日本だと1人で吉野家に入ることですら躊躇してお昼を抜いてしまうようなアタシなんだけど、イタリアで1人でイタリアンを食べる…ってのは案外平気だったりする…
これは、恐らく誰もアタシの事なんて気にもしていないという心理的な要素に加えて日本語が全く聞こえてこないので何も気にならないせいだと思うエヂです
ただ、海外ソロ飯で唯一難しいのは、1人だと沢山頼めないのでメニューを絞り込む必要がある…ってのが案外難しいんですよねぇ…
2人以上だったら前菜頼んで、パスタ頼んで、ステーキ食べちゃう?って流れでいけるんだけど1人だともう前菜頼んでからパスタか、ステーキしか選べない…
パスタか…?ぃゃ…パスタなんか頼んだらそれだけでお腹一杯になっちゃう…前菜も食べられないし…
よーし!こうなったら肉だ!肉喰っちゃおう!
と、いうワケで肉に絞って食べに行く事に…でも、わざわざ予約して1人で行く…ってのがどうしても出来ない…じゃ、もう知ってるところに飛び込みで行くか…
んなある日のソロディナーでアタシが選んだのがこの「Trattoria I due G」さんです
アクセス
サンタマリアノヴェッラ中央駅の東側、ヴォルフォンダ庭園の南にある小道を東に進むと細い路地に面した素敵な雰囲気のお店が見えてきます…
駅からだと徒歩10分ってところで、ごちゃごちゃした道が多いフィレンツェにあっては割と見つけやすいお店
何か…すっごく雰囲気あるでしょう…?
ここは確か緑のリゾットと子羊のグリル焼きが有名だった筈…
子羊のグリル焼きは昔食べた事あるんですよね…(2023年現在、子羊のグリル焼きはメニューから消えています)
フレンドリーな家族経営レストラン
外から恐る恐る中の様子を確認して、ドアノブに手を掛けてスッと…中に入る…
店員さんがアタシを見て1人?と聞いてくる…
頷くアタシ…
店員さんは明るく「プレゴ!」(どうぞ)とアタシを奥のテーブル席に案内してくれた…
オレンジ系の暖色照明に照らされた映画の中のようないい雰囲気の店内…
異国の地で1人ぼっちのアタシの心にそっと寄り添うような優しさを感じるぞ…
テーマは「肉」ソロイタリア飯!
かくしてアタシのソロイタリア飯in Italyは幕を開けた…
テーマは肉と野菜であり、やっぱりフィレンツェに来たからには…の「肉」とその罪悪感を消すための「野菜」である
肉に絞って考えると、ビステッカ…と行きたいところだけど、この店の性格を考えるとソロビステッカは無理…ミニマム500グラムとかで設定してくれているお店もあるけど、そんな雰囲気じゃ無いもんな
そこで白羽の矢を立てたのが「タリアータ」である
タリアータとはローズマリーなんかで香りを付けてグリルした牛ロース肉を薄切り(十分分厚い)にしてルッコラ等と一緒に食べるシンプルな料理の事…
無事にオーダーを終え、暫し空を見つめながらハウスワインの赤をグビリ…と口に入れて、味のしないトスカーナパンをかじる…
店員さんが割と気さくに話し掛けてきてくれたんだけど、このレストランは兄弟とそのお母さんで切り盛りしているんだとか…なるほど…そんな雰囲気だよね
Tagliata di bistecca
ワイングラスをオシャレに斜めに傾けたり、ひっくり返しそうになったりしながら物思いに耽っている間に運ばれてきた「Tagliata di bistecca」
もうこの見た目の肉ッ!!って感じが堪らないこのタリアータなんだけど、見た目だけじゃなくてひと噛みするだけで唸るようなジューシーな肉汁が滴る…
因みに私がここ、フィレンツェで肉に拘るのには理由があったりして…
このフィレンツェのレストラン界隈の名物と言えばビステッカと呼ばれる肉料理なんだけど、これはフィレンツェが京都と同く内陸に位置するが故に魚が手に入らない立地だったためにそうなったのだと思っていて…(アタシ個人の勝手な推測なんだけど)
実は京都も同じなんですよね
ただ、京都は魚も肉もないからラーメンとかうどん、湯葉、豆腐文化になっちゃった(大原の野菜が美味しい事を知ったのは最近)
んで、フィレンツェは肉文化になり…このエリアで育てられている牛はキアニーナ種が有名ですが、キアニーナ種は頭数も少ないので、実際フィレンツェのステーキハウスやトラットリアで食べるのはキアニーナでは無くそれ以外の牛だという…
しかしながらこの辺りの牛は牧草飼育で育てられているにも関わらず体躯が比較的大きく、臭みが無く、脂が少なく、味があるんです…
故にこちらの肉料理にはソースが付いてず…肉は炭火で焼いて岩塩とレモンで食べるもの…って感じなんですけど「牧草飼育の牛が臭く無い」ってのはかなり驚くべき事なんですよねぇ…
タリアータと一緒にお願いしたのはスピナッチ
アメリカのステーキハウスなんかでオーダーすると、やたらと緩いスピナッチが出て来たりするけど、こっちのスピナッチはちゃんと原型を留めていて、アタシはこっちが好き
スピナッチを食べて、ステーキを食べて、ステーキを食べて、スピナッチを食べてワインで流す…
Créme caramel
こういう家庭的なお店にはホームメイドのデザートがあって、そのデザートがめちゃくちゃ美味しいのはもうセオリーなんだ…
スプーンでひとつすくって口に入れた瞬間、甘味とねっとりとした食感が口の中に広がる…
こんな美味しいものがあるのだ…と噛み締めつつ…最後にグラッパを飲みながらディナーの余韻に浸る…
いつかまた、誰かとここに来て…しっかりと別のメニューも色々食べてみたい気になったし、仮にまた1人で来てもまた訪れてみたい…そんな雰囲気でした
2023年に再訪しました!
あの夜の優しい感じとタリアータが美味しかったのが忘れられなくて2023年6月に再訪問しました
今回も予約無しでお店オープンの7時30分に突撃…ありがたい事に席を確保できたのであの時と同じくハウスワインの赤をオーダー…
1年前と比べると街は活気を取り戻し、レストランやトラットリアにもようやく落ち着きが戻った感じですが、コロナを機に色々な物が変わっていて、I due Gさんもメニューが変わっていました
Lasagna
メニューにラザーニャを見つけてしまったので、ラザーニャをオーダーする事に…アタシはラザーニャという響きに凄く弱いのだ…
このイタリアで食べるラザーニャというのが最高に美味くて、前にアメリカで食べてガッカリした事があるんだけど、イタリアのラザーニャは本当に美味しい…
因みにアタシがラザーニャを好きになったキッカケは子供の頃に見たアニメ「宇宙船サジタリウス」に出てくるカエル人間のラナの大好物がラザーニャだったからであり、子供心に「ラザニア」(ラナの発音はラザニアなのだ)という謎の食べ物に凄く興味を持ったまま大人になってしまった…まぁ、まだヤングアダルトだから「大人」にはなっていないのかも…だけど…
味に関しては絶妙であり、ホワイトソース、ミートソースの織りなすハーモニーがもう最高である
Lombatina di vitella
何度もフィレンツェに来ていると、美味しい美味しいビステッカも後半になるとダレてくる…
ご馳走である焼肉も毎日毎日続くと…ってやつであるが、それを見越してビステッカ以外の肉で欲求を調整するのがフィレンツェフーディーの技である
ここは仔牛の炭火焼きをお願いする事にしたんだけど、仔牛と成牛ではやはり結構色々違っていて、まずやっぱり仔牛は少し脂があるんだけどその分柔らかく、食べやすいのが特徴だと思う
ナイフで切らなくてもフォークで強引に引きちぎれるくらいの柔らかさで、レモンをかけると脂身もサッパリと纏める事が出来る
カリカリに焼かれた表面が香ばしく、中は凄くジューシー…大勢で分けるには物足りないけど、1人、2人なら軽くてパスタを食べてからでも無理なくお腹に入れる事が出来る
Semifreddo
「セミフレッド」というデザートをご存じだろうか?フィレンツェ生まれのこのドルチェはフィレンツェでは定番なんだけど、日本でもトスカーナを基とするイタリアンで結構見かける事が出来るデザートであり、その正体は「結着アイス」である
つまりジェラートとホイップクリームやナッツを細かくして結着させて凍らせたもの…イタリア語でsemi(半分)、freddo (冷たい)が合体したのが語源だとか…
で、正直このセミフレッドを食べて、これまであんまり「美味しい」って思った事は無かったんだけど、この「I due G」さんのセミフレッドはヤバい…
まず見た目が知っているセミフレッドのそれと全然違う…
上にナッツが敷き詰めてあって、ハチミツのようなものが掛かっているんだけど、まぁ色々な味と食感がしてこれまで食べた中で一番美味しいセミフレッドでした
イタリアに行く事があったら絶対に頼んで欲しい一品であると言える
最後は食後酒グラッパで乾杯!
世界にはまだまだ美味しいものが沢山あるんだよなぁ…と再認識…
コロナ禍に行って、コロナが終わってから行って…2024年にも行ったんだけど、一杯で断られちゃいました
人気店なんですね!