
ジュンク堂で開催しているかなと立ち寄った東野圭吾デビュー40周年フェア。
まだ、開催はしていなかったが、案内された文庫コーナーのその棚でビニールに包まれた『学生街の殺人』を見つけ、手に取った。まだ読んでいなかった作品だ。
ページを開くと、懐かしい香りがした。東野作品独特の緊張感と、人間の心を描く繊細さ。その一方で、学生時代を舞台にした物語に、どこか想像力が追いつかない自分がいた。
それは、私自身の「学生時代」が遠くなりすぎたからかもしれない。中学時代、野球に夢中になりすぎて、高校受験勉強が手につかなかった。その悔しさから、新聞記者を志す原点になったことを思い出す。
そして記憶に残る伯父の言葉
「自動的に人を動かすんだ」と営業マンの伯父はよく言っていた。説得ではなく、信頼で人を動かすという意味だったのだろう。そんな伯父が、私は大好きだった。
そして今、50代を迎えた私は、同じ“営業”という道を歩んでいる。
豪快で頼もしかった伯父のようにはなれないが、**東野圭吾作品に登場する「大切なものを守る人間」**には少し近づけているだろうか。
年齢を重ねるほど、心の奥底にある“誠実さ”こそが、人を動かす力になると感じている。
これからも、東野圭吾の物語のように、迷いながらも前へ進みたい。
年齢に応じた新たな高みを目指しながら——。
【マイピックアップ】
- 「東野圭吾40周年フェアで蘇る記憶」
