「あと一本貸りていただくと二本の料金より安くなりますが」
「 え」
貸りたDVDは二本。
一本500円だから二本で1000円。
だが今日はサービスデーらしく、三本貸りると三本で800円になるらしい。
自分の貸りたのはAV。
アダルトビデオというやつだ。しかも二本とも。
自分は、カモフラージュとしてお笑いやドラマなんかを一本余分に貸りるなんてマネはしない。隠したりするのは正義に反すると思っているからだ。
だから堂々と渡す。店員が女だろうと関係なく堂々とカウンターに持っていく。
だが…
「どうします?もう一本貸りられますか?」
と突然聞かれたら流石に焦る。
えっ、いや、あの、その…
と、心がうろたえているのがわかる。
しかし何故二本貸りた時より三本貸りた方が安くなるんだ?
三本目からは一本につき200円引きで貸りれますとかならまだ解るが、本数が増えた方が安くなるシステムってどーなのさ!?と。
どうする?
もう一本貸りに行くか?
しかし何を貸りたら良い?
やっぱAVか?
でもそんなんしたらこいつどんだけエロいねん!!とか思われへん!?
かといって三本目だけ普通にタイタニックとか貸りるのも何か嘘くさいし……
AVを選んだとしても早く決めて持っていかないと
「あいつこんなん貸りとんで!」
みたいなことヒソヒソ話されてたら嫌やし……
でもそう焦って選んだやつがたまたま新作で
「新作は無理なんですよ」
とか言われたら死ぬしかないしな……。
どうしよ!?
どうしたらいい!?
いっそのこと損を覚悟で断るか?予定通り二本だけ貸りるか!?でも200円やで200円!!安なりすぎちゃうのん!?100円引きならスルーするが200円て…!!!!
ここで自分が三本目を断ったら
「こいつ200円を捨ててまで早く恥ずかしさから逃れたいんやな」
と、チキン扱いされるよなきっと!!
くそがぁぁぁぁ~~~!!!!!!
この俺をここまで追い詰めたのは貴様が初めてだぞ!!!!!!
「いいです」
「えっ?」
「その『満員痴漢電車~女子高生編~』と『ずぶぬれ素人バックであっはん』の二本だけで良いです」
「バックであっはん!?」
「はい。僕はそれが貸りたいのです」
「は、はぁ……」
「隠しごとは嫌いなんです」
「はい…?」
ありがとーございましたー
そんな
そんな寒い冬の物語
バックであっはん