ホッコリする話を少々。


サッカーワールドカップ、試合終了後にサポーターによるスタンドのゴミ拾いをする姿が世界中で称賛されていますが、そんな礼儀を重んずる日本人の国民性が出る場面を救急活動で垣間見ることがあります。


それは救急対応の後(多くは数日後)、わざわざお礼に来る事です。


基本的に消防の救急活動は、市民サービスの一環であり、その大元は税金。救急搬送してもらったからといっても、お礼に来る必要など全くないのです。


が、しかし、中には「あの時は救急隊の皆さんに大変お世話になってしまって…」と言うように、わざわざ消防署にお礼に来てくれる事があるのです。


その際、菓子折りを持参されたりすることも多々あります。本来、これら物品を受け取る事は望ましくないのですが、常識的…いわゆる社会通念上許される範囲の物であれば有り難く頂戴します。


つい先日も、指を切断しかけた人を50キロ先の大病院まで搬送。緊急手術の結果、何とか切断に至らなかった方がお礼方々消防署にみえて、24時間勤務で大変でしょうとの事でカップ麺を戴きました。


まぁ、そりゃ、嬉しいですよ。

カップ麺を貰ったからじゃありません(ちょっとはあるけど=笑)、何より指が失われなかった、これが一番の喜びです。

命に関わる事でないけれど、今後の長い人生にとって、指を一本失う事は大きなハンデとなるでしょう。本人にとっては一大事、何とかしてあげたいと思う一心から、確実に処置のできる病院まで一時間近くかけて搬送した訳です。

相手に感謝される…救急隊をやっててホントに良かったなぁと思える瞬間です。


消防署には来なくとも、お礼の手紙を頂く事もあります。これも嬉しいですねぇ…

サンタさんまで付いてくる御礼状、笑みが出ます。

悪タレをつきまくる救急車不正利用者もいる中、礼儀を重んずる日本人もいるのだなぁと思うと、俄然やる気が出てきます。


因みに、街外れ…いわゆる田舎地区に行くと、救急搬送の際、コッソリとティッシュを渡される事がごく稀にあります。ティッシュを開けるとそこには紙幣が…

高齢者からの差し出しが多いのですが、一万円以内なら有り難く頂戴し、救急隊三人で分け合い、お小遣いにします…一人あたり三千円少々、社会通念上許される額ですからね(笑)

って、おい!
ホンキにするなよっ!

ティッシュで紙幣を渡される話はホントだけど(今は殆ど聞かなくなりました)、現金だけは絶対に受取不可、懲戒免職になります。先方は感謝の気持ちでしょうが「お気持ちだけで十分です」と伝え、丁重にお断りするのは言うまでもありません。

実はつい先日、お礼に来署された方が缶コーヒーを一箱置いていきました。そこには封筒に入った感謝の手紙と共に現金一万円が入っていたのです。もちろん現金を受取る訳にはいかないので、わざわざ現金のみを返しに行ったエピソードもありました。そうとう感謝されたことは嬉しいですが、現金は絶対にもらえません。まぁ、これは超々レアなケースですけどね(笑)


にしても「ありがとう」と言える文化って、ホントに素晴しいと思います。たった一言ですが、疲弊した救急隊の心の潤滑剤になるんですねぇ…では、次回 (^_^)/~