構築するという拘りっぷりです。

 

 

現在でもこの美しい音色の需要は高く

M4000D Digital Mellotronとして復活しております!!

M4000Dの美しい音色と詳細は輸入元:福産起業様のサイトにて確認できます。

当店でも今なら「Sound Card 02 x1とMellotron Tシャツ付き」でお求めできます!

 


そして、YAMAHAシンセの永遠の王様CS80(1977年発売).....ってすみません。実機の正面写真を撮るの忘れました

YAMAHAシンセの最高傑作、というか、人によっては歴代シンセ界の最高傑作と評される名機です。
CSシリーズ最上位にして唯一2VCO発音、リボンコントローラー搭載、4音色メモリーとエフェクト(トレモロ、コーラス)付きで、
海外モデルとは違う上品な分厚さ(伝わりづらいですね。)があり、OSCが原因の独特のゆらぎがモジュレーション効果というか、コーラス効果を作り、無二の特徴とパワー持ちます。

流石の最上位だけあって実機は他の下位CSと違い非常にパワフルで、現在のプラグインやRefaceも本当にすごく良いクセをついて再現してますが、このパワー感だけは再現はなかなかな難しい感じですよね。
(でも実際録音しちゃえば、そんなに違いはわからないかも。)
20年ほど前に私のいたお店でも中古入荷しましたが、内部を開けてみると内部のワイアリングのカラーケーブルが多すぎて、そりゃもう、カラーそうめんのように入り組んでごっちゃごちゃで、訳わからなくなって、こんなところでも王者の風格を無駄に感じてしまいました。


スティービーワンダー、エディ・ジョブソン、スティーヴ・ポーカロ等の愛用で有名です。

 

先生のCSは、CV.Gate改造された機種だそうで、相当珍しいです。

CS80の横には先生のサインが。。先生の機材のほとんどがサイン入りだそう。。。

 

実機はもう中古でもほぼ入手困難だし。。。

そんなあなたに

YAMAHA CSをリアルに現代(いま)に再現!

Arturia CS-80V  (V-CLLECTION同梱)

そして、現代によみがえるCS
YAMAHA REFACE

 

 


上:Sequential Circuits 「Prophet-5」
下:Roland 「JUPITER-8」

両方ともあまりにも、あまりにも有名すぎるアナログシンセサイザーのまさに王道!!
世界中のシンセファンを虜にしたプログラマブルポリフォニックシンセの両巨頭!!
なんか、傷だらけなのもカッコよい!

 

上段:5ボイスポリフォニック「Prophet-5」(1978年~)はYMOはじめ、数多のスーパースターに長年愛用され、中古市場でも人気最上位機種です
rev.1 rev.2の粗さを愛する人、より安定し、カーティスフィルターを搭載したrev.3を求める人それぞれ。
洗練されたパネルレイアウトで、見ただけで出音が想像できると言われる使いやすさと、音色の無限の創造性を併せ持つスーパーシンセ!
憧れのシンセは日本で当時は170万円でした。

 

 

そして下段:Roland が 1981 年に発売した Jupiter-8 は8ポリの日本が産み出した最高傑作のひとつ!
というか、このデザイン・カラーリングが秀逸すぎて、少年少女の憧れの的でした。(いまだにそうか。)
洗練されたデザインに相応しく、つややかで、しかもファットなサウンドは本当にたくさんのミュージシャンに愛用され、レコーディングはもとより、ヒットチャートを賑わすPVやライブ映像にはかなりの頻度で顔を出しておりました。
(Journey、Tangerine Dream、Depeche Mode、Prince、、Huey Lewis and the News。。。そしてFrankie Goes to Hollywoodの「Relax」はまさにこの音!)
切り替え可能な12dB/24dB フィルター、ポリフォニック・ポルタメントや「Lower」「Upper」プログラム(今のレイヤー/スプリット)、アルペジエーター等々による音やフレーズづくりの可能性はさらに広がりを見せました!

 

派手なProphetと品のあるJupiter(音作りによっては逆も可ですが)はアナログシンセファンの憧れです。

 

そんなそんな伝説のキング・オブ・アナログ・ポリフォニック・シンセサイザーProphet-5を開発者(Dave Smith)自らが完全復刻、というか、むっちゃパワーアップしたProphet-6が登場しております(後述します)

当店でも大人気販売中!!!! 

Prophet-6 Module(鍵盤なしのモジュールタイプ)もあるよ!

 

そしてそして本家RolandからもJupiter-8 はモデリング技術の粋を極めた【Boutique series】JP-08として見事に復活!4ポリですが。

当店でも販売してますが在庫が残りわずか!!!お急ぎください!!

 

また、同じくRoland AIRAのPLUG OUTの王様 SYSTEM-8Jupiter-8 シュミレーションも感動です。こっちは8ポリ

もちろん当店でも大人気の発売中!!

 


何気に個人的には一番の感動的幻のアイテム
CASIO「COSMO SYNTHESIZER」(1984年)
私、はじめて実機を見ました!!!!
先生が「dawn chorus」で使用した幻のシンセサイザーシステム!
「COSMO SYNTHESIZER」は、先生とカシオ計算機がコラボして作り上げた、CMIやSynclavierに似た構成の巨大なシンセサイザー・システムです。(非売品)

シーケンサー、サンプラー、デジタル・シンセサイザー、波形エディター、音色エディターといった機能を備え、1台で音楽制作が完結するミュージック・ワークステーションの先駆け的なシステムです!
特にMIDIシーケンスはCMIやSynclavierを凌ぐ優れものと言われ、
またその後のCZシリーズにつながる「元波形の読み出し位相角を歪ませることで様々な波形を合成することができるカシオ独自の音源、PD(Phase Distortion)音源を利用したことが特徴的です!

全体写真は是非ネット検索してみてください!!

自分もCZ愛用者でしたから、PD音源のCASIOシンセに愛着がありますし、おじさん方にはそういう方多いのでは?
そうそう!CZの音源を体感できるアプリが出てますよ!

 


オシレーターばっかりのRoland「SYSTEM-100M」モジュール。
1オシレーターが1人の演奏者扱いで、オーケストラを作っていたのですね。

人間だと、一人一人が全く同じ音を出すことは絶対ないので、
一個一個、(1OSC,1OSC)少しずつ個性をずらして、あのSTRINGS SOUNDをつくっていたのですね。

そのほか「2ch PHASE SHIFTER」、ROLAND 「RE-201 SPACE ECHO」、Morley「Wah Pedal」
「スペア・ポテンショメータ」の裏にはEVENTIDE 「FL201 INSTANT FLANGER」、 Lexicon 「PRIME TIME DIGITAL DELAY」と名機ぞろい

 

マニアも喜ぶ(?)年代物の電圧オートスタビライザーとか
めずらしいLUDWIG(今ドラムのメーカーさんです)「Phase II Synthesizer」(WAH マシーン)です。

 



最先端の機材群を徹底的に自分のものにして、使い倒し、本当にたくさんの名作を作る先生に脱帽です。

前回の2014楽器フェアのYMO楽器展につづき、機材ファン、シンセファンにはハイテンションなイベントでした。
自分は初日しか行けませんでしたが、同時に行われていたトークショーの内容が本当に素晴らしく
2日目の「冨田勲 サウンドクラウドとコスモシンセサイザーの秘密」とか、3日目の「TOMITAサウンドの秘密」等々興味深いトークが盛りだくさんだったとのこと。

 


そんな先生の偉業を特集した「キーボードマガジン 2016AUTUMN」発売中です!
是非!!!

 

 

あまりに長くなりすぎたので

次回はダッシュで楽器ブースのおはなしで。。。。

 

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