私が教わってる流派、無双直伝英信流(以降“英信流”)。
「英信流の技では巻き藁は斬れない、試斬する技ではない」と同門で上手いおっちゃんが教えてくれた。
このおっちゃんは一年まえから抜刀道を習い始めとうとう二段をとったそうな。
おっちゃんの言うことはいつも説得力があって信憑性があった。
しかし今回ばっかりは釈然としなかった。
さらにおっちゃんは続ける。抜刀道は実践的な武道で居合道よりも優れているのだと。
抜刀道は本当の刀の扱い方を学ぶことが出来る。英信流の技は確かに襲い掛かってくる敵に対応することが出来るが、あれでは斬れない。本当の刀の扱い方ではないのだと。
おっちゃんの主張に違和感を抱いていたし、疑問に思っていたがそこではなんの結論も出なかった。
しかし二週間、私は何が正しいのか答えを見つけることが出来た。
それを教えてくれたのは、私が通う道場の兄道場の先生だった。
先生曰く、
「英信流の技は試斬などの大道芸の如く巻き藁が斬るものではない。しかし、英信流の技は正対する相手が殺意をもって襲いかかってきたとき威力を発揮する。英信流の技で巻き藁は斬れぬが、襲いかかる(動いてる)敵は斬ることが可能である。」
これには納得。私の心の霧が晴れて疑問が解消された。
大切なのは動かない巻き藁をいかにもそれらしく斬ることではない。
本当に大切なのは常に変動する状況に対応し、効率よく対処すること。
普通に稽古するだけでは教われなかった貴重な「教え」であったと思う。