前々当番(5月3日8時30分~4日8時30分)、救急出動回数『ゼロ』と言う奇跡的な出来事が起きたけれど、年間2200回以上の救急出動がある我が署の救急車が、GW期間中に24時間稼働しない事は本当にミラクルな事。
この日は朝の交代直後に出動が入り、その後も断続的に救急要請があり、夜の8時迄に6回の出動…が、なんと、そこでストップ。
通常なら夜間、深夜早朝にかけて1~5回程度は出動するのだけれど、この日はゼロで当直交代するまで出動なし、結局6回止まり。これもある意味ミラクルな出来事なのです← ミラクルって不謹慎な言い方かもしれません、ご勘弁を…
さて、ここから本題の重いお話。
この日最後の夜8時ごろの出動は、心に重くのし掛かる救急事案となりました。なお、正確に伝えられない事がある点、了承願います。
それは一人暮らしの女性からの救急要請。床にある出血の後を辿って行くとポツンと女性が一人。その身体の一部を見た瞬間「えっ、何故ここまで放っておいた?」って状態。本人も病気を理解しており、聞けば「年金生活で、医療費を考えると病院に行くのが厳しく、一度も診察は受けてないんです…」と、申し訳なさそうに伝えてきたのです。
「バカ野郎!」思わず心の中で叫んでしまいました。救急活動に私情を挟んじゃイケないのだけれど、切なくなってしまって…だって定年迄一生懸命働き、きちんと国民の義務を果たしての年金生活。けど、自ら患った病を独学した結果、医療費が高額になるとの事から、病院に行く事なく我慢(放置)…発症から十年近くが経過して今に至るって事ですけど、これってアリなん???
これまで多くの救急出動を経験した僕でさえ、気の毒に思えてしまう事案。病院へは全ての事情を話した上、了解を得ての搬送。
初療室で「お金の事は心配しないで。高額医療への対応もあるんだし、関係機関も交えて何とかしましょう、まだ若いんだし、今は病気の治療の事だけ考えよう…」ドラマの様にこの女性を励ます医師の放った言葉だけが、僕には唯一の救いでした。
このケース、重症度は極めて高く、緊急性もそこそこあると言った症例。現場でできうる限りの応急処置を施した後に病院へ向かったのですが、誰にも相談する事なく、病院に行けば家賃が払えず大家にも迷惑をかけてしまう…苦しみ抜いたであろう女性には、他にも同情したくなる様な生活背景があり、本当に心が痛みます。
発症当時はまだ仕事をしていたらしく、同時期に腰痛を患い職場に迷惑をかけたため、腰痛治療を優先したとの事。医療費の問題は行政に相談すれば展開も変わっていたかもしれません。本人にも非はあるでしょうが、こんな人こそ行政が手助けをしてあげられたらなって思えて…とにかく、重い一日になりました。
『アパートの一室で親子が餓死、貧困で食事が摂れなかった…』時々こんなニュースを耳にする事がありますが、豊かな日本に於いて、経済的理由で治療を受けられない…切なくなりません?
今後、この女性に少しでも幸が舞い込む事を願うばかりです…
