
小学生の頃の私は、引っ込み思案な子どもでした。人前で話すのは苦手。
自分から前へ出ることもできず、何をするにも自信がありませんでした。
そんな私の心を大きく動かしたのがプロレスでした。
毎週、テレビの前で夢中になって見ていたのは新日本プロレスです。アントニオ猪木、長州力、前田日明、タイガーマスク、武藤敬司、そしてきょうが命日の橋本真也。それぞれの試合には勝敗だけではない、生き方がありました。
引用
ワールドプロレスリング
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#TVer https://tver.jp/episodes/ep7hbgan84?p=1899
猪木は「燃える闘魂」を掲げ、どんな強敵にも立ち向かいました。長州は既成概念に反発し、自分の信じる道を切り開きました。
前田は孤高を貫き、タイガーマスクは華麗な技で観客を魅了し、武藤は誰にも真似できない発想で時代を築きました。
そして橋本真也は、不器用なほど真っすぐな生き様で多くのファンを勇気づけました。
当時の私は「イデオロギー」という言葉を知りませんでした。しかし今振り返ると、私はレスラーそれぞれの信念や哲学に引かれていたのだと思います。
強いからではなく、自分らしく生きる姿が、とにかく格好よかったのです。
約40年前、日本のプロレス界は新日本プロレスとジャイアント馬場率いる全日本プロレスの二強時代でした。
しかし、大仁田厚率いるFMWや、東北から新しい風を吹かせたみちのくプロレスなど、多くのインディー団体が誕生し、プロレス界は大きく変わりました。
現在では新日本プロレス、全日本プロレス、そして全日本から派生したプロレスリング・ノアなど、それぞれが違う魅力を発信しています。
この変化は、現代社会そのものではないでしょうか。一つの価値観だけが正しい時代ではなく、多様な個性が認められる時代へと変わりました。
プロレスは、その時代の流れを誰よりも早く表現していたように思います。
実況の古舘伊知郎さんは「プロレスは闘いのワンダーランドだ!」と叫びました。その言葉どおり、リングには人生のすべてがあります。
勝利も敗北も、友情も裏切りも、挑戦も再起もある。だからこそ、多くの人が自分自身を重ね合わせるのでしょう。
52歳になった今でも、私は自分が闘魂を注入されたのかと聞かれると、はっきりとは答えられません。
それでも、仕事で壁にぶつかった時、50代で新しい挑戦を始めた時、そして父親として子育てに向き合う時、「もう一度立ち上がろう」と思える自分がいます。
それは、引っ込み思案だった少年が、リングの上で何度倒されても立ち上がるレスラーたちの姿を見続けてきたからかもしれません。
若い世代が社会を変え、多様性が当たり前になった今だからこそ、私はプロレスが教えてくれた「自分の信念を持ち、違いを認め、それでも前へ進む勇気」を大切にしたいと思います。
プロレスは私に強さを教えたのではありません。
「逃げずに立ち向かう勇気」と「自分らしく生きる美学」を教えてくれた人生の教科書だったのです。