内山悟志「新しいDX戦略」を読んで⑥(終) | 昔のテレビ番組や日商簿記1級などの雑記

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【書名】未来ビジネス図解 新しいDX戦略

【著者】内山悟志

【発行日】2021年7月1日
【出版社等】発行:エムディエヌコーポレーション

 

【学んだ所】

DXによって、企業がどこに向かうのかを明確に示すには、ビジョンが必要となる。ビジョンは、「5年後や10年後に、自分たちがどういうことを実現したいのか?」という未来の行き先、すなわち目的を示すものであり、簡潔な言葉で表現することが望ましいといえる。

DXという不確定要素が多い長い旅路には、全社員が同じ方向を目指して進んでいけるように、未来の姿と向かうべき行き先を明確に示したビジョンを描き、それを全員で共有することが求められる。

経営者は宣言するだけでなく、自ら動く、試す、使うという行動を起こすことが必要である。まずは、身近な生活の中でデジタルに接する機会を積極的に作るように心がける。今や、スマートフォンさえ使いこなすことができれば、さまざまなデジタルビジネスやサービスを体験できる。そして、社内のシステムにも自らアクセスし、誰よりも率先して利用しなくてはならない

経営者が、DX推進組織を立ち上げて人をアサインしたら、それで自らの役割を果たしたと考え、その後の活動を円滑に進めるための環境づくりや後方支援を怠る状況が散見される。⇒このような現象を「あとはよろしく症候群」と呼んでいる。⇒DXの推進は、従来の業務改革やシステム導入などと異なり、組織、権限、人材、組織カルチャーなど、企業の根幹に関わる多岐にわたる変革が求められるため、経営者による継続的な関与と能動的な行動が不可欠であり、「あとはよろしく」では済まされない。とくに、新規事業の立ち上げにおいては、経営者の役割は非常に重要DXへの取り組みは、企業を丸ごと生まれ変わらせるような大きな取り組みである。したがって、それを1つのプロジェクトと捉えるのではなく、同時進行する複数のプロジェクト群が含まれるプログラムが断続的に繰り広げられる終りのない活動であり、企業運営そのものであると考えるべきである。1年や3年の短期間で効果が出なければ止めるというのではなく、軌道修正を加えながら延々と続けていくべきもの。失敗や朝令暮改は、不確実性の高いDXにおいては許容されるべきこと。

組織がトライブ化していく流れを受け入れトライブ化した組織の舵取りをしていくために経営者はこれまでの経営や組織運営に関する常識を捨てなくてはならない。=従来のピラミッド型の組織を運営する能力と、フラットでオープンなトライブ型組織を運営する能力はまったく異なる。⇒これまでのマネジメントは、上位層が戦略を考えて、指揮命令に忠実に従う社員にそれを実行させることを目指している。また、それを支えるためにピラミッド型の階層組織や稟議承認ルール、業績評価、社内規定や業務慣行が形成されている。経営者の仕事は、この仕組みをうまく回すことだった。フラットでオープンなトライブ型組織では、経営者を含む全社員が自分のなすべきことを自分で決めて、熱意を持ってそれに取り組み、最大の成果を上げることが重要とされる。

内発的動機づけ「自分はこうなりたい」、「自分はこれを実現したい」といった心の内側から湧き起こる意欲や関心を行動の原動力とすること経営者の仕事は、この内発的動機づけを沸き立たせる環境を整えることに尽きる。そのためには、従業員を信頼して権限を委譲しなければならないまた、自分のいうことを聞かせるのではなく、従業員の声に耳を傾けなければならない従業員が方向を見失わないように、ビジョンや目的を明確に示し、共感を得なければならないまた、意志決定においてもファクトに基づいた民主的な手法を取り入れることが求められる。

DXを推進するリーダーの仕事は、チームのメンバーを管理することではなく、メンバーが創造的な活動をする場と機会を提供することメンバーが外部と接触する機会を作って刺激を与えたり、事業部門のメンバーと意見交換する場を設けたりして、チームを活性化させることも有効メンバーがオペレーション業務に忙殺されたり、社内調整や会議に多くの時間を奪われたりすることのないように、チームのミッションを明確にし、それを全社に周知することが重要メンバーに対しては、細かい業務指示を1つひとつ与えるのではなく、ある程度まとまった任務を権限とともに割り振り、メンバーを信頼してそれぞれの自己管理に任せることが大切。自らも創造的な振る舞いを率先して行い、新しい手法や技術に挑戦的に取り組む姿勢を見せることも重要。メンバーを育成することもリーダーの役割だが、指導したり、教育したりするという方法ではなく、メンバーに自発的な学習を促し、それをサポートするような姿勢が望ましい。メンバーの自律的な行動を期待するが、それぞれが自発的に行動しながらも、メンバー同士が互いに協力し合い、教え合うような雰囲気を醸成することにも気を配らなくてはならないほかのメンバーを助けたり、情報を積極的に共有したりすることを奨励し、チームに貢献したメンバーを称賛することが大切

DX推進チームなどの新しいこに取り組む組織は、社内において異質な存在となりがち既存事業の強みを維持・強化する組織と、新たな事業や価値を創造する組織は、重視すべき要素や組織特性が異なる一般的に、既存事業の組織は売上も人員数も大きく、役員などの上級職者は既存事業で成果を上げてきた人材が多いため、既存組織のほうが社内での発言力が大きい傾向がある。新規事業は、既存組織に蓄積された経営資源やノウハウを借用することが有益だが、既存事業はこれまでと同様に業務を円滑に遂行し、業績を上げる責務を負っているので、新規組織の借用の要請に応える余裕も義務もないと考えられがち。場合によっては、新規の取り組みが社内の抵抗に遭って、潰されてしまうかもしれない。既存の制度や組織カルチャーも既存事業がうまく回るように構築されたものばかりである。そのため、DX推進チームはしばしば既存制度の壁に行く手を阻まれたり、過去の常識を押し付けられそうになったりするメンバーの創造的な活動が阻害されないように、リーダーが防波堤の役割を担わなければならない

DX推進のような挑戦的な取り組みにおいては、人材を鼓舞し、チーム内の相互支援を促すために、チーム全体にも個々人にも、簡単に達成できそうにない、やや野心的な目標を持たせることが有効と考えられる。個人やチームの業績を評価するために目標を立てるのではなく、ストレッチした目標にチャレンジする意欲を掻き立てることが主眼となる。また、チーム全体の目標は、企業全体の目標に紐付いており、さらに個人の目標はチームの目標の一部となっていることが重要な要件となる。そうすることで、自分が目標を達成することがチームの目標達成に貢献し、さらにそれが会社全体への貢献につながることが実感できる。設定した目標は、経営者を含む全社員にオープンにして、共有することがより望ましい。チームや個人の目標が、他部門やチーム内の他社にも可視化されることで、コミュニケーションを図ることができ、目標達成に向けた協力や相互支援を促進することができる。

DXの推進についての経営者を含み全社的な意識を高めデジタルリテラシーを向上させることもリーダーの重要な役割。⇒しかし、内部の力だけで意識変革を促すことは困難といえる。とくに、同質性の高い組織では、異質な発言に耳を貸さない傾向が強いため、内部からの働きかけだけで人を突き動かすことはできないそのため、外圧を使うというのもの1つの手段となる。たとえば、外部の有識者に役員会で講演してもらったり、競合他社のDXへの取り組み事例を発表したりするといったことが有効。顧客や取引先が対応を求めていることをアピールすることも外圧となるかもしれない。また、実際に体験してもらうことで、内発的動機づけに火をつけることも有効。⇒会社の外に出て、刺激や発見を得ることも有効。