ビヨンド・ザ・ワールド~光と影~9
【不死の軍団(カオス)】
(光の教団とある施設~地下最深部)


コツ、コツ、コツ、
と、
薄暗い冷たい通路に、
足音が響いていた。

ヴィーデは、
一人、
地下深い通路を
歩いていた。
この施設の地下深い最深部は、
ごく限られた人間しか、
足を踏み入れていない...。
ごく僅かな人間しか...

そして、
その最深部で、
ヴィーデを待つ者がいた.....。

ヴァラック
「遅かったな、
ヴィーデよ。」
3代目教皇のヴァラックであった。
ヴィーデ
「申し訳ないございません、
ヴァラック様。
王国のイヌ共が、
教団に現れまして....。」
ヴィーデが、
片足をつき、
頭を下げた。
ヴァラック
「まぁ、良いわ。」
ヴァラックは、
そう言って、
ヴィーデに背を向け、
壁に置かれてあるモノに
目をやった。

『贖罪の柩』であった。
ヴァラック
「見よ、ヴィーデ、
柩から魂が溢れだしておる。
いよいよ、
不死の軍団(カオス)が、
動き出すのだ。」
ヴァラックは、
そう言って、
最深部の広間を見下ろした.....

三万の回収された遺体...
いずれも、
兵士仕様にに施されていた...
ヴァラックは、
足元に広がる景色を眺め、
悦に入っていたが、
不意に、
灯りの火が不自然に揺れたのを
見逃さなかった。
ヴァラック
「ヴィーデよ....、
イヌを連れてきたようだな...。」
それを聞いた、
ヴィーデは、
直ぐ様、
身構えた。
そして、
呪文を唱えようとした。
が、
ヴァラック
「まぁ、待てヴィーデよ。
........。
フッ、
ギルドのイヌよ、
戻って伝えるがよい。
次の新月、
この世界はカオスと、化すと!
そして、
ゼロに伝えよ、
お前を石板の地で待つとな!」
ヴァラックは、
ヴィーデを制して、
大声で、
高らかに、
叫んだのだった。
そして、
『贖罪の柩』を開けた....

柩の中からは、
数えきれない程の、
魂がその器となるモノを求め、
飛び出した....。
【隠密部隊・ジライヤ】

ジライヤ
ギルド
「シャドムーン」
隠密部隊所属....
戦闘力は微力ながら、
その特殊能力は、
隠密部隊にはぴったりであった。
その特殊能力とは...
「擬態能力」
ジライヤの擬態は、
その空間に擬態する。
簡単に言えば、
「透明」と化すのだ。
それ故、
侵入、情報収集が、
主な任務となっていた。
ジライヤは、

グレイからの任を受け、
ヴィーデの尾行を請け負っていた。
ジライヤは、
光の教団本部から、
ずっと、
ヴィーデを監視していたのだ。
ヴィーデは、
ゼロの読み通り、
アジトへ向かい、
尻尾を出した。
そして、
ジライヤは、
この施設の最深部で、
驚愕していた。
(この兵士の数は.....!)
ジライヤが
その兵士の数に圧倒され、
気を抜いてしまった瞬間、
近くの灯の火を揺らしてしまった。
(しまった!!)
ヴァラックは、
やはり、
それを見逃さなかった。
ジライヤは、
思わず、息を飲んだ....。
が、
ヴァラックは、
襲いかかろうとはせずに、
ジライヤを見逃した。
ゼロへの
「石板の地で待つ」
という、
謎の言葉を伝え....
そして、
ジライヤは、
目の前で解放された、
無数の魂に、

目を奪われてしまった....。
つづく♪