前回の記事でふれた、血液検査時に一緒に提出していただく問診票「栄養相談シート」
この中にある「お食事の内容」の欄を見ていて、気になったことがあるんですが
「朝ごはんは食べない」
って方、たまにいらっしゃるんですよね。
朝は食欲がない…。
食べると調子が悪くなる…。
などなどいろいろ理由があるとは思いますが、お話を伺ってみると
「16時間ファスティング(断食)」
ですか?
前回の食事から16時間経つとオートファジーが働き出して、細胞の中のゴミをきれいにリサイクルしてくれる、だから16時間食間をあけるために、朝ごはんは食べない方がいい、みたいな??
そういうのを健康にいいと思って、あえて実践されて方も、いらっしゃるんですよね。
うーーーん🤔
まぁいろいろな考え方があっていいと思うのですが、わたしたちの分子整合栄養医学では、そういったことは一切お薦めしておりません。
だって「欠食によるデメリット」の方が大きすぎるから。
「デメリット」って具体的にはどういうことなんでしょうか?
通常、晩ごはん→朝ごはんまでに10時間以上は絶食状態になるわけですよね。
口から食べ物は一切入ってこないため、朝、血糖値は誰でもかなり下がってしまっています。
あまりに低血糖になりすぎると危険なので、わたしたちの体にはバックアップ機能が備わっていて、グルカゴン、アドレナリンなどの「血糖を上げるホルモン」を分泌することにより、しれーっと血糖を維持してくれているんですよね。
ところが…。
ここで、朝ごはんを食べないまま、仕事に行ったり、家事をしたりすると??
そうです、この血糖が低い状態は続き、グルカゴン、アドレナリンなど「血糖を上げるホルモン」を無駄にドバドバ分泌しながら午前中を過ごす、ということになるんです。
その上、こういったホルモンは、興奮系ホルモンでもあるので、体は常に交感神経優位に…。
「朝はコーヒーだけ飲みながらのほうが、頭が冴えて仕事がはかどる」
↑
それってカフェインによってアドレナリンをドバドバ出して、血糖や交感神経をガンガン上げているに過ぎません…。
なにより、このような状態だと私たちの生命活動のエネルギー源となるカロリーが圧倒的に足りません。
カロリー不足になると、体はこれまたしれーっと大事なたんぱく質を分解して、エネルギー源として燃やしてしまうのです。
その上こういったグルカゴン、アドレナリンなどの血糖を上げるホルモンって「異化ホルモン」とも呼ばれ、大事なたんぱく質の分解を促進してしまう働きもあるんですよ。
せっかくの体内のたんぱく質もどんどん分解され、エネルギー源として燃やされてしまう…。
なんとも、もったいないことですよね。
そして、お昼どき。
血糖が下がっているところに、お昼ごはんがどかーんと入ってきて、血糖は爆上がり。(どんなにベジファーストとか順番に気をつけても、空腹時間が長いと血糖は爆上がりします)
その反動で午後からは逆に低血糖になって眠くなったり、しんどくなったり…。
こういった「血糖の乱高下」が毎日のように起こっている……考えただけで怖くないですか?
現に、こういう「16時間ファスティング」を良かれと思って一生懸命取り組んでいる方に限って、血液検査結果を見てみると
低タンパクで栄養状態に問題がある
場合が多いんです。
オートファジーを研究されている吉森保先生も、「オートファジーってもっと早い段階で既に働いているから、16時間断食に根拠はない、それよりもデメリットのほうが大きい」とおっしゃっていますしね。
まぁ前の日に遅くまでたくさん食べすぎて、少し胃腸を休めたい、みたいなのがたまにあってもいいとは思いますが…。
また、上記の「16時間ファスティング」とは別に
「食べない方が調子がいい、だから食べない」
「とにかく朝はお腹がすかない」
みたいな方も、いらっしゃいますね。
でも、それはそれで問題ありですよ。
もし朝ごはんを美味しく食べれないなら、ちゃんと原因があるはず。
☑ 胃酸は十分に分泌できているのか?
☑ 胃粘膜に炎症がないか?
☑ ピロリ菌感染の有無は?
☑ 大きな精神的ストレスがかかっていないか?
☑ 交感神経優位になりがちで、胃腸がうまく働けなくなっていないか?
☑ 抗がん剤治療の副作用で味覚、嗅覚障害が出ていないか?
☑ 癌によるたんぱく異化亢進のため、食欲不振に陥っていないか?
など、「なぜ食べれないのか?」いろいろと原因を探っていかなければなりません。
こういったことは、KYBでの問診と詳細な血液検査を受けていただければわかりますし、それに対する分子栄養学的アプローチとして、できることはいろいろとあります。
とにもかくにも、「朝ごはん抜き」ではなかなか栄養状態は改善されません。
それぐらい「朝ごはん」って大事なんです。
まずは、「食べられるものをちょっとずつ」からで大丈夫。
無理のない範囲で
「朝ごはん生活」
始めていきましょう。
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乳がんステージ4
わたしの乳がん治療
・2021年10月 右乳癌ステージ2B
腫瘍径 1.8cm ER100% PR100% Her2(-) Ki67 30% 核異形度3 ルミナルB 腋窩リンパ節転移 2ヵ所
・2021年12月 放射線治療
・2022年 1月 ホルモン療法開始
・2022年 6月 PET 乳腺、腋窩リンパの腫瘍は消失も肝臓2ヶ所、肺、肋骨に転移が判明→乳癌ステージ4
・2022年 8月 免疫療法開始
・2022年 2月 PET 肝臓2ヶ所は縮小
・2022年 3月 肋骨のみ放射線治療
・2022年 3月 肺、肋骨に追加の免疫処置
・2023年 9月 PET 肝臓、肋骨は消失、肺は縮小も第5腰椎に新たな骨転移
・2023年 11月 第5腰椎骨転移にラジオ波治療
・2023年 12月 免疫療法にて再発予防の処置開始
栄養療法に支えられ、元気に乳がん闘病中
乳がん転移予防、乳がん再発予防ために
ご自分の栄養状態を「正しく」知りましょうね。