今日は「心のまま」について書いていきたいと思う。









【心のままに】




 やることは決まっていなかったが、とにかく外に出かけたい気分だったので軽いドライブを兼ねて少し遠くのカフェまで向かった。

 橋を越えてからひたすら真っ直ぐ走るだけの単調なドライブだ。程々の速度で少しだけ窓を開けて一月の冷たい風を車内に取り込む。ものの数秒で冷えたもののお陰でどんどん頭が目覚めてくる。いつもより目がパッチリと開いて外の景色がハッキリ見えてきた。雲一つない晴天の中、街路樹を挟んだ反対車線を車達が流れていく。

 (今日は何を考えていこうか)

 考えたいテーマが見つからず、腹の底から言葉に出来ない小さな不安の種の存在を感じた。別に焦ることもないし自らを混乱させる必要もないことは分かっているのでただぼんやりと不安の種を感じてみることにした。焦点を向けた瞬間に理解した。

 (今日の行き先が少し気になるんだ)

 ドライブを嗜みながらカフェに向かおうとしていたのだが、目的地のカフェで自分は喜ぶ…………「心地良い」を感じることが出来るのか、それが少々気になっていたのだ。ブログのテーマが見つからなくて不安になっていたわけではない様だ。書こうと思えば何かしらのテーマで書けるからな。馴染みが薄いカフェに行って感傷的になるんじゃないかと懸念を抱いていただけだった。

 自身の種の正体を理解したが、何故だか今日はその土地の方面に行きたい気分だったので懸念に意識を向けるのではなく心が向くままに車を走らせた。




 有料駐車場に車を止めアウトレットモールの中を散策すると、以前腰を据えたことのあるカフェを見つけた。行きたいカフェがあってこっちの方角に向かった訳ではなく、ただ「そっちの方」に行きたい気分ってだけだったので入りたくない理由もないので目にしたカフェで作業することを決めた。

 落ち着いた雰囲気の店内はアウトレットモールの中とはいえ、平日の昼前ということもあり人影は少なかった。
 店内の奥にある日当たりの良い席に向かって歩を進めているとカウンターから「いらっしゃいませ」と、明るい女性店員の声が響いてきた。

 (人が少ない割に店内が賑わって見えるのは店員さん達の顔に笑みが浮かんでいるからかもな)

 気持ちの良い挨拶に軽く会釈をしつつストレートソファーの席にリュックを置きカウンターで飲み物を注文する。普段なら色が明るいスムージや甘い抹茶類を好んで頼むのだが、ここ最近は甘い物はあまり頼まなくなってきた。シンプルにコーヒーへの造詣を深めたいと思っているのかもしれない。
 メニューに目を走らせ、パッと目についた「でかふぇ」なるものを注文することにした。この一文で私がどれだけコーヒーに対して無知であるか理解出来るだろう。私の無知を他所に、手際よく会計を済ませ「飲み物が準備出来次第お席にお持ち致します」と、店員さんに席で待つよう促されたので、未知なる味に期待しつつ自分の席で作業をすることにした。




 いつもの様に毎日継続してる日課をこなしながら自分の将来に想いを馳せていた。こんな自分で在りたい。あれが出来るようになっていたい。成りたい自分を思い描いてる時にふと気がついたのだが「ポジティブな状態」で物事を考えれる様になっていた。
 以前は「行きたい未来に行くには苦しい過程を通る必要がある」なんて無意識に思い込んでいたが、そんなことは無くむしろ「何でも出来そう」という、このまま真っ直ぐ成長したら全能という花が咲きそうな種の息吹を感じていた。



 自分が描いた成りたい自分をイメージした時に、どの道を通っても「楽しめる」気がしたので「どの道を選ぼうかな」と、まるでショーケースに飾られたケーキを選ぶかの様に、それぞれの道を通ったイメージしていた。どの道でも良いし、一つに絞る必要もない、2つの道を同時に選ぶことも出来ることにも気がついた。丁度良いタイミングで「でかふぇ」が届いた。初めての「でかふぇ」は普通に苦かった。



 (そういえば「デカフェ」飲んだことあったわ)



 飲んだ後に気がついた。デカフェはカフェインレスコーヒーだ。コーヒーに無知というより無関心といった方が正確だった。ついでに自分の人生にも無関心だったことに気がついた。








 そんなこんなで日課をこなしていたらいつの間にか午後3時を迎える頃になっていた。2時間強作業をしていたのがブログのテーマは浮かばなかった。
 特に書きたいものも言いたいこともなかったけど、とりあえず「ブログを開いてキーボードに指を添えれば動くだろう」そんな風に考えタブレットを立ち上げ適当な単語で間を繋いでみたが興が乗ることはなかった。
 休憩がてら、タブレットを閉じ伸びをしながら日差しが差し込む窓辺に目をやった。



 (昼下がりの陽の光も美しいな)



 以前は夕日が好きではなかったが、ここ最近は夕日の美しさに魅了されてしまっていた。ぼんやり夕日を眺めていると、突然、近くに陸上競技場があることを思い出した。



 (競技場までの道中って木々が立ち並んで道が広かったような…………)



 うる覚えではあるが、自身の記憶を頼りに自然を感じられる小道を目指して散歩することにした。飲みかけのコーヒーを一息に飲み干し荷物をまとめて店を後にする。



 (そういえば、今日の俺全然愛想なかったな)



 見送りの言葉を口にする店員さんの言葉を横目に、薄い反応しか返せなかった自分が少し情けなかった。








 アウトレットモールを通り過ぎ、陸上競技場を目指して大通りを抜け、歩道橋を歩きながら街を見渡した。

 柔らかい夕日が街並みを照らし、火照った頬を冷たい風が優しく撫でる。どこまでも透き通る大空を団地達が遮っていた。それにも関わらず自然の美しさと人工物のアンバランスな景観に何故だか美しさを感じた。



 言いようのない懐かしさとほんの少しの感傷を胸の奥で味わいながら団地群と木々の間をゆったりとした歩幅で歩く。



 (もしかしたら未来の住処を捉えているのか?)



 自身の美しい一族の土地を、脳裏なのか心の奥なのか分からないところで捉えながら辺りをゆっくりと眺める。小さな木々や草花はコンクリートに辺りを囲まれながらも、その葉を力強く伸ばし、懸命に日の光を集めていた。片鱗かもしれないが少しだけ理解した。



 (何処に一族の土地を創造するというより、俺が居る場所が一族の土地なのかもしれない)



 コンクリートの隙間から土達が顔を覗かせているのをみて、この大地が何処までも続いており、何処にでも一族の土地を建設することが可能だと思った。
 団地の窓辺に目をやると、いくつかのベランダには植物達がプランターや鉢に植えられていて自分次第でどんな場所でも美しく彩ることが出来ると思わせてくれた。



 (俺が自分の部屋を持ったらどんな風に植物を配置するかな)



 たくさんのプランターで木々や花々を育てている様子思い描いていると、空間の奥を見据えて見つめる、不思議な感覚を味わっていた。



 (もしかしたら夕日が未来を描くのを手助けしてくれたのかもしれないな)



 そんな風に思うと胸の奥が少し温かくなるのを感じた。







 未来を見つめながら歩いていると不意に子供達の声が聞こえてきた。陸上競技場を目指して歩いていたつもりが、いつの間にか中学校や幼稚園が立ち並ぶ空間に躍り出ていた。



 (子供が元気なのは善いことだ)



 子供達が母親に見守られている中、声を上げて走り回る姿をみて自然と心が温まった。自分が親になった時、子供達が笑顔であれる空間を作りたい。その想いがふつふつと湧き上がるのを感じていた。



 馴染みの薄い街だが、俺はこの街が少し好きになっているのを感じていた。この街にもまだまだ問題点はあると思うがそれでもこの街に美しさを感じてた。
 全身で辺りを、自然と人々の想いを感じながら歩いていると葉の枯れ落ちた街路樹達が並んでいた。
 冬を感じさせる街路樹を横目に、自身の想いに耽っていると、ふと気がついた。



 (春がきている)



 葉が枯れ落ちた枝の先に新芽が赤々と、その身に力を蓄えているのを目にした。




 (時間の流れを気にせず、心の赴くままに散歩をしてみたがなんと「快い」ものを見ることができたか!)




 もうすぐ来る春の兆しに青年の心は歓喜に震えた。見知らぬ土地の見知らぬ木の春の訪れにこれほど心を震わされるのだから、自身が愛を込めて育てた木々が花開く時、どれほど人の心を歓喜で溢れかえさせるのだろうか?自分の未来が益々楽しみになった。












 どれほど歩いたのかは分からない。短いような長かった様な、一瞬と永遠の狭間を歩き満足感を味わいつつも「まだ帰りたくない」そんな心地良い想いの中、うっすらと帰路に向かって歩みを進めていた。






 (今日味わったこの気持ちを誰かと共有出来たらどれほど素晴らしいか)





 名残惜しさを抱きつつ、いつか、誰かとこの道をゆっくりと歩きたいと感じていた。すると、ふとこの街を築いた人に意識が向いた。





 (彼は美しい街並みを築きたかったんだろうな)





 コンクリートやアスファルトに囲まれた街並みではあるが、それでも見渡す限りゴミは落ちておらず木々を植えることを大切にしているように思えた。もしかしたらそういった想いはそれほど強くはないかもしれないが、少ない木々や草葉の中から青年はそんな想いを感じていた。




 

























 はい、いかがだったでしょうか短編小説【心のままに】

 元々短編小説を書くつもりはなかったのですが、今日一日心のままに行動したのでせっかくなら今日のテーマはそれでいこうと思い、

 「心のままに」

 をベースに、自由に書いてみたらいつの間にか短編小説っぽくなったので短編小説と銘打つことにしました(笑)

 成人男性が心のままに1日を過ごす様を描いてみたのですが、皆さんはどのように感じましたでしょうか?所々読みにくい部分があるかもしれませんが、そこは「温かい目」と「自由」を持ちながら読んで頂ければ幸いです😎




 皆様の心に善き想いが灯れば嬉しく想います。

 人々よ、善くあれ

 人々に、善あれ!!




 本日も読んで頂きありがとうございました。また次回もお楽しみに👋