脳障害後遺症者の動きの抗加齢管理 | リハビリ茶屋

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理学療法士/抗加齢指導士のエイジング情報

理学療法、生活維持期のリハビリテーション(身体機能維持・改善)についてです。



在宅生活の環境では、入院時期の理学療法をそのまま持ち込むものではない、というのは前提ですが、

それでも実際には、医療保険から介護保険でのリハビリテーションへ転換せよと制度でも言われるこの時世では、在宅生活期の患者さん(介護保険サービス利用者さん)からは、理学療法を求められることが多くあります。



後遺症が慢性化し、それなりに生活動作に安定が見られる、しかしなんとか生活できている能力状況の患者さん特有の症状には、局所的な徒手療法や運動療法を実施するよりも、

全体的な関節や筋肉の使いやすさや、身体パーツの取り扱い方をアクティビティ(運動・活動)の中で練習していくのがbetterだと、つくづく感じます。



タレント・元陸上競技選手の武井壮さんが言っていましたが、

プロスポーツ選手でさえ自分の身体のパーツがどれだけの力でどれだけ動いているか、どこにあるか、どんな動きをしているのか、どれだけの力で投げたボールがどの方向にどの程度飛んでいくのか、

あまり分かっていない、と。

私も過去には生活の中心にスポーツを充てていた時期があったので、思い返してみれば、確かにそうだったかもしれません。

自己身体をしっかり捉えられるようになったうえで専門的な練習をしたほうが効率が良い。と。


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関節を手術した人や固定期間のあった人、片麻痺の人でさえ、障害の度合いと動きの滑らかさは比例していないことに、現場ではよく遭遇します。

驚くことに、比較的軽度な片麻痺後遺症なはずの人よりも、明らかに重い半身麻痺を持っていてもダイナミックに、また安定的に動けて生活動作を成立させている人もいます。


この臨床的事実は、体育学の経験に立ち返ってみると理解しやすく、

また認知科学でも言われているような

Body Schemaとか、Body Imageとか、自らの動きの観察力と言いますか、自らの動き(筋肉や関節の動き)を分析しイメージで投影させ、実行に変換するといった、

体育の世界で必要とされる、何も特別でないであろう人間の動きの基本的な能力の要素が、

片麻痺を始めとした後遺症のある人にとってもSkill Full(熟練的)に 動く ということに繋がるのだと思います。



ゆえに、

運動療法(理学療法)のプログラムの選択肢としては、(当然、身体機能や障害像をしっかり評価したうえで)

単純な(わかりやすい)

かつ興味のもてる(楽しい)

身体を動かす運動といったトレーニングになるのかもしれないと、最近思います。



それが、ひょっとしたら輪投げかもしれない。風船バレーかもしれない。

でも、目的はレクリエーションではない、ことを注意していきたい。笑 爆


そのためにはTherapist自身が、運動スキルを高めないといけませんね!


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そしてそのアプローチが、

動くこと、生活動作を維持・改善することに繋がり、

介護状況を少しでも改善することに影響し、

楽しい余生を過ごせることになれるのであれば、、、

これは抗加齢な現象だと位置づけています。



Masa