小野塚征志「DXビジネスモデル」を読んで③ | 昔のテレビ番組や日商簿記1級などの雑記

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【書名】DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略

【著者】小野塚征志

【発行日】2022年5月21日
【出版社等】発行:インプレス

 

【学んだ所】

非効率を解消するビジネスの価値DXは、「モノやサービスの取引における”非効率の解消”をもたらす。⇒その方向性は、「作業をなくす」「人手を減らす」「ダイレクトにつなぐの3つに分けられる

  • 作業をなくすビジネスデジタル技術の進化を活用の拡大は今までにはないモノの作り方、サービスの選び方、提供や利用のあり方を可能とする。⇒結果として、いくつかの領域では、営業、注文、在庫、輸送といった作業を必要としないビジネスが出現しているその非効率解消のインパクトが大きければ、インダストリアルトランスフォーメーションをリードすることにもなる。
  • 人手を減らすビジネス人手での作業を減らすというのはデジタル化の基本DXを進めるのであれば、それに加えて人手ではできない価値を創造することが望まれる。
  • ダイレクトにつなぐビジネスDXは、ステークホルダー間の直接のやり取りを容易にする。⇒それが業界全体の効率化に寄与するとすれば、広く多くの活用を得られるはず。

ビジネスモデルの要件①コストダウン効果はあるか

  • 明確なコストダウンを見込めるか?:非効率を解消するビジネスの価値は、作業をなくしたり、人手を減らしたり、ダイレクトにつないだりすることで、モノやサービスの取引コストを引き下げることにある。その結果として、モノやサービスをより高く売れる、より安く調達できる、費用や工数を低減できると判断されなければ利用されない=「非効率を解消するビジネスを展開するにあたってもっとも重要なことは、明確なコストダウン効果のあるビジネスモデルを構築すること。
  • リードタイムの短縮を期待できるか?:直接的なコストダウンに加えて、リードタイムを短縮することも有効第一に、在庫をすぐに補充できるようになるため、欠品による機会損失が減る。あるいは、すぐに補充できることを前提に、納品先の在庫量を圧縮することも可能。鮮度が問われるモノであれば、商品性も向上する。
  • リードタイムの短縮やリスクヘッジのように、直接的にコストが減るわけではない場合、コストダウン効果の試算には一工夫が必要。⇒アプローチ先の企業に「リードタイムが半分になる」「欠品がなくなる」と伝えても、コストダウン効果を的確に試算できないかもしれない。⇒自社の非効率を解消するビジネスを利用することでの効果をわかりやすく発信することも重要になる。

ビジネスモデルの要件②利用しやすいか

  • イニシャルコストは小さいか?:非効率を解消するビジネスは、コストダウンの実現を提供価値としているそのため、利用を開始するにあたってのイニシャルコスト(初期の費用と手間)は小さいに越したことはない初期費用については、購入代や設置代を得るのではなく、使用期間や回数、成果などに応じた支払を受けることで、ゼロにすることも可能。⇒手順の理解/習熟を容易な仕組みにしたり、手順や仕様などは今までと変わらないようにしたりすることで、現場の手間を軽減することも一案。
  • 「非効率を解消するビジネス」を展開する側からすると、費用対効果が十分に大きければ、イニシャルコストが多少高くても問題ないのではと思うかもしれないが、実際には、イニシャルコストの小ささが競争力の源泉になって普及を果たしたビジネスが少なからず存在する将来の不確実なリターンよりも、初期の負担を最小化したいと考える人が多いから、費用対効果の大きさのみならず、イニシャルコストの軽減を図ることも重要
  • リスクが生じないか?:非効率を解消するビジネスの利用は、作業をなくしたり、人手を減らしたりすることは、人員の整理や再配置につながるからその企業の構造改革を促すことになる。このような変化に反対する抵抗勢力はどのような企業にも存在する。「非効率を解消するビジネス」を利用することで品質不良や誤出荷などのリスクが高まるとすれば、それを超えるコストダウン効果があっても抵抗勢力の反対材料にされてしまう。ビジネスモデルを描くにあたっては、それを利用する企業の事業活動にリスクを生じさせないようにすることが重要。

ビジネスモデルの要件③レガシーと両立できるか

  • 段階的に移行できるか?:「非効率を解消するビジネス、作業や人手の不要化、取引のダイレクト化といった業務プロセスの変革を通じてコストダウンを実現するそれを利用した企業は今までとは異なる手順/仕様を受け入れることになる。⇒それゆえに、一度にすべてを変えなければならないとなると、変革の結果として想定外のリスクが生じたとき、事業活動に多大な影響をおよぼすから利用へのハードルが上がるそのため、事業、製品、地域、顧客などの区分に応じて段階的に移行できるようにすることが重要
  • 複数の手順/仕様を併用できるか?:「非効率を解消するビジネスの展開にあたっては、レガシーとの両立を可能とするビジネスモデルを構想することが重要。
  • 今ある非効率はすべて解消すべきであるが、一度にすべての非効率を解消しようとすると、計画倒れになりがちそれほどの網羅性/俯瞰性を有したビジネスモデルを描くことは容易ではないそのため、最初からすべてを対象とするのではなく、企業の事業活動に多大な影響をおよぼしている特定の非効率なプロセスにターゲットを絞るべき。まずは、その非効率の解消に資するビジネスモデルを構想し、その実現の過程で対象とする領域を段階的かつ計画的に拡大していくことが期待される。