ビヨンド・ザ・ワールド~光と影~5
【ヴァラックの野望】

光の教団
3代目教皇ヴァラック
調和こそ真理...
その教団理念をねじ曲げ、
光の教団を過激な方向へと導き、
武力により、
密かに世界の支配を目論んでいた....
しかし、
その強引なやり方は、
教団内部、世間から危険視されてしまい、
失脚する....
そうして、
ヴァラックは、
表社会から姿を消した....
だが、
ヴァラックは、
地下に潜り、
その野望の為、その機会を伺っていた...

カイロスは、
『創世記の書』をヴァラックに
差し出した。
ヴァラック
「ご苦労であった、カイロス。
トルネコも葬ってくれたらしいな。」
カイロス
「ソウルイーターの餌食となりました、
トルネコは....。」
ヴァラックは、
『創世記の書』を手にし、
しげしげとそれを眺めた。
ヴァラック
「『創世記の書』....。
王宮から持ち出されるのを
何十年待った事か...。
これで、
世界が手に入る...。」
薄暗い光の中、
ヴァラックの冷たい笑みがもれた。
【魔剣の秘密】
(王宮書庫)


デウスは、
魔剣に関する書物を
あたっていた。
魔剣....
基本的には人を惹きつける不思議な魔力や
使用すると特殊な効果を発揮する剣。
特に人を危うい道へと誘う邪悪な力を
持つ剣を指して魔剣と呼ぶことが多い。
その対比として神聖な力を宿した剣として
聖剣を引き合いに出す....
この世界でも
いくつかの魔剣が発見されていた。
しかし、
何れもその剣を扱った者に
災いをもたらせていた....
膨大な資料の中、
魔剣に関しての詳しい書物は、
見つけられなかった...。
すでに知っている程度の記述しかなく、
デウスは落胆した。
デウス
「王宮書庫の名が泣くな、
これでは....。
この『魔剣の考察』くらいではないか、
使えそうな書物は....。」
デウスは、
そう吐き捨てて、
『魔剣の考察』を机の上に投げた。
!
デウスは、
『魔剣の考察』の表紙に書かれていた、
筆者の名前に目を止めた。
そして、
口許を緩めた...
ゲンナイ....
デウス
「ゲンナイ....、
ゲンナイのジジィか!」
デウスは、
書庫を飛び出して、
デウス
「誰か!
誰かおらぬか!」
大声で衛兵を呼んだ。

衛兵
「デウス大臣、
どうかなされましたか?」
デウス
「城下町に住む、
武器屋のゲンナイを
ここへ連れて来い!
大臣が呼んでおると!
大至急じゃ!」
衛兵
「ハッ!
か、かしこまりました。」
衛兵は、
慌てて答えた。
こんなに取り乱した大臣を
初めて見たからである。
デウス
「灯台元暗し....か。」
デウスは、
走り去る衛兵の後ろ姿をみながら、
呟いた。
【忍び寄る影....】
(とある宿屋)

ゼロ達は、
「光の教団」へ向かう途中、
とある宿屋で休んでいた。
早目に床についた
ゼロであったが、
神経が高ぶり、
中々寝つけなかった。
極力、
無心になるようにし、
時間を費やして、
どうにか、
眠りにつけたようであった。
そして、
また、
霧の中にいる、
夢を見ていた...

(クッ、
またか....。)
妙に、
現実的な感覚もあるが、
相変わらず、
音はこもっている状態であった。
(....ル..ジュ...ナイ...)
?
誰かが話しかけている?
ゼロは、
声らしきモノが聞こえてくる方に
神経を集中させた....
(誰かが近づいてきている...?)

(何か、いる?)
霧の中、
黒い影が、
ゆっくりと近づいていた。
「誰だ、お前は?」
ゼロは、
そう声にしたかったが、
僅かに口が動いただけであった。
(..ソ..フ.ハ、..イ...)
どんどん、
影は近づいている。
ゼロは、
身構えようにも、
身体が上手く動かない....
全身から変な汗が出ている...
そして、
はっきりと、
謎の影の言葉が聞き取れた時、
グレイに、起こされた。

「大丈夫ですか、マスターゼロ?
うなされておられたが....。」
ゼロ
「あぁ、すまない....。
変な夢を見ていたみたいで...。」
グレイ
「そうですか....。
お疲れのようですからね...。」
グレイは、
トルネコの死が、
堪えているのだと思った。
グレイ
「何かありましたら、
お呼び下さい...。
では、
お休みなさい、ゼロ。」
グレイは、
そう言って、
部屋の外に出ていった。

シバ
「マスターのご様子は?」
部屋の外には、
マスター警護のシバがいた。
グレイ
「やはり、
トルネコさんの死が堪えているようだ。」
シバ
「そうか....」
シバは、
そう言って、
扉の向こうのゼロを案じた。
一方、
ゼロは、
天井を見上げていた。
グレイに起こされる時、
霧の中の影の言葉が、
はっきりと聞こえたのだ。
影は、言った.....
「ソルフェージュは、いない。」
と......。
つづく♪