
お金の不安や悩みに惑わされていませんか?
そんな中読んだ本が『お金という不安という幻想』田内学|で、本当の危機は「お金」ではなく人手不足「働く人」が減ることだった
「お金さえあれば将来は安心」。多くの人はそう考えています。しかし、田内学さんの著書『お金という不安という幻想』は、その考え方が幻想かもしれないと教えてくれます。
例えば、台風や地震の後にコンビニへ行ったら、おにぎりやパンがすべて売り切れていた経験はありませんか。
お金を持っていても、商品がなければ買うことはできません。また、病院へ行っても医師や看護師が足りなければ、すぐに診てもらえません。
これは「需要(欲しい人)」に対して、「供給(商品やサービスを提供する人や物)」が足りない状態です。お金があるかどうかよりも、「働く人」がいて初めて商品やサービスは生まれます。
つまり、本当に大切なのは「お金」ではなく、「価値を生み出す人」の存在なのです。
今、日本では少子高齢化が進み、深刻な人手不足が続いています。医療、介護、物流、建設、飲食など、私たちの暮らしを支える多くの業界で働く人が足りません。
お金を持っていても、必要なサービスを受けられない社会が現実になり始めています。
日本経済も大きく変化しました。1968年、日本はGDP(国内総生産)で世界第2位となり、自動車や家電など世界中で日本製品が愛され、「ものづくり大国」と呼ばれていました。
しかし現在、日本の名目GDPは世界第5位まで順位を下げ、一人当たりGDPも30位台まで低下しています。
世界の中で日本の生産性が伸び悩んでいることが大きな課題となっています。
一度、身の回りを見渡してみてください。スマートフォンはAppleやSamsung、パソコンはMicrosoftやGoogle、動画配信はNetflixやYouTube、SNSはInstagramやX、ネット通販はAmazonなど、私たちが毎日利用するデジタルサービスの多くは海外企業が提供しています。
デジタル社会になった今、「世界中で使われる日本発のデジタル製品やサービスは何だろう」と考えると、すぐには思い浮かばない人も多いのではないでしょうか。
かつて世界を席巻した日本の家電メーカーや電機メーカーも、デジタル分野では海外企業に後れを取る場面が増えています。
その影響で円安が進み、海外から輸入する食品やエネルギーの価格は上昇しています。
さらに、新しい会社を立ち上げる起業家や、成長企業へ投資する動きも十分とはいえません。新しい挑戦が減れば、新しい価値も生まれにくくなり、日本経済の活力は失われてしまいます。
だからこそ、日本には新しい技術やサービスを生み出す挑戦者が必要です。起業家を応援し、新しい価値を生み出す企業に投資し、人材を育てることが、日本経済を再び成長させる大きな力になります。
そして、これからは「働くこと」の価値がますます高まります。しかし、ただ働けばよい時代ではありません。
人手不足が進む日本では、一人ひとりが自分に合った環境で能力を発揮し、安心して長く働ける働き方が求められています。
働く人が心身ともに健康で、自分の強みを生かせる職場で活躍することは、生産性の向上につながり、企業の成長だけでなく、日本経済全体を支える大きな力になります。
働くことは、お金を得るためだけではありません。誰かの生活を支え、新しい商品やサービスを生み出し、社会をより便利で豊かにすることです。
一人ひとりが価値を生み出せば企業は成長し、賃金が上がり、税収も増え、次の世代へより良い社会を引き継ぐことができます。
『お金という不安という幻想』は、お金を増やす方法を教える本ではありません。
「本当の豊かさとは何か」「これからの日本に必要なものは何か」を考えさせてくれる一冊です。
将来への不安をなくす方法は、貯金を増やすことだけではありません。学び続け、自分の力を磨き、新しいことに挑戦する人を応援し、一人ひとりが能力を発揮できる社会をつくることです。
お金は目的ではなく、人が価値を生み出し、支え合う社会の中で初めて意味を持ちます。
田内学さんが本書で伝えたかったのは、「お金を増やすこと」が豊かさではないということです。
人への投資を増やし、挑戦する人を応援し、一人ひとりが自分に合った環境で力を発揮できる社会をつくること。
その積み重ねこそが、日本経済を再び元気にし、私たちの未来を豊かにしてくれるのではないでしょうか。