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建設業社労士でゼロコスト採用コンサルタントの渡瀬です。

 

改正労働基準法が2023年4月1日施行

以前にも2023年4月1日施行の改正労働基準法については記載をしましたが、改めて認識を持って頂きたいので再度記載します。2023年4月1日より月60時間超の時間外労働の割増率が50%になります。既に一定の基準を満たす大企業は2010年4月1日より施行されている法律ではありますが、2023年4月1日は中小企業も含めて全ての企業が対象となります。

 

60時間を超える時間外労働の発生状況

「て~へんだ!てーへんだ!法律が改正されるらしいぞ!」と騒ぎ立てるのは簡単ですが、実際に60時間以上の時間外労働を行っている労働者は存在しているのでしょうか?そもそも、それだけの時間外労働をしている労働者が存在しなければ法律を改正する意味すらなくなってしまいます。

正社員の統計

以前にご紹介した大阪府労働関係調査報告書によると、正社員で月間60時間以上の時間外労働を行った者が「いる」と返答し事業所は11.2%存在している。その事業所において月間60時間以上の時間外労働が「恒常的」である事業所は39.3%であり、「一時的」である事業所は60.7%という結果であった。

非正社員の統計

また、非正社員で同様のアンケート結果を確認すると月間60時間以上の時間外労働を行った者が「いる」と返答した事業所は1.8%存在している。その事業所において月間60時間以上の時間外労働が「恒常的」である事業者は60.7%であり、「一時的」である事業所は39.3%という結果であった。

 

ちょっと意外な結果

この時間外労働の実態を見て皆さんが多いと思うのか少ないと思うのか、様々な意見があるとは思いますが、少なくとも十数パーセントの事業所は2023年4月1日より月間60時間を超える時間外労働については50%の割増率を支払う必要が発生します。

そしてちょっと意外だったのは正社員が60時間以上の時間外労働をしている割合が多いのは理解できるのですが、その時間外労働が恒常的である割合は非正社員の方が多いという点です。正社員ではみなし残業手当や固定残業手当をつけている企業も多いので、全体的に時間外労働が増える傾向にあると思いますし、そういった手当の存在が結果として時間外労働を恒常的にしてしまうことも理解できます。しかし、実際にはみなし残業手当や固定残業手当を付けるケースの少ない非正社員の方が人数は少ないが、実態としては時間外労働が恒常的に行われているのです。

 

時間外労働短縮に向けた取組

こういった法改正などの影響などで、多くの企業が時間外労働の削減に取り組んでいると思います。実際、大阪府労働関係調査報告書においても88.6%の事業所が時間外労働短縮に取り組んでいるという結果です。では、各企業がどの様な取り組みを行っているかというと下記の内容になります。

業務プロセスの見直し・改善    56.7%

業務量の平準化          46.8%

時間外労働の事前届出制・許可制  39.1%

増員               38.4%

労働者の能力開発         20.1%

 

まとめ

法改正への対応準備はできていますでしょうか?今回の改正は中小企業の猶予期間が終了することで対象が全ての企業となりますので、自分の会社は関係ないでは済まされません。特に十数パーセントの企業では現在でも月間60時間を超える時間外労働が発生している状況ですのでお気をつけ下さい。

そして多くの企業が時間外労働の事前届出制・許可制といった制度を導入したり、増員(新規採用)を行ったり、労働者の能力開発に取り組まれております。どうしよう?と迷ったらまずはご相談ください。

 

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