先日、山形県でバスガイドがバスと電柱に挾まれ、命を落とす事故が発生しました。


何とも悲劇的な事故で、なぜ?どうして?なんでなの?と言った『?』マークがついて回ります。


報道によれば、観光バスのバック誘導中に発生した事故で死因は脳破裂。救急搬送されることなく、その場で死亡確認。正しく言えば死亡状態…つまりは社会死(医師でなくとも誰が見ても生きていない)と呼ばれるもので、救急隊的には決して珍しいものではありません。


車両のバック誘導に関しては、消防でも常日頃より厳しく指導しており、注意が必要です。何故かと言えば、業務の特殊性(緊急時対応)から、道路狭隘(きょうあい=道幅が狭い)、急坂、悪路、夜間などの場面にも対応せねばならず、その過程でバックする機会が必然的に発生するからです。

誘導の際は警笛を使い、必ず機関員(運転手)の見える位置で誘導…が大原則ですが、ソレを100%押し付けるのは現場を判ってない人。何故なら状況によっては両幅が石塀などでギリギリの場合、物理的に真後ろから誘導するしかありません。また、救急出動でよくみられるケースで、深夜の住宅街では警笛を鳴らす事控えるため、やや小さな声で誘導を試みる事もあります。更には前後に誘導員を配置したいにも関わらず、一人は車内で処置対応中のため、誘導は一人のみって事も珍しくありません。


そして、絶対にやってはいけないのが2台同時の誘導。点検のため車庫前にズラッと並べた消防車両、バックは必ず1台ずつ行われます ← 当たり前ですが、新人職員などは勢い余って誘導を始め、叱責を乞うケースもたまにあります。



話を戻して、今回発生した事故。何故、頭が挟まれたのか…がついて回ります。画像を見る限り、退避スペースは十分にあったと思われます。ベテランと呼ばれる当のバスガイドは亡くなってしまい、話を聞くすべはありません。


逮捕された69歳の運転手についても、この年齢で運転させるな!と言った厳しい意見も多数寄せられてますが、69歳でもバリバリの人とていますし、何より人口減少の影響で運転手不足の昨今、60歳を超えた人の就労なしでは社会が成り立たない現況になりつつあり、上手く共存するべきかと…


何れにせよ、尊い命が失われたのは事実。亡くなられた女性のご冥福を祈るとともに、悲劇的な事故が起きないことを切に願うところです…ではまた。