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建設業社労士でゼロコスト採用コンサルタントの渡瀬です。

 

大阪も大台突破!

毎年10月1日を目途に全国で最低賃金が決定されています。昨年は全国平均28円の値上げで落ち着きましたが、今年は前年平均を上回る30円以上の値上げが予想されています。現在の大阪の最低賃金は992円なので、大阪も東京・神奈川に続き1,000円の大台を突破することになります。

 

最低賃金とは何かをおさらい

最低賃金とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。

仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

最低賃金額は時間単価で設定されているので、日給、月給、年俸の場合はその賃金額を所定労働時間で除した金額が基準となります。

 

最低賃金上昇の影響

 

労働者の賃金上昇

まずは、なんといっても労働者の全体的な賃金引上げ効果が期待できます。現段階でも最低賃金以上の賃金水準で働かれている方も、最低賃金が上昇することで相対的に賃金上昇効果の恩恵を得ることになります。

 

中小企業の経営状況

厚生労働省の諮問機関である中央最低賃金審議会によると「ウクライナ情勢も相まって物価が上昇している(2022年4月の消費者物価上昇率(総合)は前年同月比2.5%の上昇)。」といった社会的情勢や「賃上げの流れをサプライチェーン内の適切な分配を通じて中小企業に広げ、全国各地での賃上げ機運の一層の拡大を図る」といった理由などから過去最大の賃上げに踏み切る答申をしております。

しかし、現在の物価高は原材料価格の高騰や円安による影響が大きく、実際には企業経営を圧迫しているように思えます。その中での過去最大の賃上げは中小企業の経営を直撃する可能性を秘めていると思われます。

 

労働市場への影響

最低賃金が引き上げられると、企業の採用意欲は減退します。同じ仕事を複数人で行うようなワークシェアリングが普及し、全体として雇用改善の方向に向かいますが既存労働者の実質的な賃金は上がりにくいとも言われています。

 

つまり、最低賃金を上げることで低賃金の人を中心として賃金上昇効果はありますが、労働者の実質的賃金が上がるとは言えないのです。もうちょっと簡単に言うなら、全体として時間単価は上がるが、一人当たりの労働時間が削減され、実質的に労働者の可処分所得としては上昇しない可能性が高いということです。

 

実際のところ

毎年、この時期になると最低賃金の引き上げ問題とその影響が議論されているのですが、実際に過去の推移を見てみると

2012年…749円、2013年…764円、2014年…780円、2015年…798円、2016年…823円、2017年…848円、2018年…874円、2019年…901円、2020年…902円、2021年…930円と引き上げられてきました。

これに対して厚生労働省が発表している平均賃金と比較すると2012年427.7万円(年間)に対して最新情報である2018年で比較すると433.3万円(年間)である。

 

労働者視点

比較可能な時点で比較してみると2012年と2018年の最低賃金は16.69%の伸び率に対して平均賃金は1.31%の伸び率である。つまり、最低賃金が引き上げられても労働者個人の収入増には直結し難く、影響は軽微といえるのではないでしょうか?

 

経営者視点

そうはいっても、低賃金労働者を雇用している企業にとっては全体的な水準を引き上げる必要に迫られます。ちなみに、最低賃金法違反については処罰の対象となっておりますので、適正な運営が必要になります。事前準備にお困りの際は当事務所にご相談ください。

 

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